乗車記録 〜100回目のおんもへ〜
その2:西海のまほろばを往く 2007.2.9−11
1日目は岡山から博多近辺を探訪し、諫早へと移動。
2日目はほぼ一日「しまてつ」を訪ね歩きます。
2007年2月11日(日) 天候:晴れ
おはようございます。昨日はフルに動き回る一日で少し疲れ気味ですが、
今日はこの旅の真の目的であるしまてつ完乗に向かいます。
朝5時半に起床、昨日コンビニで買っておいたサンドイッチとヨーグルトを食べ、6時15分チェックアウト。
真っ暗な中を諫早駅へと向かいます。
駅で今日お世話になる「湯遊きっぷ」なる一日フリーきっぷ¥3000を購入。
カラー印刷の立派なものを想像していましたが、券売機で買ったせいか味気ないペラが出てきてしまいました。
(左)諫早駅。冬場の夜明けは遅いです。 (右)購入した湯遊きっぷ。
諫早駅 06:45
↓ 島原鉄道105列車
古部駅 07:20
島原鉄道ホームへ行くと、懐かしいアイドリング音を響かせてキハ20が入ってきました。
(左)作者世代には懐かしい国鉄首都圏色のキハ20。 (右)車内。結構「鉄」な人も目につきます。
因みに学生時代に訪れたときの写真がコレ。
(左)島鉄色のキハ20。 (右)今は亡きキハ26も撮影していました。
車内は昭和に戻ったかのよう。この雰囲気を味わえるローカル線が残っているんですね。
諫早を出て約30分、だんだんと明るくなってきます。諫早干拓地を左手に見ながら走り、有明海に面した
古部(こべ)駅に到着。
(左)諫早湾干拓地に沿って走る。森山付近。 (右)悪名高き?諫早湾干拓堤防。
もう少し乗っていたかったですが、ここで後続のキハ20を撮影するために下車しました。
(左・右)有明海に面した古部駅。
写真の通り、目の前は海。一時期世間を騒がせた諫早湾の締めきり堤防も遠くに望めます。
ちょうど干潮の時間帯で、列車が来るまでしばし干潟を散歩した後、お目当ての107列車を撮影。
有明海をバックに国鉄一般色のキハ20が朝日を浴びてやって来ました。
(左)満潮になるとこの辺りは水没してしまいます。 (右)朝日を浴びてキハ20が到着。
古部駅 07:59
↓ 島原鉄道107列車
大三東駅 08:24
撮影した107列車に乗り、先へ進みます。列車は海辺に出たり、里に入ったりの繰り返しです。
車内は日曜日だというのにジャージ姿の学生でいっぱい。部活でしょうか。
途中の平良町で交換待ちの為停車。ここで学生が一斉に下車。あぁ、国見高校の生徒かな?
(左)平良町にて。 (右)国見高校のお膝元だけに、ホームにはサッカーボール型のモニュメントが。
更に進み、古部と同じく海に面した大三東(おおみさき)駅にて途中下車。
(左)キハ20の車内。どうも違和感があると思ったらカーテンのせい。 (右)大三東で数人が下車。
次の列車まで周辺を散歩。この駅も雰囲気の良い海辺の駅でした。
(左)ホームより島原湾を望む。 (右)駅前では地元の方々が清掃活動。ご苦労様です。
大三東駅 08:45
↓ 島原鉄道109列車
有馬吉川駅 10:04
後続の109列車で更に先へ。この後は全て新系列の2500型の乗車となります。
島原と南島原で乗客の過半数が下車し、車内は閑散としてきました。南島原からは車掌が下車し、
ワンマン運行となります。
島原外港を過ぎ、今回の廃止対象区間へ入りました。
しばらくすると安徳へ。ここから普賢岳の噴火で長期間不通となっていた区間にさしかかります。
(左)安徳を発車すると、災害後新たに造られた高架線に入ります。 (右)水無川鉄橋から普賢岳方向を見る。
噴火の傷跡が未だ見て取れる普賢岳。
新しく架けられた水無川の大鉄橋を渡ります。末端区間が廃止になると、地元の熱意で復旧に漕ぎ着けた
この新線区間に列車が走る事はもうありません。
そして列車は加津佐目指して走り続けます。
乗っていて気づいたのですが、島原鉄道の特徴としてとにかく警笛が多い!1駅間につき10発づつ位は鳴らし
まくっているのでは?それだけ線路際に近づく人や動物が多いんですかね?
それにしても車窓風景が美しい!山と海に囲まれた風光明媚な景色、まさに「西海のまほろば」
日本の原風景を見た思いです。
時間的に末端区間で1箇所だけ「撮り鉄」が出来ます。どこで撮ろうか…海か山か?
迷った末、あまりにも天気が良くて空気が澄んでいるので、雲仙と列車の写真が撮りたくなり、
出発前に地図を見て見当を付けておいた有馬吉川で下車することにしました。
(左)有馬吉川を発車し加津佐に向け走り去っていく109列車。 (右)ひなびた農村の駅です。
東大屋方向に築堤カーブがあるので、そこを目指して15分程田舎道を歩いていきます。
(左)静かな駅前通り。ぽかぽか春の陽気です。 (右)これも鉄道原風景。
ほどなく、バックに雲仙が顔を出している場所を発見。ここで先ほどまで乗っていた車両の折り返しとなる
120列車を撮影。
(左)この写真を撮ってから猛ダッシュ! (右)20秒後、有馬吉川駅に進入していく列車をロングショット。
イメージ通りの場所で、天気も良く大満足の写真が撮れました(ちょっと疲れましたが)。
駅にゆっくり歩いて戻り、加津佐行きの列車を待ちます。
辺りは物音一つしない静かな山里。この駅に降り立つのも今日が最初で最後でしょう。
少し時間があったので、携帯電話にて本日の勝ち馬投票券の予想と購入を(笑)
東京・京都メインをそれぞれ6点づつ購入。今朝はスポーツ紙が手に入らなかったし、こんな場所まで来て何も
競馬なんかせんでも…だがこれが!(後述)
(左)何とものんびりした静かな駅! (右)やってきた115列車。線路際に梅が咲いていました。
有馬吉川駅 11:47
↓ 島原鉄道115列車
加津佐駅 12:01
115列車の乗客の半数以上はいわゆる「鉄」な人たちでした。そして12時1分、終着の加津佐に到着。
めでたく全線完乗と相成りました。
折り返し時間が55分あります。駅前やホームで記念撮影をする人を横目に、作者は駅裏に回り込み、
隣接するバンガロー村へ。そこから裏山へ登ると町を一望できるらしいので、登ってみる事にします。
(左)加津佐駅に停まる2500。 (右)ここが山の登り口。
途中から勾配がきつくなり、鎖に掴まって登るような箇所もあります。重装備だと登りづらいかも知れません。
それ以前に最近めっきり体力の衰えを感じる作者にとって、この登山はキツイ!
(左)一気に登るのはこりゃ辛い!体力の衰えを痛感。 (右)ゼーゼー言いながら約10分で頂上へ。
息を切らしながら、何とか頂上にある小さな展望台に辿り着きました。
ここからは360度の大パノラマが広がります。
(左)駅を眼下に見る。 (右)白浜海水浴場方向。俯瞰撮影もOK。
(左)蒼い海と空が綺麗でした。 (右)加津佐駅舎。背後の山がさっき登った山。
しばらく息を整えながら撮影を楽しんだ後、下山。
駅前のコンビニで飲み物を買って一息ついてから、駅に戻りました。
(左)発車を待つ2500には「おどみゃ島鉄」のイラストが描かれています。 (右)駅は無人化されていました。
加津佐駅 12:56
↓ 島原鉄道124列車
南島原駅 14:02
ここからは帰り行程となります。124列車は数名の地元客と鉄道ファンを乗せ、のんびりと加津佐を定発。
と思ったら、次の白浜海水浴場前で学生が大量に乗り込み、車内は一転して賑やか、超満員に(驚)
近くに高校があるらしいのですが、今日は日曜日。朝の平良町といい、部活?補修?熱心ですね〜。
その学生達も一駅毎に下車していき、有家辺りでは車内は元ののんびりムードに戻っていました。
(左)口之津駅前には天草行きフェリー乗り場が。
(右)屈指の好撮影地だった龍石の海岸。護岸工事と道路建設で様相が変わってしまいました。
(左)布津新田付近では海と雲仙が見られます。 (右)水無川鉄橋を渡る。たもとに機関車が転がっているぞ?
行きには気づきませんでしたが、水無川の大鉄橋のたもとに小さなDLが見えました。
D3703というこの地で活躍したDLで、普賢岳の災害復旧作業でも活躍したそうです。
廃車後は鉄橋脇に保存される事になったそうですが、でも何か乱暴な静態保存だなぁ。
スクラップになるより遙かにマシですが。でもこの区間が廃線になった後の運命や如何に…
乗客が少しづつ増え、南島原駅に到着。作者はここで下車。
(左)立派な南島原の駅舎。一見の価値あり。 (右)ホームの向こうは車両基地。キハ20はじめ各車が待機中。
島原鉄道屈指の撮影名所、島鉄本社前駅との間にある入り江へ向かいます。
駅から徒歩1分の撮影地なので、124列車の南島原4分停車中に間に合います。
ここでは今回の行程中唯一「撮り鉄同業者」がいました。
(左)島原湾に続く入り江に架かる橋を渡る。満潮時以外なら船が充分くぐれます。 (右)ややロング気味に撮影。
更にこの場所で待つ事数十分、一番のお目当てだったキハ20型2連の126列車がやって来ました。
首都圏色+島鉄急行色の2連。最近は国鉄色が大人気ですが、せっかく島鉄に来たんだから
「しまてつ色」を撮りたいと思っていました。快晴に恵まれて大満足の1枚です。
撮影後、次の予定列車に乗るまで1時間ほどあります。手元の湯遊きっぷは、その名の通りバス、電車に
加えて外来入浴のサービス券がセットになっています。歩いて3分くらいの所にある近くのホテルに
行ってみる事にしましょう。
南風楼さん。とてもいいお湯でした!
結構立派なホテルのようで、ロビーに飾ってある写真には天皇陛下も写っています。
玄関に入ると何か式でもあったのか、正装の人達がわんさか。
着物を着た女将らしき人に尋ねると、少し奥にある温泉浴場に案内してくれました。
大きな内湯に島原湾を一望する露天風呂。入ってみると湯加減も良く、暖冬とはいえ冷えて疲れた身体が
生き返ります。あー極楽。
時間が許せばもう少し長い時間浸かっていたいと思わせる、いいお風呂でした。
もちろん湯遊きっぷを提示すれば無料。入浴後、島鉄本社前駅に向かいます。
(左)駅裏の霊丘公園のC12。 (中)島鉄本社前駅。 (左下)島鉄本社。駅からは約50m。
「島鉄本社前駅」という立派な駅名の割には、駅自体は路地裏に隠れるようにひっそりと佇んでいました。
駅裏の公園にはこの鉄道で走っていたC12が静態保存されていました。さっきのD3703もせめてこの位は
整備してあげれば良いのに…
因みに「汽笛一声新橋を〜♪」で知られる1号機関車、晩年はここ島原鉄道に移籍して活躍したそうです。
島鉄本社駅 16:03
↓ 島原鉄道130列車
大正駅 16:38
地元客で混み合う130列車に乗りこみます。
今回は午後のキハ20以外は全て単行の運用で、車内の混雑が目立ちました。
出来れば2連にして欲しいですネ。乗る側としても撮る側としても。
大正駅。磯の香り漂う海岸近くの駅です。
朝に降りた古部駅の1つ手前になる大正駅で下車。
作者の本名の略称みたいで、いい駅名だなぁ(違うって)
そんな作者を駅前で出迎えてくれたモノは…
おお、我が友よ!(アホ)
…子宝観音さま登場。久しぶりにこの手の神様に対面しました…
気を取り直し?今回最後の撮影地へ向かいます。線路際の小道に沿って、向かい風の中を歩くこと約10分、
干潟に沿って線路がカーブしている場所へ到着。
朝に続き、夕方もちょうど干潮にあたっていて、海岸がかなり遠くなっています。
ここで干潟側と線路際と列車2本を撮影。
ラストのキハ20は日没直前の夕陽が綺麗に当たり、最後まで良い撮影が出来ました。
大正駅 17:38
↓ 島原鉄道134列車
諫早駅 18:21
日も暮れかけて、後は帰るのみ。
カメラを持っていたからか、向かい合わせた布津のおばあさんが島鉄の懐かし話や写真の事などを
語ってくれ、色々と話を聞く事が出来ました。そのおばあさんは本諫早で下車。いつまでもお元気でいて下さい。
諫早では国鉄色を纏ったキハ66にも出会えました。
(左)古部駅。朝とはまた違った夕暮れの海の表情もいいですね。 (右)諫早駅で思わぬ国鉄色キハ66が。
諫早駅 18:48
↓ 2042M「かもめ42号」
博多駅 20:21
諫早駅の待ち時間の間に、午前中に有馬吉川で携帯購入した馬券のレース結果を確認してみたところ、
ナント京都(きさらぎ賞)東京(ダイヤモンドS)共に的中。しかも東京は2万馬券。
今回の路銀が思わぬ形で捻出できました。イヤー良かったヨカッタ。
安心したせいか疲れからか、885系に乗ると検札終了後すぐに眠ってしまいました。
目が覚めると原田辺りで、いそいそと下車準備に入ります。
博多駅で接続に余裕を持たせていたので、名店街「マイング」でお土産を購入。
今回はリクエストのあった松露饅頭と甘塩の明太子です。
その後腹ごしらえにラーメンでもと、以前出張で来た時に入った駅前の店に行くと、影も形もありません。
どうやら移転か閉店かしてしまったようです。
仕方なく地下の食堂街へ。博多ラーメンの看板を出しながら味噌や醤油や担々麺がある妙な店でしたが、
そこでちゃんぽんを注文してしまうのもかなり邪道?(笑)でも結構美味しく戴けました。
博多駅 21:16
↓ のぞみ500号
岡山駅 22:53
新大阪行き最終便となる500系使用の「のぞみ500号」。21時過ぎにホームに上がると、自由席車には
長蛇の列が出来ています。1号車に何とか席を確保。立ち客も出る混雑ぶりで博多を発車。
と思ったら大半は小倉で下車してしまい、一気に車内はガラガラに。
(左)博多駅にて。 (右)広島駅ではT5と対面。みんな珍しそうに見ていました。
岡山駅 23:26
↓ 972D
法界院駅 23:29
最終ランナーはいつもの津山線。
寒くなってきたのでキハ40の車内で20分ほど暖を取っていました。乗り間違い(代行バス)が無いか再三の
案内放送が流れた後、岡山駅を発車。3分後、法界院駅に到着。今回の旅も無事終了です。
とにかく旅行を決めたのが急だったので、かなり急仕上げだったにも関わらず、内容盛りだくさんの
乗車と撮影ができ満足しています。
とにかく2日目の天気が良く、島原鉄道沿線で会心の撮影が出来た事が何よりでした。
反省としては、やや詰め込み気味で自分の体力の限界を考えさせられた事(苦笑)
時刻表や地図を持ってきていればもう少し融通が効く旅が出来たかと思います。
出発直前に参考文献を色々貸してくれた津与志どのには、この場を借りてお礼を申し上げます。
長文になりましたが、最後までご覧いただきありがとうございます。
次回の「100回目〜」にもご期待下さい。
なお、鉄道撮影地の詳細については鉄道写真館のその他:九州遠征2007.02 をご覧下さい。