まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第52話『ありがとうを求めて』
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魔法堂書店の前まで箒で飛んできた風木とこがねは、人影の少ない砂浜に降り立った。風木はそこで普段着に戻り、そして魔法堂へと足を動かし始めた。
こがね「とにかく良かったね、風木ちゃん、試験に受かって。」
かぜき「はい、良かったです。ほんっとにホッとしましたよ。もう、試験始まる前から心臓がバクバクドキドキでしたから。」
こがね「っと、ささ、風木ちゃん、中入って。」
魔法堂書店の入り口の前まで来ると、こがねは立ち止まり、そう言った。
かぜき「へ?」
こがね「良いから、早く中に入りなよ。」
かぜき「あ、はい・・・じゃぁ、入ります・・・。」
風木は、何か変だな、とこがねの行動に疑問を持ちつつも、魔法堂の扉を押して、中に入っていった。すると・・・。

─パン!パーン!パン!

かぜき「うわぁ!」
風木が中に入った瞬間、真っ暗闇の中から、突然その音が聞こえてきたかと思うと、紙テープのような物が風木めがけて飛んできた。
かぜき「何、何ですか一体!?」
風木が慌てたように言うと、突然魔法堂の中の電気がついた。
かぜき「あ・・・。」
見ると、どれみはもちろん、はづき、あいこ、おんぷ、ももこ、しずく、さつき、ぽっぷそれからメアリー、いろはまで、全員が魔法堂書店の中に居たのだ。
かぜき「みんな・・・。」
どれみ「風木ちゃん、1級試験合格おめでとう!」
はづき「頑張ったわね、風木ちゃん。」
あいこ「ほんま、久々の試験やのに、一発で合格するなんて、さすがやな。」
おんぷ「これで風木ちゃんも立派な魔女になれるね。」
ももこ「Congratulations!」
かぜき「どれみさん、みんな・・・今日は用事があるんじゃ・・・。」
こがね「あぁ、用事っていうのは私がついた嘘なんだ。風木ちゃんが試験に合格したらお祝いしてあげたいなって話になって、それで風木ちゃんにはナイショで計画してたんだ。」
かぜき「私なんかのためにお祝いなんて・・・。」
しずく「ううん、風木ちゃん“なんか”じゃなくて、風木ちゃん“だから”だよ、ね。」
さつき「そういうこと。風木ちゃんだから、みんな参加してくれたんだよ、今日の計画に。」
かぜき「でも、飛鳥さんなんて、アメリカに住んでるのに・・・。」
ももこ「今日風木ちゃんのお祝いをやるって聞いて、どうしても来たかったから、メアリーさんに頼んで箒に乗って連れてきてもらったんだ。」
メアリー「そういうこと。」
いろは「風木ちゃん。・・・おめでとう。」
にっこり笑いながら微笑みかけるメアリーといろは。
かぜき「メアリーさん、いろはさん・・・ありがとうございます。」
目に涙を浮かべながら、風木は頭を下げた。
ぽっぷ「風木ちゃん、合格おめでとう。やっぱり風木ちゃんは凄いよねぇ〜。」
かぜき「そんなこと無いよ。」
ぽっぷ「ううん、凄いよ。転校してきて、初めておしゃべりした日から、ずっと風木ちゃんと仲良くしてきたけど・・・。やっぱり風木ちゃんは凄いよ。」
かぜき「ぽっぷちゃん・・・ありがとう。みんな・・・本当にありがとうございます。」
こがね「そうだ、さつきちゃん、これ、貸してくれてありがとう。」
そう言ってこがねはさつきに携帯電話を渡す。
さつき「あ、うん。どういたしまして。」
かぜき「南井さん、それは・・・?」
こがね「あ、これ?さっきさ、風木ちゃんが試験に受かったことをみんなに報告するのに使ったんだ。ほら、無いとは思ってたけど、万が一にでも風木ちゃんが試験に落ちちゃったら、お祝いできないでしょ?だから・・・。」
かぜき「もしかして、さっきちょっと待ってて、って何処か言ってた時に電話をかけてたんですか?」
こがね「そうそう。」
かぜき「そうだったんですか・・・。」
どれみ「そんなことより、ほら、風木ちゃん、パー、っと楽しんでいこうよ!せっかくお祝いするんだからさ、いろいろ用意してあるんだし。」
かぜき「あ、はい!」
しずく「とりあえず、みんなジュース持って、まずは乾杯でも・・・。」
さつき「そうね。乾杯しましょう。」
ぽっぷ「風木ちゃん、はい、ジュース。」
かぜき「うん、ありがとう。」
風木はぽっぷからオイ!コーラが注がれたコップを受け取った。
どれみ「それでは、風木ちゃんの1級試験合格を祝って・・・かんぱ〜い!」
『かんぱ〜い!』
乾杯をすると、風木はコップに注がれたコーラを一気に飲み干した。
どれみ「お、風木ちゃん良い飲みっぷりですね〜。」
かぜき「おいしい、こんなおいしいジュース、初めて飲んだ気がします・・・。」
風木はそう言うと、ついに堪えきれなくなってか、涙を流し始めた。
はづき「風木ちゃん、どうしたの?」
かぜき「あ、すいません、私、嬉しくて・・・今までこんなお祝いなんてされたこと、なかったから・・・。」
あいこ「風木ちゃん・・・嬉しいやったら、泣かずに笑ったら良いやん。」
かぜき「あ、はい、そうですよね・・・。」
そう言うと、風木の表情はすぐに笑顔に変わった。
おんぷ「風木ちゃんはやっぱり笑ってる顔が一番可愛いわ。」
ももこ「うん、私もそう思う。」
ぽっぷ「私も。」
かぜき「ぽっぷちゃん・・・。」
ぽっぷ「え、何、風木ちゃん?」
かぜき「私、幸せだよ。みんなに会えて、本当に幸せ者だよ。」
ぽっぷ「・・・うん。」
風木の言ったその言葉に、ぽっぷは頷いてみせた。
その日、日が暮れてしばらく経っても、魔法堂書店の明かりが消えることはなかった。

***続く


次回予告
どれみ「今回のお話も、来週いよいよクライマックス!」
しずく「もう終わっちゃうんだ、今年も。」
さつき「終わりって考えると、寂しいけど、終わってもみんなとの友情はいつまでも消えないから・・・。」
こがね「当ったり前だよ、ね、みんな。」
しずく「うん!」
どれみ「次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、最終回!『おジャ魔女は止まらない!』、ドキドキピース、未来にひ〜かれ♪」

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