魔女界にプロ野球チームを作ろう!!
第30話「匠の闘病日記」

 美空市民病院の内科病棟に匠は入院した。病名は肝臓ガンである。手術してガン細胞を取り除けば治る。この病院には2カ所手術室があると匠は聞いていた。その2階上の外科病棟におんぷがいたのだ。
おんぷ「ママ、退屈なんだけど。何か無いわけ?テレビとかそんなの」
美穂「何を言ってるの!前もよく見ずに交差点から飛び出した、おんぷちゃんが悪いのよ。反省なさい!それに外科の患者さんは右足を複雑骨折したあなたと違って、治るのが早いのよ。わかった?」
おんぷ「本当、退屈で暇だな…」
匠「瀬川、そう湿気た面するなよ。俺もこの下に入院しているから、来ちまった よ。元気なお前は何処へ行った」
と匠は言って笑った。
おんぷ「匠さん、なんで此処にいるの」
匠「ガン。しばらくは退屈で無くて済むな。1ヶ月後に手術するんや」
おんぷ「ミーナさんたちは何処にいるんですの?」
匠「美菜と成田空港に竜平さんを迎えに行っている。竜平さんは子供の頃から熱狂的な阪神ファンだとさ。全く、ミーナの叔父はカープファンやのに」

***

埼玉県にある西武ドーム。一際目立つルーキーがいた。赤い髪が特徴的なその青年は主砲カブレラを直球で三振させていた。
???「さあ、この程度ですか?もっと骨のある打者はいないか!」
石井「暁、その辺りで止めてやれ。肩壊すぞ」
暁「石井さん…。わかりました。これ以上やると面子が丸つぶれになります」
トオル「もう終わりかよ。面白くない」
フジオ「僕がキャッチャーを勤めたから当たり前だよ。僕は満足かな」
レオン「ミーは暁が今季のキーマンになると思うよ。ホエールズなんか目じゃ無いね」
昨年のドラフトで西武に1〜4巡目された4人は魔法使い界から人間界に留学していた。若獅子のアイドル軍団といわれて、キャンプから一軍に上がっている。全員が180センチの長身でありイケメン揃いなので、若い女性を中心に応援会ができていた。
どれみ「暁君がプロ選手になってる。信じられ無い…なんか西武ファンになりそうで怖いわ」
半ば信じられ無い様子で新聞を眺めるどれみだった。足を骨折して入院しているおんぷは週刊誌でこの情報を知った。
おんぷ「懲りないわね、トオル君は。プロの違う世界で私に挑戦するつもりなのかしら。久しぶりに燃えて来たわ」

大阪の天下茶屋町。
あいこ「トオルのやつ根性あるやん。せやかて、あたしを振り向かせるとは思えへんけどな」

美空市民病院の匠の病室
匠「西武が強くなるな。今季の四番は暁でいくかもな」
おんぷ「そうね。打者として高校時代はPL学園のエースとして、甲子園で優勝させているわ。4人共全員レギュラーだったみたいね。社長に調べさせたの」

ホエールズ選手寮の纏の部屋
こがね「UNO!!」
瞳「うわあまた負けた。こがねコーチ強すぎ」
剣「瞳さん、お先にUNO!」
纏「あたしもだ。お先に失礼」
美咲と瞳との一騎打ちになった。最後の人は缶ジュースをおごることになっている。
美咲「ごめんなさいね。UNO!」
瞳「みんな、どれが良いのよ?」
寮の表の自動販売機にみんなで買いに行った。
剣・美咲「瞳さんごちそうさまです」
纏「小夜子、ごち」
こがね「瞳さん、ごちそうさまでした」
寮母「あんた達、いい加減にお風呂入って下さい!片付きませんから!!」
一同「ごめんなさーい。今すぐ入りますから、許してー!」

風呂場にて。湯船に浸かる5人。
纏「また西武が大型補強したらしい。西武の財力は底なしだよ」
瞳「知ったことか。勝つだけだよ、纏」
美咲「全員、あのPL学園出身で甲子園優勝している。気を抜いたら総崩れになるわよ…」
こがね「若獅子のアイドル軍団よ。去年まで2軍だったから私も知ってるわ」
全員風呂から上がる。5人共着替え終わった。

***

美空市民病院の患者の匠やおんぷも入浴時間になっていた。しかしおんぷは入浴が終わると、リハビリをしなければならない。だから、そう長くは入浴できなかった。
匠「瀬川、そいじゃあリハビリ頑張ってな。かなり痛いと思うけど…。それではおやすみ」
おんぷ「はい、匠さんもおやすみなさい…。また明日」
午後11時。匠とおんぷは眠りについた。


−次回予告−
どれみ「魔女界に最近行っていないな」
ハナ「ハナちゃんどれみに会いたい。次回、魔女野球『ハナちゃん6歳。小さな女王奮戦記』心の直球あなたに届け」

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