思うこと 第57話           2006年1月20日 記

2006年の“年の初め”の読書 −その2− 

日本の今後 −その1−


 思うこと 第56話(1月8日記)で、1月7日から9日の3日間の東京出張の機会に右写真の18冊の書籍を買い込んだ話をした。 当初、3日間の出張期間中に読めるだけ読んで、あとは、いつものように“積ん読”になるはずであった。
 ところが、全く異なる展開となった。 読めば読むほど面白く、かつ、自分がこれほど大切なことに、かくも無知であったかと言うことに愕然としたのであった。 結局、“斜め読み”することが出来なくなり、この18冊のうちの17冊を昨夜までに“熟読”してしまった(「天皇と東大」の1冊だけは今回のテーマからはずれるので“積ん読”にまわした)。今回読んだ17冊のこれらの本は、大きく分けて、今後の日本はどうなるのか、小泉政権の評価をどう考えるべきか、米国と中国を含め現在の世界情勢をどう考えたらいいか、の3つのテーマが主なもので、それぞれの本がこれら3つのテーマにお互いにリンクし合っていた。 私は、今日から、何日間かに亘って、上記3つのテーマに沿って、これらの本を読んで考えたことを、この「思うこと」にシリーズで記すことにした。


先ず読んだ論座2006年2月号については第56話で述べたが、その次に読んだ2冊(左右の写真)は私にとって、これまで考えたこともない“驚愕の”内容が語られていた。著者は浅井 隆氏で、今後2年から10年後にかけて、日本は確実に国家破産への道を歩んでゆくというものであった。こまめに数値(データー)を示して、それをもとに論じているので、感覚的にはそんなバカな事がおこるわけがないと思っても、そのデーターが本当ならそうかもしれない、とも思えるのであった。しかも著者は、国家破綻を経験したロシアやアルゼンチン、トルコ等にも頻繁に足を運び、国家破綻に至る経緯を詳細に調査しているため、説得力がある。浅井氏の考えを要約すると次のようになる。
1.2005年度末の国と地方を合わせた債務残高は1000兆円を超える(政府の長期債務残高774兆円+短期債務と財投債残高114兆円+地方の債務残高205兆円)。この額は、我が国のGDP(500兆円)の2倍にのぼる。(このデーターは日経新聞2005年3月23日から引用したものであるので、信用できそうである。)
2.我が国の債務残高は毎年ものすごい勢いで上昇しており、対GDP比の国の債務残高は、日本は1999年にはついにイタリアを抜いて世界一となり、その後も一本調子で上昇中であるという。 このデーターは財務省のホームページから得たと書いてあるので、早速HP( http://www.mof.go.jp/tokusyu/zaisei.html この中の I 財政の現状 4.財政事情の国際比較 )を覗いて見たところ、驚くことにそのグラフ(右図)が載っていた。 このグラフには本当に驚いてしまったが、財務省発表だから、信用せざるを得ない。
3.浅井氏の調査によると、これまで歴史上国家破産したところは、全て国の債務残高が対GDP比で2倍近くに上昇した時に起こっているという。日本の場合、このグラフが今後も上昇を続けざるを得ないことをデーターをあげて論じている。
4.この結果、いずれ、国の債務残高がどうしようもないレベルに達し、ハイパーインフレを経て、国家破産へと進むことは今や避けがたい状況であると説いているのである。

ほんとうにそうなら大変なことである。
ほんとうに、そうだろうか?

これを、私なりに検証するために、今回買い込んだ残りの本を本気で読む羽目になり、昨夜やっと読み終えた次第で、その結果は、明日以降、時間を見つけては順次書いてゆきたい。