魔女界にプロ野球チームを作ろう!!
第18話「ミーナの発病!?」

 大空市内にあるホエールズ室内練習場で合同自主トレが行われた。匠も番記者として中にいた。
 ランニングや素振りなどで体を動かす選手たち。瞳選手会長はテレビの取材に答えていた。ランニング中のミーナがうずくまって倒れた。
球団職員「救急車だ!早く連絡しろ!」
取材中の瞳選手は匠に、
瞳「友さん、やばくないですか?ミーナが倒れたって」

 ミーナは病院に搬送された。しかし、医師には匠一人で部屋に来る様に言われた。匠は嫌な予感がした。こういう時の匠の勘はよく当たった。
匠(まさか、あれではあるまいな。神さんっ!ミーナを守ってくれ)

 医師の診断結果は、『慢性型骨髄性白血病』匠は茫然自失になった。
匠(なんで…?センスある人が墜ちていって、ない奴らが上がってくるん…)
その夜、酒を買いに行った。所詮は飲めない酒。匠は咳込んだ。

***

 最悪の形で次のシーズンはスタートした。新聞に躍り出るのは…
『ホエールズ、最下位!!』
『どうした!?鯨軍団』
…という見出しが目立った。匠は理解していた。
匠(ミーナはチームのムードメーカーや。抜けてもうたら闘志も失せる。で、また負ける…。悪循環になってしまう)

 匠はミーナの見舞いへ行った。病室に入ると、スポーツ紙を広げたミーナがいた。
ミーナ「あら、あなた来てたの。こう連敗続きじゃダメね。守護神のあたしがいなければ…ゴホッ、ケホッ」
匠「お前も無理すんな」
と言って匠はミーナの背中をさすった。
匠「これ、瞳選手会長から」
と匠が差し出したのは、綺麗な桜の花だった。
ミーナ「うわあ!綺麗な桜」
匠「そこの花瓶に活けておくな」
ミーナ「ありがと。瞳さんによろしく言っておいて」
匠「わかった。瞳さんに伝えておくよ」

***

 慢性型骨髄性白血病患者の入院生活は案外、退屈で暇である。毎日毎日、抗ガン剤を打たれるだけの生活。匠はハワイのミーナの親戚や友人たちに白血球の型を調べてもらった。しかし、全て不適合だった。応援団の全員も調べたが、結果は全員シロ。最後の望みを託して匠は自分を調べてもらった。なんと!型が一致したのである。ミーナと匠は移植施設のある、名古屋市内の病院へ向かった。

 移植の一週間前にミーナは「前処置」(大量の抗ガン剤や放射線を当てて白血病細胞や造血幹細胞などを死滅させること)に入った。匠が拒んだら…。

匠の病室。
ミーナの父親「娘を…ミーナを救ってくれ。15年ほったらかしで、神のくれた機会も物にできなかった…。僕は父親失格だ」
匠「そんなこといわんで下さいよ。白血球の型は親ですら合わないって、高校の時に本で読みましたから。さらに他人となると1万人に一人しか型が合わないんですよ。これだけでも奇跡ですから、泣かないで下さいね」
 匠の腰骨から、骨髄液が採取された。そして、ミーナの元へ運ばれる。その骨髄液は点滴で移植される。1t、2t…。
ミーナ(あなた…。骨髄をありがとう。おかげでまた野球が出来るようになるわ本当にありがとう)
点滴を受けながら、ミーナは涙を流していた。そして匠は麻酔から覚めて…
匠「看護士さん。ミーナは…」
看護士「大丈夫ですよ。無事に成功したそうです。奥さんが助かって良かったですね」

 数日後、二人は揃って退院した。
匠「今回のことで、骨髄バンクの大切さがよくわかったよ。お義父さんにアメリカで入るように進めた」
ミーナ「確か、日本にもあったはずよ。入会へ選手会で話あってみるわね」
匠「それは良い考えだ。応援団にも呼びかけてみるよ」
ミーナは2軍の美空へ、匠は記事を収めるのに広島の中国新聞本社へ向かった。


−次回予告−
どれみ「骨髄バンクか…。加入してみようかな」
おんぷ「私は芸能人だし、体は大事だからやめとく」
ももこ「次回、魔女野球。『応援団、バンク加入か!?』心の直球あなたに届け」

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