「スイスって『遅いけど必ずちゃんとやる』んだよ。」 電話が開通するまで10日間、やきもきする私に同僚がくれたアドバイスです。のちにこの言葉の意味が痛いほどわかる数々の出来事が起こりました。今回もヨメのレポートでどうぞ。

換気扇がちゃんと動くまでの期間:10週間
引っ越してすぐ、バスルームの換気扇が動かないのに気づいたので不動産屋に連絡をしました。数日後、管理人のクレーガーさんがやってきて状況を確認し、翌週修理の業者をよこすよう手配してくれました。

翌週業者がやってきて、あれこれやったが直りません。結局「新しい換気扇に取り替える必要があるけど、いま在庫がないから入荷したら連絡するね。」と言い残して帰っていきました。


2週間後、事前に何の連絡もなく業者が再訪。今度の担当者は英語が苦手な様子で、会話もなく黙々と作業をすすめます。新しい換気扇に替えてもやはりダメ、他にもいろいろ試した末、搾り出すような英語で「エレクトリック プロブレム アザー カンパニー カム」と言い残し、この人も去っていきました。


バスルーム。一応バスタブつき。
その間は扇風機が緊急出動。


それきりぷっつりと誰も姿をあらわさないまま2ヶ月が経過。

また何の前触れもなく、ある日電気工事業者がやってきました。故障の状態を説明しようとすると「わかってるから大丈夫」とおもむろに配電盤を開け修理を開始。アザー カンパニーなので期待してなかったのですが、前の業者がしっかり引継ぎしてくれたみたいです。5分ほどでちゃんと換気扇が動くようになりました。
ちゃんとした表札ができるまでの期間:8週間
マンションの入口に全戸おそろいの表札があります。賃貸契約時にこの表札の発注もすませていたのですが、入居日には間に合わなかったようで、うちだけかっこ悪い手書きの紙が貼ってありました。

おかげで他の住人にあっという間に名前を覚えてもらえたようで、エレベーターなどで誰かに出会うたびに「あなたが新しく来た人ね」「あなたがミセス・シミツね」と声をかけられ、とっても緊張したマンションライフを送りました。ちなみに住人は品の良い初老のご夫婦が多く、いまだに誰が誰やらまったく区別がつきません。

手書きの表札もすっかり見慣れた8月下旬、ようやくちゃんとした表札が到着しました。これでヘンに目立たずにすみます。しかしなぜ2ヶ月もかかったのかはナゾです。


今はすっかり溶け込めました。
罰金をちゃんと課されるまでの期間:4週間

振込用紙には氏名・住所・金額すべて記入済。


高速道路でフラッシュが光ってからしばらくの間、いつ警察から呼び出されるかとドキドキしながら過ごしましたが、一向に連絡がありません。もしかして単なる警告ライトだったんじゃないの?と都合よく忘れようとしていた8月下旬、ちゃんと罰金の請求書が届きました。

噂では1キロオーバーにつき2,000円と聞いていたのですが、なんだかよくわからない計算で9キロオーバーで罰金6,000円になってました。警察や裁判所に出頭する必要もなく、E-bankingで罰金を振り込んであっさりと終了。逆にいうと言い逃れのチャンスもないわけですね。この有無をいわせない感じが、とってもスイスっぽいです。

VATをちゃんと請求されるまでの期間:1週間
愛車のカーナビがスイスしかカバーしておらず、一歩フランスやドイツに足を踏み込んだとたん画面が暗転するという恐ろしい事実が発覚しました。しかもドイツとの国境を越えたところで。

帰宅してただちに追加のナビCDを探したところ、オランダにあるメーカーのサイトからネットで購入できることがわかりました。ヨーロッパ全土をカバーするCDで、お値段41,700円、プラス送料が4,200円。

近所のプジョーで聞くと、お値段と送料はほぼ同じだがVATの3,500円が加算されるとのことなので、VAT節約のためネット購入に決定! 送料は少し高いけど、UPSのエクスプレスで翌営業日には届くらしいので、それなら週末のドライブにも間に合うし、と楽しみに待つことに。


国境ゲート。たいてい素通りできます。

木曜日は大雨でライン川も軽く氾濫したらしく、後日川べりにいったら土嚢が積んでありました。
商品到着予定の木曜日、待てども届かず。UPSのサイトで追跡すると、荷物は朝方バーゼル空港へ向かったが悪天候で引き返したとのこと。翌金曜日、夕方になっても届きません。調べたら昨日と同じ場所でまだじっと出発を待ってました。おーいとっくに雨あがってますよ〜。結局この週末はカーナビなし。高い送料払った意味もなし。CDは翌週月曜日の午後に何事もなかったかのように到着しました。

それから1週間後、UPSから請求書がとどきました。中身を読むと、「VAT3,500円をUPSが立替払いしているので、立替手数料1,900円とあわせて払ってね」と書いてあります。えっスイスのVATとるの?しかも立て替えてなんて頼んでないからっ!むしろエクスプレス料金返して欲しいくらいだからっ! しかし請求書からそこはかとなく漂う「抵抗してもムダ」感に、5,400円をおとなしく支払い、二度とUPSなんてつかうもんかと堅く心に誓ったのでした。


クレジットカードがちゃんと発行されるまでの期間:???
引越翌日にUBSで口座を開設したとき、一緒にUBSクレジットカードを申し込みました。キャッシュカードのほうは翌週届いたのですが、クレジットカードがなかなか来ません。

3週間後、心配になって電話で問い合わせると、「まだ処理中ですね。クレジットカードは他のカードより発行に時間がかかりますから、もう少々お待ちください」との返事。

それから2週間後、まだこないので今度は支店へ出向いて聞いてみると、「今担当者がいないから詳しいことはわからないけどもう1〜2週間お待ちください」とのこと。


UBSの入口

そろそろ申し込みから2ヶ月が経過したので、再度電話で問い合わせてみることに。今度はクレジットカードセンターに転送されました。名前と生年月日を伝えて調べてもらうと・・・「検索しましたが、申込書が届いていないようです」 あのう、UBSの窓口で申し込んだんですけど。「申し訳ありません、そのお名前では申込書は来ていないんです」 えーと、どうしたらいいんでしょう? 「もう一度申込書を送ってください。」 ふりだしに戻る。

数々の「遅いけどちゃんとやる」になれて油断してました。あなどれないぞ、スイス。
ちなみに申込書を再送して約3週間、いまだクレジットカードは届きません・・・。


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