個人的出来事    第92話     2007年8月9日 記
チベット日本画スケッチ旅行−3〜7日目−その6−
ラサ市内観光


昨日、8月8日、きっかり1年後に開催される北京オリンピックへのカウントダウン開始に沸く北京を飛び立ち、福岡空港に着いた。
今朝は、朝から財団法人慈愛会での仕事を開始したが、済まさなければならない仕事が山ほどあり、それがすむまではこのホームページでの報告に手を付けれそうにないので、今日はとりあえず北京からの帰りの飛行機の中で書いた『−その6−ラサ市内観光』をアップするにとどめ、この続きは今週末の日曜日から再び報告を開始する。

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8月4日は1日中、市内観光で過ごした。
ラサの象徴、ポタラ宮は市内のどこからでも仰ぎ見ることが出来る。

1645年、ダライ・ラマ5世が、中央茶色の紅宮のすぐ右の建物(白宮)の造営を始めて以来、このポタラ宮は歴代ダライ・ラマの居城となった。白宮はチベットの政治の、紅宮は宗教の中心。歴代ダライ・ラマのミイラを納めた霊棟もポタラ宮の中にある。1959年のチベット動乱の時インドに亡命したダライ・ラマ14世もこの宮殿で過ごした。現在は主不在のまま観光資源として保存されている。ただし、建物保護のため入場者は制限されており、あらかじめ旅行社を通じて予約しておかないと、前日並んで切符を買わないといけない。高さは115メートルというから、鹿児島で言えばほぼ城山の高さである。

この様な石段を登って行くのだが、

城山の石の階段を登るのとの大きな違いは、ラサは海抜3650メーターなので、空気が平地の3分の2しかないため、高山病にならないよう気をつけながら、ゆっくりと登らなければならないことである。

上からの景色は、ラサ市街の全貌を見るのには好都合である。
さらに全貌をつかみ易い超広角写真が掲げてあるレストランがあったので写真に収めた。

現在、ラサ市街は、ポタラ宮とジョカン寺(後述)を中心とする旧市街を取り囲むようにして西へ、東へ、北へと新市街が広がっている。新市街の一部の写真を下に示す。

一方、下の写真が旧市街の一部で、

この道の奥にジョカン寺(大昭寺)がある(下写真)

このジョカン寺の門前の光景(下写真)に、私は強烈なインパクトを受けた。

門前の石畳一面で驚くべきお祈りの光景が行われていたのである。細長い布団の様なものを敷いた上に、両手には草履ようのものを付け、それを滑らしながら全身を投げ出すお祈りを、果てしなく繰り返しているのである。これは、五体投地と呼ばれるお祈りの方法とのことで、実は、林芝の山の自動車道でもこれを繰り返しながら進んでゆく巡礼者を見たのであったが、カメラを取り出す暇も無く通り過ぎたのであった。ジョカン寺(大昭寺)の中に入ると、ここでもお祈りをする信者で占められていた。

ここでは、下の写真に示す様なお祈りの仕方であった。

信者の方々が手に持ってくるくる回しているものは『転経筒』と呼ばれ、この中に経書が入っており、一回転で一回お祈りしたことになるとのこと。
我々は、入場料を払ってすぐに入場できたが、信者や巡礼者の方々は無料とのこと。ただ、多くの方々が、並んで順番を待っておられた。
この、建物内のお祈りの光景の中で、私が胸を締め付けられる思いがしたのは、下の光景で、

お孫さんと思われる二人の子供に見守られながら、息絶え絶えの様子で横たわる老人(多分重い病と思われる)がもてる力を振り絞って『転経筒』を回しておられ、その横で、多分奥さんと思われる女性が目頭を押さえておられたのである。

さて、このジョカン寺(大昭寺)を取り巻く路地は、この様な売店が軒を連ねており、パルコル街と呼ばれ、観光客の人気のスポットである。私は買い物には興味が無く、近くを通る巡礼者や辺境から出てこられたと思われる信者の方々の表情にむしろ興味を持ったのであった。

しかし、ふと、売店の品物の中にトルコ石が多いのに気付き、

中でも、一つ、とっても気に入ったトルコ石を見つけた(下写真)。

どんなに高くても買いたいと思って、同行の胡 精先生に相談したところ、私は一切この店に近寄らず、全て私にまかせてほしいとのことであった。外国人の観光客と見ると法外な値段を言うし、まけて貰えないからとのこと。それでも、この石の値段は高く、胡先生が聞いても3600元(約6万円)とのこと、結局交渉の結果、半額まで値切ってくれたが、時間があればもっと値切れるのだが、ポタラ宮見学の時間が迫っていたのでこれで手を打ったとのこと。

ホテルに帰って、改めて写真を撮ったが、この石は、私の宝物で、いずれこの石で上等の岩絵の具を作れると思うと、嬉しくてならない。トルコ石にかける私の日本画の思いは『個人的出来事 第67話』を参照いただきたい。
さて、今日の話の締めくくりに、私達がラサで泊まったホテルを紹介しよう。

5つ星の高級ホテルで過ごしやすいホテルであったが、何よりありがたかったのは、

酸素吸入の出来る医務室が完備し、ナースが常駐していたことで、

もしも、ラサに行かれる方があれば、お薦めしたいホテルである。

さて、今回のチベット旅行のハイライトの納木錯(ナムツォ)日帰り旅行は翌日(8月5日)行ったので、それについては、明日以降の次の機会に記す。