まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第53話『おジャ魔女は止まらない!』
(2005/10/23 入稿)
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─コンコンッ
しずくの部屋、どれみとしずくは部屋の扉からノックの音を確かに聞いていた。
しずく「はい?」
ガチャッっと音をたてて開いた扉の隙間から、さつきのさらさらとした長い髪が覗いた。
さつき「ヤッホ〜、来たよ、しずくちゃん、どれみちゃん。」
しずく「あ、さつきちゃん、いらっしゃい!」
さつき「何してるの?」
どれみ「今はずっと話とかしてたんだ。」
さつき「へぇ、何の話?」
しずく「おんぷちゃんの話。」
さつき「おんぷちゃんの?」
どれみ「うん、これ。」
そう言ってどれみは手にしていた雑誌のあるページをめくってさつきに渡した。
そこには、“大人気アイドル・瀬川おんぷ 映画「魔法の奏で」 主演決定!”とデカデカと書かれていた。
さつき「おんぷちゃん、映画の主演やるんだ、凄いじゃん!でも、この映画ってどういう話なのかな?」
しずく「魔法の国から来た10人の魔女が、魔法使いや魔女を育てる話だって。」
どれみ「その10人の魔女は、中学生の男の子や女の子を魔女とか魔法使いとして育てて、その子供同士に試験を受けさせて、競わせて、そんな感じの話だって聞いたけど・・・。」
しずく「それ以上の詳しい話は分からないんだ。でも、映画が公開される前に話の詳細が分かっちゃったら面白くなくなっちゃうからね。」
さつき「うん。そうだね。でも・・・そっか、おんぷちゃんが主演、かぁ。」
どれみ「おんぷちゃん、その魔女に育てられる中学生の女の子の役をやるんだってさ。」
さつき「なるほど、おんぷちゃん現役の中学生だから、ピッタシだもんね。」
どれみ「それに、魔女見習いの経験もあるから、まさに完璧って感じじゃない?」
さつき「あはは、映画監督さんが魔女見習い経験のあるおんぷちゃんを選んだのはたまたまなんだろうけど、なんだか凄い偶然よね〜。」
しずく「それにしてもおんぷちゃん、夢に向かってちゃんと前進してるんだなぁ・・・。」
さつき「私も・・・私も負けてられないな。私も叶えたい夢があるからさ・・・。」
どれみ「そういえば、さつきちゃん、医者になるのが夢だったよね。」
さつき「うん。」
どれみ「それにしても、みんな凄いなぁ、夢があって。しずくちゃんも夢とかってあるの?」
しずく「え?あ、うん、一応ね。」
どれみ「本当?どんな夢?」
しずく「ううん・・・恥ずかしいんだけど・・・私、洋服とかのデザイナーになるのが夢なんだ。」
さつき「デザイナー、か。そういえばしずくちゃん、自分でよくマフラーとか編んでるもんね。」
しずく「うん、編み物とか、そういうの好きだから、そういう仕事が出来たら良いなって、小学生の時からの夢なんだ。」
どれみ「そっか・・・。しずくちゃんも夢、あるんだね。」
しずく「どれみちゃんは、無いの?」
どれみ「私は〜、ステーキが食べられる仕事なら何でも良いかな、みたいなぁ!」
目を輝かせて言うどれみに対し、呆れてため息をつくしずくとさつき。
しずく「はぁ〜どれみちゃんらしいというかなんというか・・・。」
***
あいこ「おんぷちゃん、映画の主演、おめでとう!」
ももこ「おめでとう〜!」
おんぷ「うふふ、ありがとう、あいちゃん、ももちゃん。」
あいこ「映画公開されたら、絶対見に行くから、頑張ってや、ほんまに。あ、とりあえずせっかく来てくれたんやし、粗茶でもどうぞ。」
おんぷ「あら、ありがとう。」
あいこ「はい、ももちゃんも。」
ももこ「Oh , Thank you very much!」
ここはあいこの家、仕事の都合で大阪に来ていたおんぷと、風木の1級試験合格の後から学校が始まるまでの間、あいこの家に泊まることにしていたももこの3人は、あいこの部屋でお茶を飲みながら何気ない話に花を咲かせていた。
ももこ「はぁ〜やっぱりJapanese green teaはわさびがあっておいしいね!」
Japanese green tea、即ち緑茶をすすりながらももこが言った。
あいこ「それを言うなら、“わさび”やのうて、“わびさび”や!」
ももこ「アヒャヒャヒャヒャ、そうだった、そうだった。あれ、じゃぁわさびは何だっけ?」
あいこ「わさびは刺身とかについてる緑色の鼻にツンと来る奴やって。ももちゃん、相変わらず天然入ってるなぁ。」
ももこ「What's?」
おんぷ「ふふ、本当、相変わらずね。」
あいこ「それにしても、まさかこの3人で会う日があるとは思わんかったわ。」
おんぷ「私も、あいちゃんの家に寄ったらももちゃんが居るからビックリしちゃった。」
あいこ「なんか、たこ焼の作り方とか教えてくれってももちゃんが。」
おんぷ「そうなんだ。でも、どうして急にたこ焼なの?」
ももこ「パティシエになるために、いろいろと食べておかなくちゃって思って。それで、たこ焼の作り方とか覚えといたら、もしかしたら何かの役に立つかもしれないし。洋菓子とかとは全く違うけど、たこ焼を作る上での極意みたいなものをさ、洋菓子に取り入れてみたら面白いかな、って思って。」
あいこ「うん、そういうことらしいで。」
おんぷ「たこ焼と洋菓子か・・・なんか全く想像がつかない組み合わせよね・・・でも、ちょっと面白いかも。」
ももこ「でしょ、でしょ?それでね、あいちゃんの家に泊まっている間に少し思いついたことがあってさ、ちょっと食べてみてくれないかな?」
おんぷ「私に?」
ももこ「うん、おんぷちゃんも、それからあいちゃんにも。」
あいこ「もっちろん、良いで。」
ももこ「本当?あ、でも、おんぷちゃんはどうかな、時間があったらで良いけど・・・。」
おんぷ「親友の頼みだもの、もちろん良いに決まってるじゃない。」
ももこ「さっすがおんぷちゃん、“太った腹”だね。」
おんぷ「え"・・・。」
おんぷは突然両手で自分のお腹を隠すように押さえた。
あいこ「ももちゃん、“た”は要らんで、“た”は・・・それを言うなら“太っ腹”や。」
ももこ「あれ、そうだっけ、アヒャヒャヒャヒャ。」
おんぷ「あぁ、“太っ腹”と間違えたのか・・・あはは。」
そう言いながら安堵の表情を浮かべるおんぷ。
あいこ「でも・・・ももちゃん、材料とか器具とか、足りるん?」
ももこ「材料は実は昨日買ってきたんだ、器具はたこ焼器があれば何とかなるよ。」
あいこ「え、た、たこ焼器!?」
ももこ「そ、というわけであいちゃん、台所借りるよ。」
あいこ「あ、うん、OK、じゃぁ待ってるから。」
ももこ「Thank you 、あいちゃん。」
そう言ってあいこの部屋を出て行くももこ。
あいこ「たこ焼器か・・・それにしてもどんなお菓子作るつもりなんやろ・・・。」
おんぷ「さあね。ところであいちゃん、ももちゃんが一人居るだけで、凄く賑やかになったことない?」
あいこ「あぁ、お父ちゃんも言ってたわ、毎晩毎晩騒がしいって。」
おんぷ「やっぱり?」
あいこ「おかげで最近寝不足やわ。毎日夜遅くまで話し込んで・・・。ほんまに懐かしいわ、昔は毎日こんな感じやったんやなって。」
おんぷ「私も懐かしいわ。みんなが美空小学校に居たときのこと。」
あいこ「うん・・・あ、そうや、おんぷちゃん、時間ほんまに大丈夫なん?」
おんぷ「え、あぁ、うん、大丈夫よ。」
あいこ「そう、やったら良いんやけど・・・。」
***
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