乗車記録 〜100回目のおんもへ〜

その4:バースデイきっぷで巡る青い古城(四国各線 2007.9.28−29)

「100回目のおんも」、4回目は四国が登場です。
JR四国のトクトクきっぷに、誕生月の3日間全線(含む土佐くろしお鉄道)と特急グリーン車が
乗り放題となる「バースデイきっぷ」なるものがあります。
この切符を利用して思いついたのが、全国に12カ所残る現存城のうち、島内の
四城を全て巡る事。
作者にとって四国はお馴染みの場所ですが、鉄道での一周は学生時代以来となります。
一度行った場所も、時が経ってから改めて訪れると何かと新鮮なもの。
「乗り鉄」「撮り鉄」が第一の目的ではない鉄道旅行もいいですね。
お城巡りが中心ですので、歴史が好きな方も必見?   ではご覧下さい。


2007年09月28日(金) 天候:晴れ

法界院駅 08:35
 ↓       6981D
岡山駅  08:40


今回の旅行は金曜、土曜の2日間としました。
8時20分頃に自宅を出発、法界院までは徒歩約7分くらいで着きます
普段は出勤や出張で利用するこの時間帯の法界院駅は、いつもと変わらない通勤通学の光景。
自分の格好と気分だけが日常と違う、って感じです。

平日朝の法界院駅では、キハ47系列の4連と3連の交換風景を見る事ができます(岡山駅と玉柏駅でも見られます)。

岡山駅 09:06
 ↓      2529M
児島駅 09:43


今回の旅で利用する「バースデイきっぷ」は児島駅から有効となりますので、そこまでは自腹?です。
児島までは敢えて普通電車を選択。ホーム西端の11番乗り場に移動すると、岡山ではお馴染みの
カフェオレ色の115系が入線してきました。
通勤通学客がどっと吐き出される流れに逆らってホームを歩き、3連のうち一番空いている先頭車に
乗車しました。暫くして定刻通り発車。

(左)岡山駅構内は昨年より改良工事が続いています。           (右)11番乗り場で発車を待つ115系

最近は瀬戸大橋線を利用する時はマリンライナーばかりなので、岡山−児島間で各駅停車に乗車するのも
久しぶりです。
車窓は9月下旬になってやっと秋らしくなってきました。備中箕島−早島間では田んぼが広がり、
稲穂が首を垂れています。そろそろ稲刈りかな?
この当たりは複線化工事が着々と進行中で、同区間の好撮影地は残念ながら消滅してしまいました
(瀬戸大橋線 備中箕島−早島 を参照。ほぼ全区間で実質撮影不可能となりました)
定刻通り児島駅に到着。この電車は琴平行きなのでこのまま乗っていても四国に渡れますが、
フリー乗車区間に入るので特急を利用します。予め用意しておいた「バースデイきっぷ」を取り出し、
3分後に入線してくる「しおかぜ」を待ちます。

児島駅にて。JR西日本からJR四国へ乗務交代が行われます。
児島駅 09:46
 ↓      5M 「しおかぜ5号」
丸亀駅 10:08


(左)瀬戸大橋を渡る。写真は下津井瀬戸大橋。              (右)丸亀駅に到着。ここで「しおかぜ」を下車。
2日の行程の中で、事前に4本のグリーン券を発行して貰っています。8000系5連で入線してきた
「しおかぜ5号」最後尾8号車のグリーン車へ。
四国の車両は基本的に半室グリーン・半室普通車のスタイル。乗車率はなかなかで、席はほぼ埋まっています。
瀬戸大橋を渡り、番の州からはいつも(マリンライナー乗車時)とは違って予讃連絡線を直進し、
宇多津へ到着。ここで高松からの「いしづち」と併結を行い、8連の立派な編成に。

宇多津駅では、今では少なくなった特急の分割併合シーンがほぼ終日行われています。
しかも電車、気動車の両方を見ることが可能。この「しおかぜ・いしづち」のような同方向(Y字)パターンと
「南風・うずしお」のような逆方向(T字?)パターンがあります。
乗り鉄、見る鉄ファンは機会があればぜひご体験を。
さて作者は宇多津の次、丸亀にて下車。ここから今日最初の目的地である丸亀城へ向かいます。

(左)丸亀駅には国鉄末期世代には懐かしい「わたしの旅」スタンプ台が健在。 (右)丸亀駅。かわいいバスが走っています。

丸亀駅に降り立つのもいつ以来か。
さっそく駅前の商店街を横切り、1キロ程南にあるお城を目指します。
高台の上に石垣と天守閣が見える。要塞のような姿が丸亀城の特徴。

〜青い国現存四城:その1 丸亀城〜



※今回訪問する各城の歴史的・文化的記述についてはあまり書きません(書けません?)。

作者はいずれ現存十二城を全登城してみたいと思っていました。四国にはうち四城があり、
他も弘前以外は全て日帰り圏内。地理的には岡山は比較的恵まれている、と言えます。

今回の「城訪問」の定義は、城下から見上げるだけではなく、「天守閣の撮影と最上階まで登っての
展望」で任務達成とします。かつて作者の友人がパリ旅行に行った際、ルーブル美術館の外周のみ
眺めて帰った(「だって入場料高けぇんじゃもーん」だそうで)事がありましたが、良い子はキチンと旅先に
お金を落として、引き替えに知識と想い出を戴いて帰りましょう(笑)。

さっそく城内へ。天気が良く、気温も30度くらいあり、9月末とは思えません。
歩いていると汗ばんできます。

(左)大手二の門をくぐり城内へ。                        (右)たっぷり水をたたえた内堀が残っています。

丸亀城の特徴は何と言っても立派な石垣。積み上げ方も綺麗なうえ、遠くから見ると山の上に
城がある、と言うより石垣の要塞の上に城が造られているように見えるくらいです。

(左)「扇の勾配」と呼ばれる見事な石垣。                   (右)南東方向に讃岐富士(飯野山)を望む。

かなり急坂を登って三の丸→二の丸→本丸 と攻略。小さな平山城とみくびっていた上、自分の体力を
過信?していた事もあって、疲労度は俯瞰撮影並み、息が上がって汗が噴き出してしまいました。
日本で一番深い井戸とされる丸亀城内の井戸。

天守閣に到着。

小ぶりな天守閣です。現存十二城では一番小さい天守らしいです。

入場料¥200−を払って天守閣内に。

(左)急な階段を登る。天守閣内も狭く、質素な印象。
(右)最上階から北を展望。瀬戸内海がよく見えます。写真中央左が丸亀駅、右奥付近がまるがめ競艇(笑)。


平日の午前中ともあってか、人影はまばら。地元の方が散歩しているくらいです。
後述する高知や松山と違い、特に観光地化されている訳でもなく、とても静かな訪城でした。
そろそろ山を降りて、丸亀駅に戻る事とします。

ちょうどお昼時で、丸亀駅前商店街には何かあるだろうと思いましたが、お店があまり開いてなく、
人通りもまばら。最近の地方都市のどこに行っても商店街がさびれているのを見ると、地域間格差の
拡大を実感せずにはいられません。
仕方なく駅横のうどん屋に。地元では有名なチェーン店で、コアなさぬきうどんとは異質のものですが、
結構繁盛しています。ここでわかめうどんとかき揚げ丼の日替わりセットを注文。¥630−でした。
味からするとちょっと高いか?(量はありましたが)
食後、駅に戻って時計を見ると12:15。次に乗車する253Dは12:43で、少し時間に余裕があります。
駅で待つのも何なので、一つ東の宇多津まで253Dを迎えに行くことにしました。

丸亀駅  12:26
 ↓       1256M 「サンポート」
宇多津駅 12:28

121系の2連で入ってきた「サンポート」は若者で満員。何かイベントでもあるんかな?
僅か2分の乗車で、宇多津駅下車。
ちょうど下り線ホームで「南風9号」と「しまんと7号」の併合が行われていました。

(左)先に待っている「南風」に「しまんと」が近づく。        (右)「合体」の瞬間。2000系とN2000系は若干重心設計が違うみたい。

発車を見届けた後、作者も下りホームに移動。4分後の253Dを待ちます。
ローテーション通りなら今日は国鉄急行色の運用に当たるはずですが…

宇多津駅  12:39
 ↓        253D
阿波池田駅 14:04

やっぱり、予想通りでした。

特急グリーン乗り放題とはいえ、四国を鉄道旅行するなら1本はキハ58系の運用に乗車したいもの。
今回唯一の「乗り鉄」と言えるかもしれません。
作者はキハ58より65の方が好きなので、前側のキハ65−34へ。
車両不調が伝えられていましたが、重厚なエンジン音と乗り心地はいつも通り。デッキから車内に入り、
ボックスシートに腰を下ろす。「鉄道旅行してるなー」という気分にさせられる大好きなクルマです。
走っている舞台(土讃線)のロケーションの良さももちろん魅力。
終点の阿波池田まで乗り通しました。

(左)琴平駅に停車中。                          (右)室内のネームプレートが剥がされています。もしかして盗まれた?


(左)猪鼻を越え、スイッチバックの坪尻駅に到着。当然誰もいません。 (右)坪尻駅停車中。


阿波池田駅 14:10
 ↓        41D 「南風11号」
高知駅   15:16


阿波池田から先は特急で高知へ急ぎます。
6分の接続で「南風11号」が入線してきました。先頭1号車のグリーン席へ。

2000系グリーン席。2+1シートに加え、先頭席からは前面展望も。

2000系は制御振り子式を日本で初めて実用化したディーゼル特急車両で、1両当たり660psを誇る豪快な
エンジン音と加速感、そしてコーナリングスピードは「気動車ってこんなに速いの?」という感じ。
細かいカーブが連続する土讃線をグングンスイスイと走り抜けていきます。
1時間強の旅でアッという間に高知駅に到着。

(左)併走する吉野川ではカヌーの姿も。                (右)前面展望。大歩危駅も高速で通過「出発進行」の指さし瞬間。

(左)橋中駅の土佐北川駅を通過             (右)高知駅到着で阿波池田行きキハ58系と並ぶ。高架工事が進んでいます。


高知駅前電停  15:**
 ↓          土佐電鉄桟橋線
はりまや橋電停 15:**


駅前の「とでん」電停に行くと、何ともレトロデザインの電車「維新号」が待っていました。
早速乗り込むとすぐに発車し、数分ではりまや橋電停に到着。作者は高知城方面に向かうため
ここで乗り換えとなります。料金は市内均一¥190−で、下車の際に運転士から乗り換え券を
貰うシステム。

(左)7系「維新号」。  (右)維新号には女性車掌が乗務しており、乗降客をご案内。  撮影はいずれもはりまや橋電停にて。

はりまや橋電停  15:**
 ↓           土佐電鉄伊野線
高知県庁前電停  15:**


路面電車はどの方向にも数分ヘッドの高密度で運行されており、待つ必要がありません。
伊野線に乗り換え西に向かいます。高知城に直接向かう場合は一つ手前の高知城前電停が
最寄りとなりますが、作者は路面電車と高知城を撮影するために高知県庁前で下車。
ここはお城と路面電車を撮影出来る場所。ですが路面電車撮影の宿命か?ことごとく交通に邪魔され、
厳しい結果となってしまいました。
撮った中で一番マシだった1枚。元名鉄の590系。

16時前になって、そろそろお城に登る事にします(高知城入場は16時半まで、見学は17時まで)

〜青い国現存四城:その2 高知城〜


お城を中心に、周辺は整備された公園になっています。
立派な大手門をくぐり、城内へ。


(左)坂本龍馬と並ぶ土佐の英雄、山内一豊像。
(右)「内助の功」として知られる一豊の妻、千代。ドラマでは仲間由紀恵ですが、像はややぽっちゃり系?


一段一段がかなり広めの石段を登っていき、本丸に到着。屋台でラムネを一本買い、
喉を潤してから、天守閣へ。

入場料は¥400−。丸亀に比べ、観光客の姿が多く目に付きます。

本丸御殿。城内に現存しているのは貴重なんだとか。


(左)天守閣最上階(六階)からの展望。高知駅方向を見る。    (右)南側を望むと、先ほど路面電車を撮影した地点が見えました。

天守閣以外にも多くの建築が残っていて、なかなか立派なお城であります。
南国らしく、豪放かつ知的なイメージを感じる造りが印象に残りました。

下山して時計を見ると17時。まだ周辺も明るく、宿に着くには早い気がしたので、
「とでん」を少し乗りつぶしてみようと思い、高知城前電停へ。

高知城前電停   17:**
 ↓          土佐電鉄伊野線
はりまや橋電停  17:**


はりまや橋電停  17:**
 ↓          土佐電鉄桟橋線
桟橋通五丁目電停 17:**


桟橋線を全区間乗車してみることにして、はりまや橋にて乗り換え。
すぐに電車がやってきて、途中右手に土電の車両基地を見ながら終点の桟橋通五丁目に到着。
桟橋通五丁目電停。何ともひなびたムード。

実質的な終点は一つ手前の桟橋車庫前のようで、終点の桟橋通五丁目は高知湾に面した堤防脇に
ホームすらよく判らないほどの佇まいでひっそりとしていました。駅というよりは単なる引き込み線の車止め、
といった感じで、周囲には海運会社の事務所らしきものがあるだけ。鶴見線の海芝浦駅を思い起こさせる、
海と人工物に囲まれた秘境駅と言えるでしょう。

一本遅らせて周辺を少し散策してから、市街方面に戻りました。

桟橋通五丁目電停 17:**
 ↓           土佐電鉄桟橋線
高知橋電停    
17:**

高知橋電停で下車し、5分ほど歩いて今日の宿へ。いつものようにネット予約のホテルで
大浴場、朝食付きで¥5,550−ナリ。建物は新しくていい感じ。


(左)翌朝撮影したもの。中央の建物が今回作者が利用したホテル。 (右)鰹タタキ。写真はイメージです。

これで本日の行程は終了。平山城を2つ歩いて、かなり疲れました。
夕食はどうしようか特に考えていませんでしたが、部屋にホテル内のカジュアルレストランのメニューが
あったので、外出も面倒(と言うより歩き疲れ?)だし、18時半過ぎに1Fに降りました。
しかし、行ってみると「カジュアル」らしく食券式のシステム。そのくせお値段は一人前…
鰹のタタキ定食¥1,300−はかなり割高感を抱きましたが、いざ運ばれてきた定食は
肉厚に切られたカツオのタタキがたっぷり。薬味も葱に玉葱、ニンニクetcがこれまたたっぷり。
凄いボリュームで、お味の方も本場に恥じぬ旨さ。ビールを一本付けてお腹いっぱい。これは意外でした。

食後、ホテルの最上階にある露天風呂へ。作者の利用時はお風呂に誰もおらず、貸し切り露天風呂でした。
熱い湯と外の秋風が心地よかったです。

その後、せっかく高知へ来たので地酒でも、と考えましたが、外を出歩くのも面倒になり?
最寄りのお店で「司牡丹」を購入。佐川に蔵元を持つ「甘口を嫌う土佐っ子に合わせたすっきり辛口の酒」
です。ところが作者は日本人ですが日本酒もカナ入力もNG?な人。半ば無理矢理、というかチビチビと
飲み干し、地元テレビ局のニュースを一通り見てから床に就きました。明日も頑張って歩くぞ!(ホロ酔い)

2日目に進む                   「乗車記録」に戻る