魔女界にプロ野球チームを作ろう!!
第29話「ももこの友情!(後編)」

 ももこは悩んでいた。今までは日本人と言ってもあまり怒らなかったのに、近頃態度がおかしい。そして、対決の時になった。
ポート(兄)「こっちは凄腕の日本人を連れて来た。看板畳んでどっか行け、糞ったれ!」
ポート(弟)「兄貴よ、奇遇だな。こっちも凄腕の日本人を連れて来たぞ…。潰してやらあ!今のうちに荷物まとめたらどうだ!」

試合が始まった。初回の匠は逗師を120点差で突き放す。
ミーナ「あなた、すごいわ!相手を突き放したじゃない。この調子で頑張って」
匠側ベンチは盛り上がる。逗師側ベンチでは怪しい取引が行われていた。
逗師「例の件は頼めた?…わかったわ。作戦通り…」
逗師は匠のそばに近寄った。そして…。
逗師「匠さん、お腹すいたでしょう。私ね、お弁当作って来たんだ。お茶もあるわ」
匠「敵に塩を送ったという戦国武将がいたという。ありがたく頂戴しよう!」
逗師「本当ですか!嬉しい。ありがとうございます!」
彼女はベンチに引き上げる時に笑った。そのお弁当を匠はたったの5分でたいらげた。そして、お茶を飲み干す。
しばらくすると匠はお腹の異変に気づく。お腹が痛くなって来る。
匠「逗師…。お茶に何を入れやがった!腹が痛えぞ…」
逗師「あら?匠さんの崇高な舌でもわからなかったんだ。便秘薬よ!どんな頑固な便秘でも出すってやつを…しかも、通常の倍の量をね!」
ミーナ「なんて卑怯な!」
逗師「卑怯…?勝つ為ならば手段を選んでいられないわ!苦労人?…ばかばかしい。そんなのは面倒で邪魔な存在よ、わかる?」
ももこは逗師の頬をビンタした。その刹那
ももこ「スポーツシップっていうのがあるわよ!匠さんはここまで来るのにどんな煮え湯を飲まされたのか、わかってやった ことなの!?答えてよ!早く答えて!」
逗師「あたしも、わかるわ。全ては監督命令なのよ…。ごめんなさい!取り返しのつかないことをしてしまって…。本当にごめんなさい!」
泣きながら、逗師は謝った。
匠「うぷっ!おえ…吐き気がして来た…アメリカの便秘薬は強いな…。副作用かもしれない。早く、救急車を呼んでくれよ…」
ミーナ「飛鳥さん911よ!早くして。匠の顔が真っ青だわ!急いで」
ももこの通報を受けた救急隊によって、匠は病院に搬送され即入院となった。
美菜「パパ…。病気!パパ…」
匠「美菜…。大丈夫だよ。パパは不死身だからね」
どれみが美菜と手を繋いでいた。そこにミーナが入って来るのだった。
ミーナ「あなた…。肝臓に異常が見つかったから、日本の病院で手術してもらうと良いって先生が」
匠「日本で手術はしない。若くして死んでたまるか!アメリカのドクターが良いよ。医療が進んでいるからな」
ミーナ「わかったわ…。先生に話して来る。春風さん、美菜を見ててね」
どれみ「わかりました」

***

日本ではホエールズの合同自主トレが行われていた。
東尾「松岡!ノック行くぞ!お前ら200球捕るまで続けるからな。覚悟しろ!」
纏「監督、すごい熱心だな。前のシーズン5位はかなり響いたかな」
大野「お前たちは100球投げ込み。直球ばかり投げろって」
纏「はい、わかりました。大野コーチ」
美空球場で打撃を教えるこがね。
こがね「おい!手首かえってないわよ!そんなのでは、大空が遠くなるばかりだぞ!聞いているの、君たちは!」
若き熱血打撃コーチがそこにはいた。
大空のホエールズ練習場におんぷがスポーツ番組のアナウンサーとして来ていた。
おんぷ「擬宝珠選手が苦労なさったことって…」
剣「おんぷちゃん危ないよ!」
松岡のすっぽ抜けたボールが、おんぷの頭を直撃した。
おんぷ「痛いっ!頭がズキズキする。もう…気をつけて下さいね!」
松岡「すみませんでした。まさか、おんぷちゃんに当たるとは。ついでに、ボールにサイン下さい!お願いします」
おんぷ「ごめんなさいね。今は仕事していますから、後でお願いします!」
今年こそは優勝。そのムードにホエールズはなりつつあった。
***続く

 次回の魔女野球は『奇跡よ、起これ!匠の闘病日記』心の直球あなたに届け!
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