思うこと 第174話           2006年11月20日 記       

パプア・ニューギニア、ソロモン巡回診療報告ーその27ー
戦後のパプア・ニューギニアと日本との深いつながり

 今回の旅行を通じて、戦後のパプア・ニューギニアと日本との深い繋がりを随所に見た。
ポートモレスビーの国際線国内線両空港の建物も日本の資金援助で建てられ、

ニューギニア随一(唯一)の国立総合病院の建物の大半が日本の援助で建てられており、

下写真は小児科病棟であるが、明るくきれいな病棟であった。

ソロモンにはCTが一台もなかったが、パプア・ニューギニアでも富裕層相手の個人病院に一台だけあるのみで、この国立病院にもCTはないとのことであった。
 パプア・ニューギニアは1975年9月16日にオーストラリアから独立し、英国女王を元首とする立憲君主制となった。もちろん、この“英国女王の元首”は象徴的なもので、実際の政治は一院制の議会のもとで政府により執り行われている。現在政権の座にあるマイケル・ソマレ首相は4期連続首相を歴任、政局はやや流動的ではあるが、5期目も同首相が選ばれるであろうと予想されている。独立した1975年に発行された1キナコインは現在も流通しているが、なかなか手に入らない貴重なものとのこと。たまたま我々の検診団の田中裕美副看護師長さんがおつりの中に見つけ、周囲の羨望の的となった。そのコイン(右側の大きいコイン)と現在主に流通している1キナコイン(左側の小さなコイン)の写真を示す(1キナは約40円に相当)。

マイケル・ソマレ首相は50キナ紙幣に印刷されていることは(下写真)、第169話でふれた。

首相は日本語を話す親日家であるが、実は首相はウエワクの出身で、6〜7歳のころ当時占拠していた日本軍の『柴田学級』で学んだという。パプア・ニューギニアは第二次世界大戦の戦場となり、結果として同国民および国土に被害が生じたが、それにもかかわらず、対日感情はむしろ良いといえるようである。これは、日本政府による経済開発援助に対する感謝の念(有償資金援助622億円、無償資金援助300億円)や、伝統文化を維持しながら経済発展を遂げたことへの尊敬の念が影響しているとのことであった。日本のNGOの支援活動も親日感情に寄与しているようである。貿易でも日本とは関係が深く、日本への輸出総額は2004年実績で301億円と、豪州についで2位。日本への輸出主要品目は銅鉱、木材、魚介類。日本からの輸入総額は2004年実績で69億円で、輸入主要品目はトラック、タイヤ、乗用車、一般機械。
 この国で活躍している日本人も多い。ポートモレスビーの日本人会の方々が私達検診団の3人を招待して歓迎・慰労会の宴を持ってくださったが、

会場となった日本料理店大黒レストランもポートモレスビー市民の人気が高いとのこと。
ここの鉄板焼きでは、ワニの肉も初めて味わったが(下写真)、

ともあれ、この夜は、日本人のこの国での活躍ぶりが話題の中心となった。