魔女界にプロ野球チームを作ろう!!
第14話「日本一なるか!執念の日本シリーズ」

 2007年日本シリーズが開幕した。相手の横浜ベイスターズの監督はかつて知将と呼ばれた上田監督。彼は伝統のマシンガン打線を復活させて、ファンを多いに沸かせた。ホエールズの先発はミーナ。ミーナはカットボールとスラーブ(スライダーの指の掛け方でカーブする球)を武器に防御率1・25という、最高のシーズンだった。
 ホエールズのベンチでは円陣が組まれていた。
瞳「この球場のお客さんはほとんどが私たちのファンだ。知将がなんだ!私たちは常に前を見続けるのよ」
ミーナ「皆さん、堅い守りをよろしくお願いします!」
瞳「ホエールズ、ファイト!!」
一同「オーーッ!」
 気合いを入れて望んだ試合だった。その試合の先制点は、纏の投手本塁打だった。そのボールは右中間スタンドのちょうど、纏の家族が座っているあたりに落ちた。匠は団長としてその場へ向かった。
匠「本塁打のボールは係員に渡して、サインボールとの交換をお願いします。選手と知りあいならサインを書いてもらうと良いでしょう」
と、纏の家族とも知らずに匠は言った。
 全くもって、纏は怪物だ。長い日本シリーズの歴史の中で投手本塁打を放ったのは彼女が初めてという。私情では婦警で祭りが好きな普通の下町の女だというのに…。男勝りで負けず嫌い。野球は兄に負けたのが悔しくて始めた。選手会長の瞳とは小学生の頃、バッテリーを組んでいた。
 纏が鼻をケガして戦列を離脱した時にあてもなく魔女界にいた。魔女幼稚園を覗くと、子どもたちと一緒に保育士らしい女性が寝ていた。その子どもたちと一緒に遊んであげたりもした。
(あの子どもたちは元気だろうか…。あの時のように無邪気にはしゃいでいるのかな…)
瞳とキャッチボールをしながら纏はそう思った。そこに瞳がやってくる。
瞳「纏、どうしたのよこの試合で悩みがあるの?」
纏「いや何でもないよ。早く肩を作ろうか」

…。ただ、魔女幼稚園は建物が全壊し先生二人が瓦礫の下にいた。ただちに自衛隊による、レスキューチームが結成された。埋まってから36時間後に奇跡の生還を果たした。(子どもたちは無事だった)自衛隊の救急車内で骨折などのケガの処置をした。
ハナ「みんな無事で良かったよ〜っ。それにママたちから物資が来たよ。服とか、カップ麺とか」
 自衛隊野外炊具一号(陸上自衛隊の誇る道具の一つ。焼き料理を除いた煮る揚げる炊く蒸すの調理を約45分間で200人分賄える能力があり、さらには冷蔵冷凍機能もあるすぐれもので阪神大震災の時の自衛隊の給食は潤滑的に行えた)からの食事が配られた。さらに、深緑色のタンクからは水を出し、被災者にパック詰めして配った。他にも野外洗濯セット(これは、20人分の衣類を洗濯から乾燥まで一気に行える能力を持っている)は魔女たちを驚かした。隊員らの一子乱れない団体行動にも度肝を抜かれた。また、自衛隊は被災者の為に風呂を炊いた。(註・阪神大震災で実際に行った方法です)

人間界では、纏が孤軍奮闘していた。
「誰かの為になんかやる」
小声で纏は相手にそう言った。
魔女界も頑張っていた。


−次回予告−
纏「待ちに待ったこの瞬間。いざ、日本一へ!」
どれみ「纏さん、かなり張り切っているな」
こがね「故郷の希望になればいいけど」
匠「なるさ、きっと。オリックスのように絶対になる。次回魔女野球、『こがねの希望』心の直球あなたに届き」

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