思うこと 第227話           2007年6月28日 記

日米シミュレーション医学教育シンポジュウムに参加して−その2−

 昨日の『第226話』の会場は、国立医療センター大講堂で行われたが、今日は東京ドームホテルに場所を移して行われた。昨日は、『シミュレーション医学教育』の日米の専門家だけの集いでホットな英語の討議が飛び交ったが、今日は『シミュレーション医学教育』とはどのようなものかを知りたいという一般の方々の参加も多く、どちらかと言うと日本語が主流であった。

 『シミュレーション医学教育』に関連する企業の展示ブースも並び、





また、アナフィラキシーショックへの対応の訓練のプレゼンテーションもあった。


 今回のシンポへ参加して、私にとって最も有難かったことは、米国ならびに日本で、どの施設が、どのようなことをやっているかをオーバービュー出来たことで、この会を企画・主催された池上敬一先生に感謝と敬意を表したい。
米国では、昨日紹介したハワイ大学に加え、

ピッツバーグ大学がずば抜けており、Dr.Phrampusの講演スライド数枚を以下に紹介する。

センター設立は1994年で、以後、この世界の先導役を果たしてきており、

センターは結構なスペースを占めている。

先生が一番強調されたのは、利用者からのフィードバックで常によりよいプログラムに変えてゆくシステムの構築の重要性であった。
 今回のシンポジュームを通して、日本でこの分野を先導しつつあるセンターの存在を知ることが出来たことは、私にとって大きな収穫であった。今日も、昨日に引き続き、虎の門病院の中西先生のお話があった(下写真)。

日本医科大学のシミュレーションセンターも、

卒前、卒後教育に威力を発揮しつつあることが、志村敏郎先生から報告された。
また、聖路加国際病院のシミュレーションセンターラボについて、

石松伸一先生から報告があったが、私が最も注目したのはその組織で、

2005年5月に設立されたこの教育研究センターが病院と同格に位置づけられている点、理事長の日野原先生の慧眼に感嘆した。

石松先生は教育研修部の担当で、

シュミレーションラボの管理運営は教育研修部の役割の一つであった。
今日の話の中で、初めて知った講座名があり、それは、

『教授システム学専攻』という講座名であった。この講座はさらに多くの分野に分かれており、喜田敏博先生は Instructional Technology 分野の准教授である。その後話された鈴木克明先生は、

同講座の Instructional Design分野の教授で、

高品質の研修を開発するコツについて話された。
私は、この様なすばらしい講座を新設した熊本大学はすごいと思い、

そ今夜の懇親会では、真っ先に鈴木克明先生(上写真)に『どうやって、この様なすばらしい講座を作ることが出来たのですか?』とお尋ねした。そして、知ったのが、平成16年に国立大学法人に移行した際、ガラガラポンを断行して幾つかの革新的な講座を作った一つがこの講座とのこと。私は、それを断行された崎山達郎学長に、畏敬の念を持つと同時に、今後の熊本大学のますますの隆盛を予感させていただいた。
 ともあれ、実に得るところの多かった2日間であった。私は、この収穫を独り占めするのはもったいないと思い、ここにレポートさせていただいた次第である。