個人的出来事 第9話   平成16年(2004年)5月27日

30年ぶりに私の油絵と再会

加治木にある国立療養所南九州病院の福永秀敏院長から職員に講演をしてほしいとの嬉しい依頼があり、「難病の根治療法をめざして」というタイトルで話をさせてもらった。この写真は私の講演の座長をしてくれている福永院長の姿である。私にとって、この病院は30年前に、私の生涯のテーマである“難病の治療法の研究”
がスタートした重大な意味を持っている病院であるだけに、そこでお話の機会をいただいたことは、ただただ感激であった。30年まえの、当時の様子はこのHPの
http://www5f.biglobe.ne.jp/~osame/wakamononi/kounannjyuku-kouenn/kinnjisukannjyasann/kinnjisubyoutou.html
を参照ください。この講演の後に、病院を見せてもらったが、福永院長の努力ですばらしい病院に発展していることに、感動した。筋ジス病棟ではなつかしい多くの患者さん方と再会でき、これまた感激であった。もう一つ、私にとってはすばらしい感動の出会いがあった。それは、福永院長から、私が30年前に描いた絵を手渡されたことであった。この絵は、筋ジス病棟の初代病棟医長として張り切って仕事をしていた当時、近くの重富海岸に患者さんと社会見学に出かけた時に、30〜40分ほどのわずかな時間に馴れない油絵で即席のスケッチをして、筋ジス病棟の食堂に架けさせてもらったものである。それがこうして30年後も残っていたとは! 現存する私の唯一の油絵との出会いは、感無量のものがあった。絵としては、幼稚で、とても人様にお見せできるものではないが、筋ジスの子らに対する私の熱い思いと重なって、私にとってはかけがえのないほど貴重な絵である。明るい赤を使ったのは、1日も早く治ってほしいとの思いが絵の具の選択につながったような気がしてならない。松林のなかで車椅子に乗ってはしゃいでいるこの子らの多くが、今、天国に居ることを思い、研究にもっともっと力をいれて頑張らねばならないとの思いを新たにする。
黙祷。