思うこと 第44話   2005年9月17日 記

筋萎縮症の患者さん達による「5人の轍展」に感動

私の原点は筋萎縮症の患者さん達との出会いにある。私がこれまで出会った患者さん方とは親しい友人としてのおつきあいが続いている。それら私の友人のうちの5人が自分達の作品を「5人の轍展」と銘打って展示会を開催した(平成17年9月3日〜27日)。私は2日目と3日目と6日目の3回会場に足を運んだ。これまでのどの展覧会でも味わったことのない、不思議な感動であった。魂の中から溢れ出る情熱が絵の中にほとばしり出ていて、私の魂にせまってきた。







この5人展は新築落成ごの三宅美術館の第2回目の特別展示の催しとして行われたが、この第一回目が私の納光弘展であっただけに、第2回目がこのような企画で行われたことは感慨無量で、この美術館の理事長の三宅智氏ならびに美術館長、副館長はじめ関係の皆さんに感謝することであった。



まず最初に展示してあったのが左上の写真に示す山田凡雄君の作品群で、右上の写真に示す挨拶文で始まっていた。左の写真の2枚の絵は同君が特別に選んだもので、ガラスケースのなかに展示されていた。その作品のすばらしいタッチに魅せられていたら、「納先生!」と、なんと山田君が電動車椅子で近づいて来るではないか!
なつかしい友人に会えた喜び、いかばかりであったことか! すばらしい作品の完成に祝辞を贈ると同時に、話に花が咲いたのであった。「オードリー ヘップバーンのファンだったのだね!」との私の問いに、山田君は100万ドルの笑顔で答えてくれたのであった。


その次に展示してあったのが左下に示す宮田誠君の作品であった。

同君の挨拶文を右の写真に示すが、私は同君の作品に、中でも特にコンピューターグラフィックで描かれた作品に、しばし時を忘れて見いってしまった。三宅環(たまき)副館長の説明によると、それらの絵の一部分を完成させるだけのために3ヶ月もの日月を費やしたこともあったとのこと。


この、左の絵が私がもっとも気に入った絵である。まさに人間業とは思えない、夢のように美しい絵である。構図も色彩も美しい!コンピュータグラフィックでこれだけ美しい絵をかける人は、世界中さがしても他にはいないのではなかろうか!








さて、その次に展示されていたのが、左下の写真に示す峯元宏誌君の作品である。

右の挨拶文に書かれているように、峯元君の絵は全て油絵であった。口にくわえてこんなにすばらしい絵を描けるとは! 





同君の絵は心の内面をまでをも描ける、そういう絵といえる。
色の使い方が、奥深く、うまいと思う。










次が、左下の写真に示す木脇画伯こと木脇正敏君の絵である。

















筋肉の萎縮が進行し、筆を持てなくなった13年前から足で描き続けてきた。




右の写真はその一つである。木脇君の絵は、どの絵も、同君の湧きあがる熱い情熱がキャンパスにあふれて、見る人の心に迫ってくる。誰にもまねの出来ない、すばらしい作品群である。





5人のしんがりを飾っているのが、左の写真に示す日高和俊君の作品群である。



右の同君の挨拶文にも書かれているように、気管切開をして寝たきりとなってからは、コンピューターグラフィクで描き続けてきた。同じコンピューターグラフィクでも宮田君とは作風が異なる。











宮田君がグラヂュエーションの技法を得意としているのに対し、日高君はグラヂュエーションは殆ど使わず、面と線の美しさを生かした技法を駆使している。日高君の絵は、とっても明るい、素敵な絵である。描いた数の多さにも驚嘆した。

最後に、未だ行っていない人のために案内のチラシを下に掲げる。