思うこと 第123話           2006年8月14日 記

国立循環器病センター卓上カレンダーの挿絵を依頼されて

 これほどの感激があろうか! あれは、去年の暮れだったか、国立循環器病センターの北村惣一郎総長から電話で、『山口武典前総長からセンターの2007年度の脳卒中予防カレンダーの挿絵にあなたの絵がいいのでは、との話があり、早速あなたのホームページの画廊を見ました。私もいい絵だと思いました。 ぜひお願いしたく、来年9月までに1月から12月までの12枚の絵を用意してもらえませんか?』との依頼を受けた。 本当に感動であった。 しかし、それは同時に苦難の道のりの始まりでもあった。 1月から12月までのそれぞれ季節感をもった絵を用意することが必要であったが、これまで描いた絵だけでは不十分で、相当描き足さねばならないことは明らかであった。 (ちなみに、左の写真が2006年度の卓上カレンダーである。) 当初、自分でも気に入っている「桂林夜景」「日の出を待つフィヨルドの静寂」も候補の筆頭に考えた。 今年の元旦、突然、「そうだ、このカレンダーにオーロラを描こう」と思いついた。 そして、今年2月、年休をいただきアラスカに飛んだ。 帰り次第オーロラの絵を描き始めた。 その直後、私の日本画の師匠の村居正之先生にカレンダーの絵の構想について相談した。 「12枚の絵に共通テーマがほしいね、何にしますか?」と先生に言われ、私の答えは、即、「桜島」であった。 広重の「東海道53次」みたいに、どの絵にも私の心の分身ともいえる桜島を描く。 思っただけでも胸が熱くなる構想であった。 6枚はこれまでに描いた桜島の絵を使うことにした。 描き足す6枚の絵は、3月に「梅と桜島」、4月に「桜と桜島」、6月に「竹と桜島」、8月に「松と桜島」、9月に「15夜の月と桜島」とここまでは順調に構想が立った。 『松、竹、梅、桜、満月』と、カレンダーにとっては季節感そのもののテーマであった。 ところが、最後に残った12月の絵の構想でハタと困ってしまった。 12月をオーロラで締めくくりたい。 しかし、桜島にオーロラは現実には“あり得ない”事である。 そこで思いついたのが、そうだ、絵の題を「夢」にしよう。 夢なら何でもありだ、という天才的発想(?)に有頂天になった。 そして出来上がったのが「オーロラ日本画第2作目」であった。 オーロラがまだ頭の中に舞っているうちに描いてしまおうと、5つのオーロラを同時進行的に描き、オーロラ日本画の5つの作品全てが完成したのが、6月18日であった。 その後、上記の『松、竹、梅、桜、満月』の5枚の絵を再び同時進行で描き始めた。 その時点で、締め切りの9月中旬まで3ヶ月しか残っていなかった。 今日、8月14日、やっと、5枚のうちの1枚目、「梅と桜島」が完成したので、『個人的出来事 第49話』にアップした。 今後、順次出来上がり次第、アップしてゆく予定であるので、乞うご期待。