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2007年7月16日 記


キオビエダシャクの大逆襲とその顛末記

 それまで見たことのない美しい蛾・キオビエダシャク(左写真2004年撮影)が我が家の庭に始めて姿をみせたのは2003年の春であった。2003年、そして2004年と2ヵ年連続で、ラカンマキに新緑の若葉が出揃った頃、その蛾の幼虫が大量発生し、新芽が食われ、垣根全面にわたり大被害を受けたのであった。しかし、その後、2005年も2006年もほとんど被害なく、一ヵ月半ほど前の2007年6月07日に今年もたいした被害もなく終わったと書いたばかりであった。しかし、その後、キオビエダシャクは大挙して大逆襲をかけてきた。3〜4週間ほど前、かって経験したことのない大集団のこの蛾が我が家のラカンマキと一つ葉の垣根に群がってきた。少なくとも40〜50匹はいたと思う。見回すと、両隣の一つ葉の垣根にも群がっている。私は、幼虫が発生し次第駆除しようと思いつつも、このところ忙しかったので、次の週末には薬を散布しようかなと、のんびりと構えていた。そこに来たのが今回の台風4号である。これだけ大型の台風なら、幼虫は全て吹き飛ばされて、散布の必要もないかもしれないと高をくくっていたことも事実である。
台風一過、翌朝、被害の状況を確認のため庭に出て驚いた。
ラカンマキの垣根の葉っぱがほとんどなく、青空が透けて見えているのである! 

ラカンマキは真ん中から上は、葉がなく枝だけになっている。最初は台風で葉っぱが吹き飛ばされたのかと思ったが、そうではなかった! 大きく成長して丸々と太ったキオビエダシャクの幼虫がいたのである。もちろん、トレポン乳剤を散布した。

しかし、落ちてきた幼虫は被害の甚大さに比べると少ない気がした。
私は、背筋が寒くなった、きっと、大きく成長した幼虫の殆どは糸で地面に降下を終了し、あるものは蛹になり、あるものは蛹への変態の途上にある可能性が高いと判断せざるを得なかった。というのは、成熟した幼虫は降下して地面に浅く潜り込み、約15日間かかって蛹に変態することを知っていたからである。私は濃ゆ目のトレポン乳剤水溶液を大量作り、これを根元の黒土にかけて回った。果たせるかな、予想通りのことが起こった。

苦しそうに身をもだえさせながら、蛹や変態の途上にある黒っぽく変色した幼虫が地中から這い出してきたのである。私は蛹にこれほどの運動能力があることに驚いた。

これらを集めたところバケツ一杯獲れた。這い出してきた蛹は7匹で、変色した幼虫は数え切れなかった。上のバケツの中の幼虫の内、変色してない小さめの幼虫が木から落ちてきたもので、それ以外の大半は地中から這い出してきた変態途中の幼虫である。
ちなみに、以前紹介した今年の春の新芽の写真と、幼虫の降下の写真を再掲し、最後にキオビエダシャクのライフサイクルの図を載せる。