魔女界にプロ野球チームを作ろう!!
第28話「ももこの友情!(前編)」

 ニューヨークの魔法堂にはたくさんのお客さんが詰めかけていた。匠一家はももこに呼ばれ、やって来たのだ。
匠「年始セールなんてことするから、大変なことになったろうが!」
ももこ「後で話があるから、少し待って下さい。あっ、いらっしゃいませ!ありがとうございます」
匠は溜め息をつく。
匠「飛鳥、手伝うことある?ミーナと手伝うぞ」
ももこ「何もしなくて良いですよ。ニニ後は頼んだわね」
匠「お前、良いよね妖精を持ってて。なんだい?話って」
ももこは匠の耳元に囁いた。
匠「アーチェリー?まあ、確かに経験者だけど…。それがなんだい?」
ももこ「アーチェリークラブが潰れそうなんだ。力になってあげたい。でも、わからなくて…」
匠「近いうちに試合はあるのか?」
ももこ「はい。隣町のアーチェリークラブと試合があるわ。人数があと1人足りなくて…」
匠「で、わしを助っ人に呼んだわけか。良いよ。やったる。弓道具を持って来るよ」
そして、数分後に匠はアーチェリー道具を持って来た。

***

翌日、ももこの通っている高校のアーチェリー射場に匠の姿があった。
匠「おっ!やってるやってる。30メートル当たってるな。良いこと、良いこと。ここで出来る練習は50メートルまでか」
ももこ「ベス!おーい!!助っ人連れて来た…」
匠はももこの口を塞いだ。が、時既に遅し。矢は的台の屋根に直撃した。
匠「あーあ。飛鳥のせいだ。2本目までX(10点)だったのに、飛鳥がでっかい声出すから…。ほれ落ちこんでいるよ、あのアーチャー」
アーチェリーは自分で矢を的まで取りに行く。
ベス「ももこ、タイミング悪いよ。一番最後の矢だったの」
ももこ「ごめんね、ベス。約束していた助っ人よ。日本人の匠さん」
ベス「日本人…。アテネ五輪では銀メダルだったわね。私の名前はベスです。短い間だと思うけど、よろしくね」
匠「Mr.ヤマモトは特別ですよ。彼は日本で体育の先生をしてますよ」
ベス「意外ね。授業しているうちに体力がついたのかな?」
とべス言って彼女は笑った。
匠(すげえスコアだな。あの人も勝っている。美希恵さん、あんたのライバルはアメリカの高校にいるよ。一度は手合わせしてみな)
匠はただそう思った。
匠「しかし…。すごい自家製の形だな…これまで見たことがないよ」
ももこ「中学の時にはこの自己流フォームで出場禁止になったんだよ。その時一番最後に戦ったのが日本人の逗師美希恵っていう女子だったわね」
匠「えっ、あの逗師と最後まで戦ったのか!広島の星だぞ、彼女」
ベス「忘れもしないわ。あのジュニア五輪決勝の屈辱を」
ベスは語り始めた。

***

それは彼女が中学生の時のこと。彼女は圧倒的な強さで勝ち上がり、ジュニア五輪決勝まで駒を進めた。
ベス「やっとここまで来た。もうすぐアメリカが世界1に輝くのよ!」
延長に継ぐ延長。それは逗師が放つ場面に訪れた。
アナウンサー「さあ、3度目の決勝延長戦。逗師の出番だ!日本は金メダルなるか!?」
延長戦の最後の矢。逗師は全神経が集中していた。その時!写真フラッシュが彼女の目を襲った。
逗師「うあっ!」
衝撃と同じくして矢は的を外した。
係員「机に記者が隠れていたぞ!射方妨害だ!逗師選手はもう1本お願いし…」
逗師「いえ、私の責任です。彼女に金メダルを譲ります。集中してなかった、私のせいです!」
ということらしい。

***

ベス「結果は私が金メダル…。だけど、あいつはアメリカに恥をかかせたの。大好きなアメリカに」
匠「ベス、それは違うぞ…」
ベス「黙れ!敗者の気持ちがわからないやつなんかの指図は受けない。私は練習を上がる。お前ら、これからは自由練習だ!ももこ、行くわよ!」
匠は頭を抱えた。
どれみ「匠さんは悪いこと言っていないよ!むしろ、先輩からのアドバイスしようとしたんでしょ。悪いのはベスさんの方だわ」
と言って匠の肩を叩く。弓を持って来たのはどれみだった
ミーナ「匠のアーチェリーは自分を磨く為…。だけど、あのベスって子は勝つ為のアーチェリー。だから言いたくなったの匠は…。そして、匠自身も苦労人だったらしいわ。匠の説教を聞かないなんて態度が悪すぎるわ!言うなれば匠も私も苦労人よ」
とミーナはどれみにそうっと囁いた。

***続く


−次回予告−
おんぷ「ついにこの時がやって来た。アーチェリーはわからないけど、ももちゃんの学校がんばれ」
どれみ「ももちゃんの高校のアーチェリークラブの監督とライバル監督は兄弟通し。でも5年前に喧嘩して以来仲が悪くなってます」
ももこ「次回の魔女野球はこの続きを後編としてお伝えします!心の直球あなたに届け。ベス…なぜあんなことに…。本当のベスはどこに行ってしまったの…」
第29話『ももこの友情!(後編)
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