カナディアンロッキー日本画スケッチ旅行記−その2−
Spruce tree と Fir の見分けかた

 アラスカではいたるところに spruce tree が生えていたことに感銘を受けたのであったが、
カナディアンロッキーでも、同じ様な風景によくであった。上の写真はペイト湖の風景写真であるが、私はてっきりこれらの木々は
spruce tree 思った。しかし、この林の横に次の様な木の名前の説明版が立っていた。その、説明版を写真に写したものが下の図であるが、この林は Subalpine fir Engelmann spruce の2種類の木からなっているとの事。

すなわち、Fir (モミの木)と Spruce tree (トウヒ属の植物)の2種類からなっているというのである。これらは、いずれもマツ科に属し、見た目には慣れないとわかりにくい。このたて看板には、松ぽっくりがFir (上の図)では上向きで、 Spruce tree では下向きになっていた。
アラスカでは Spruce tree だけしかなかったのに、なぜ、カナディアンロッキーではFir と混在しているのかという疑問は、ネットで調べた下の Alpine Fir の分布図から説明できた。

さて、両者の鑑別点を現地の方に聞いたところ、極めて明快に教えてくれた。
遠くから木を眺めただけでは両者は完全には区別しにくく、
まず Spruce tree だけからなる林の写真を示し(下写真)、

次に Alpine Fir の大木を示す(下写真)が、

ちょっと枝ぶりの雰囲気は違うが、我々素人には鑑別が難しいと思った。
しかし、ハッパを見ると、鑑別は極めて容易であった。

上の写真が Spruce tree の葉であるが、肉太で厚みがあり、割面は正3角形に近いため、

指で揉むところころと指の中で転がすことが出来、硬く、葉を触るととげとげして指に痛みを感ずるが、一方、 Alpine Fir の葉(下写真)は薄っぺらな葉で、指で揉んでも転がらず、触っても柔らかく痛みを感じないので、両者の鑑別は容易であった。

幹の表面も両者に違いがあり、

この上の写真は Alpine Fir の幹で、皮が厚くごつごつしているのが見ただけでわかるが、横断面の写真が立て看板にあったので示すが、

皮が厚くでこぼこしているのがわかる。
一方、 Spruce tree の幹は Alpine Fir の表皮にくらべ皮が薄めでより滑らかである。

松ぽっくりは Spruce tree のものしか観察できなかったが(下写真)、たて看板の通り、やはり下向きであった。

後一つだけ余談を付け加えると、アルプスの麓の林はその大半がもう一つ別の松ノ木からなっており、

近くから撮影したものも下に示すが

同じ大きさの棹のような感じの松ノ木で

この写真に示す原住民インディオのテントの柱に使われたことに由来して、 Lodge Pole Pine と呼ばれていた。
以上カナディアンロッキーの旅行で印象に残った“松の木、3種類”について語った。