思うこと 第60話           2006年1月23日 記       

2006年の“年の初め”の読書 −その5− 

日本の今後 −その4−


 私が今回読んだ本の中で、第57話で述べた浅井 隆氏のほかに今後の日本経済の破綻を予告しているもう一つの本が左写真の高橋乗宣氏の本である。 浅井 隆氏の説く日本の国家破綻は日本発の破綻のシナリオであったが、高橋乗宣氏は米国経済の破綻の方が先に来て、それに連動する形で日本経済も破綻するであろうと説いている。 原油急騰が米国国経済に与える影響は深刻で、住宅バブルの崩壊も今年起こると予想し、双子の赤字が極度に膨らみ、ドルの国際的信用低下が限界を超え、米国の赤字を支えてきた外国からの資金が米国国債から逃げ出し始め、米国の長期金利が急騰し、世界的な経済危機がおこり、日本経済も同時に崩落するであろうというシナリオを説いている。
 第58話で述べたように、この本は日本経済の今後をネガティブに見ている最極端に位置していて、高橋乗宣氏とは立場を異にするポジティブな意見のを述べている本の方が多かった。
 だからといって、高橋乗宣氏の予想は“100%起こりえない”というわけにもゆかない。例えば、昨日(1月22日)の新聞にちょっと目をやっただけでも、日本経済新聞には、昨年の米国の貯蓄率がとうとうマイナス水準に転落したが、この水準は1932年、33年の大恐慌以来の出来事であると大きく報道している。また、朝日新聞は金利上昇と原油高により米企業の業績に陰りが出てきたことを嫌気して、NYダウが213ドルの大幅安となったと述べている。
 高橋乗宣氏の予想が的中する可能性は小さいとは思うが、起こり得ることと受け止め、米国も日本もそれを阻止すべく手を打たなければならないと考えるべきであろう。