2008.8.9
フィルスト
スイスでは、山道はもちろん、近所で散歩するときにもストックをついて歩いている人をよく見かけます。「夏からスキーの練習?」と思いきや、これがれっきとした歩き専用のストック。普通の長さのがノルディック・ウォーキング用、伸縮式で3分の1の長さに折りたためるようになっているのがトレッキング用だそうです。値段は重さ、素材、グリップの仕様によって幅があり、1本5千円〜2万円程度。

ひょっとしてこれさえあれば山道もラクラクなんじゃないか?と淡い期待を抱き、トレッキング用の中級モデルを買ってみることにしました。形から入る私は両手用に2本、そんなん買ってもロクに山なんか行かずにすぐ飽きちゃうんじゃないの、と懐疑的な嫁は片手用に1本です。

ストック売り場。どこのスポーツ用品店にもあります。

フィルスト駐車場
週末、早速使い心地を試しに山へ。
今回はグリンデルヴァルド(Grindelwald)の村を起点に、フィルスト(First)展望台付近を歩いてみることにしました。
(ユングフラウ観光にはこちらのマップが便利。時刻表はこちら

朝9時にグリンデルヴァルド到着。ここからゴンドラ(Firstbahn)でフィルストまで登ります。ゴンドラ乗り場は鉄道駅から結構遠いので、車の場合はフィルスト駐車場を利用すると便利。
ゴンドラに乗ると、中には日本語解説つきのトレッキングマップが貼ってあり、途中通過駅にも「降りないでください、フィルストはまだ先です」と、日本語の案内板がありました。さすがは観光地です。

ゴンドラ乗り場

いつのまにか雲が眼下に。いやな予感。

晴れてたら景色いいんだろうな、という場所

何か用?
約30分で終点のフィルストに到着しました。ふもとはいい天気だったのに、高度2000mのフィルストはすっぽりと雲の中。本来ならすごくきれいに見えるはずの遠くの山々もまったく見えません。
雲が晴れることを祈りつつ、「アルプスの宝石」といわれる湖、バッハアルプゼー(Bachalpsee)を目指してトレッキングを開始。最初は上り坂が続くのですが、なるほど、ストックを使うと足腰への負担が分散し、リズムもついて快調に歩けるような気がします。

30分ほどで湖に到着。えーと、聞いてた話と全然違うんですけど・・・。

こちらが「聞いてた話」
スイス政府観光局のページより)

ほんとに同じ場所ですか
また晴れたときに来てみようということで湖を後にし、草原を抜けてゴンドラ途中駅のボルト(Bort)へ向かう下りルートへ。

湖までは結構観光客がいたのですが、ここからはパッタリと人も牛もいなくなり、前後左右見渡す限り動くものは私たちだけになってしまいました。うねうねと流れる川が低い雲の中へと消えてゆく様子は、まるでこの世の果てのよう。ルートを示す標識も途絶え、行く先も見通せないまま、ところどころの岩に塗られたペンキの目印だけを頼りに進みます。

あ、ストックは、こういう足場の悪い下り坂で最も威力を発揮するということがわかりました。両手に持つと4本足になって安定感抜群です。
雲の下に出ると、遠くの景色を見渡せるようになりました。氷河がきらきらと太陽を反射しています。

やがて休憩ポイントのWaldspitzに到着すると雲はすっかり晴れ、絶景が広がりました。

この世の果てからようやく脱出

牛にも再会。すいません、そこ通ります・・・。
このトレッキングルートには「Alpine rose trail」という美しい名前がついています。アルペンローゼはスイス3大名花のひとつだそうです。道中いろんな花が咲いてたけど、どれだったんでしょうか。

まだ体力に余裕があったので、休まず一気に下ることにしました。近道しようと急な階段が続くルートを選んだところ、途中から足をつくたびに膝と腰に痛みが。症状が中年そのものです。。。

肉体的・精神的なダメージを受けつつボルト駅に到着。フィルストから約3時間、結構ハードな運動になりました。
ボルト駅の横にあるレストランでランチ&ビールにしました。

いつも感心してしまうのですが、天気のよい週末、絶好の行楽日和のお昼時に、有名観光地にあるレストランの眺めのよいテラス席がなぜかガラガラに空いている。なんとも余裕があるというか、贅沢なことです。

スイス名物レシュティ

こんな景色をひとりじめ

ボルト駅でレンタルできます(ヘルメット付き)

いきなり急坂
食後は、嫁が楽しみにしていたトロッティバイク(Trottibike)に挑戦。サドルとペダルのない自転車のようなもので、ボルトからグリンデルヴァルドまでの山道を一気に下ります。

立って乗るので自転車ほど安定しないのと、かなりのスピードがでるので超スリリング。途中ののどかな景色も楽しめます。

終点近くなると普通の車道を走るので、カーブから対向車が飛び出してきたりと、また違う意味でスリリングですが、この爽快感はかなりのもの。フィルストにいらしたらぜひ、おススメです。

平らに見えても結構スピードは出続けるので、


ずっとブレーキ握りっぱなし。握力が鍛えられます。

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