思うこと 第133話 2006年9月3日 記
2006年9月8日 『牛尾氏の証言』追記
衝撃の竹中レポート
靖国参拝では超マイナスの評価をさせてもらった小泉総理ではあるが、総理の最大の功績は竹中平蔵氏を重用したことであると私は思う。 日本の経済がここまで立ち直ったのは、竹中平蔵氏の手腕によるところが大きい。 竹中氏については、今年の1月22日に『思うこと 59話』でもふれたが、その中での竹中氏の主張は次のように要約できる:『「小さな政府」への改革の手綱を緩めてはいけない。 2005年度予算では44兆円の税収に対して約二倍の82.2兆円の支出。この差額の大半が毎年新規国債として積み上げられ、2005年度末には770兆円にのぼる。この支出を下げ、税収を上昇させ、いずれ新規国債をゼロにもってゆき、そしてさらに、税収よりも支出を少なく出来て初めて、その時までにさらに積み上がってしまっているであろう膨大な国債残高の償還に手をつけることが可能になる。』というものであった。このとき、私は漠然と、『税収をあげるという中には消費税を上げるということも含まれているのであろう』と思ってしまっていた。 ところが、これが私の大変な誤解である事がわかり愕然とした。 数日前に送ってきた「日経ビジネス2006年9月4日号」の124ページ〜127ページの竹中総務大臣特別寄稿を読んでの事である。
竹中氏は、消費税を引き上げてはいけない、と主張しているのである。 その理由を読んで、目からうろこの心境で、すっかり納得した。 明確な経済理論に裏打ちされたこの主張に、私は深い感動を覚えた。 氏は、レポートの最後を次の言葉で締めくくっている;『デフレ克服の遅れは明らかに日本を「悪循環シナリオ」に導く。政治が国民のために目指すべきは、改革継続によって経済を活性化し税負担を極小化する「好循環シナリオ」である。その志が本当にあるのかーー。総裁選で候補者に問われるのは、まさにこの点である。』
竹中氏は「その志のある候補者」が誰であるのか、直接名前をあげてくれてはいない。 昨日(9月2日)の日経新聞では、安部晋三氏が立候補を表明し、政権構想を発表したことが大きくとりあげられ、3人の候補者の政権構想の比較表まで掲載されていた。 それによると、谷垣氏は消費税を10%に引き上げるべきとの考えで、安部氏の考えが竹中氏の主張に完全に沿っているようである。 総裁選はすでに安部氏に決まる事が確実と思われる情勢であるから、後は、安部新総理が靖国参拝をしないよう祈るのみである。 私の、希望的予感では、安部氏は、靖国参拝に関しては確信犯的推進派ではあるが、信長的狂信の人ではないので、周囲の訓言に耳をかたむけて、総理在任中は参拝を慎むような気がする。 そうなる事を、祈ろう!
2006年9月8日追記 『牛尾氏の証言』
昨日の朝日新聞の『検証 構造改革 第4部 当事者達の証言B』に登場したウシオ電機会長の牛尾 治朗氏は、経済諮問会議の4人の民間議員の1人で、骨太の構造改革の枠組作りに尽力されたかたであるが、このインタビュー記事のなかで、宮澤喜一財務相のときはこう硬直化した予算編成のプロセス改革もままならなかったが、小泉首相と竹中経済財政相の登場で見違えるように変わったと述べている(下写真)。 当事者の証言として、私には貴重な発言であった。