まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第52話『ありがとうを求めて』
2/4
かぜき「え、本当ですか?」
こがね「本当だよ。魔女界と人間界をつなぐ扉が安定してきたから、大丈夫だろうってことで、魔女見習い試験が再開されることが決まったの。」
かぜき「そうだったんですか・・・。」
こがね「風木ちゃんにとって久々の試験になると思うけど・・・大丈夫かな?一級試験って結構難しいからね。」
かぜき「南井さんも受けたことがあるんですよね?」
こがね「えぇ、去年ね。私の時は・・・一回試験に落ちちゃったけどね。」
かぜき「え、そうなんですか?」
こがね「うん・・・でも、二回目でちゃんと受かったよ。」
かぜき「うう〜、大丈夫かな、私・・・。」
こがね「ふふ、大丈夫よ、風木ちゃんだったら。それに、一度受かったことあるんでしょ?」
かぜき「そうですけど・・・全然自信ないです・・・。」
こがね「もう・・・風木ちゃん、一人じゃないでしょ?」
かぜき「え?」
こがね「ほら、ポケットの中。」
こがねがそう言うので、風木はポケットの中を探って、何かを取り出した。
かぜき「あ・・・。」
それは、リックスから預かった、ベリアリウムという宝石だった。
こがね「昨日の夜は言いそびれちゃったけど・・・実はこの間、リックスさんの裁判が幻獣界で行われてたんだ。」
かぜき「リックスの・・・?」
こがね「うん。懲役3年だって。だから、すぐには無理だけど、3年待てば、リックスさん、必ず戻ってくるよ。」
風木は、無言で右手の上に乗せられた小さな黒い宝石を見つめ続けていた。
こがね「だから、試験、頑張ってあげて。リックスさんがついてるんだから。」
かぜき「・・・はい、頑張ります。」

***

翌日の正午。風木は魔法堂書店にて魔女見習い服で待機していた。
かぜき「今日はいよいよ一級試験だよ・・・頑張ってくるね、リックス・・・。」
そう呟くと、風木はベリアリウムを持つ右手を強く握り締めた。
ペルル「本当にいよいよだね。」
かぜき「うん。」
ちなみに、ペルルが何故言葉を話せるかというと、以前に風木は魔女見習い一級試験に合格し、魔女になった経歴があり、その時に妖精は大人の姿に成長していたというわけで・・・。
ペルル「頑張ってね、風木。」
かぜき「任せといてよ。」
その時、魔法堂の扉が突然開いた。
かぜき「・・・南井さん?」
魔法堂書店の中へ入ってきたのは、なんとこがねだった。てっきり魔女見習い試験の試験官が来たものだと思っていた風木は、入ってきたのがこがねであることを知ると、安心したのか、強張っていた表情が少し和らいだ。
こがね「応援、来てあげたよ。」
かぜき「え、私の応援なんかのためにわざわざそんな・・・。」
こがね「良いの良いの、もう来ちゃったものは気にしないの。風木ちゃん、緊張してる?」
かぜき「えっと・・・はい、少し・・・。」
こがね「そう。まぁ、そうだよね、私も1年前、やっぱり緊張しててもんね。応援してあげるから、頑張ってね。」
かぜき「はい・・・ありがとうございます。」
こがね「そろそろモタとモタモタも来る頃だよね・・・あ、試験内容は知ってるよね?」
かぜき「はい、魔法を使って良いことをして、“ありがとう”って言ってもらえたら合格、ですよね?上手くいくかどうかは分からないですけど、私なりに精一杯頑張ってみます。」
こがね「うん・・・頑張れ。」
っと、こがねと風木がそんな会話を交わしていた時だった。
??1「あなたが水野風木って子かしらぁ〜?」
かぜき「モタさん!い、いつの間に・・・はい、そうですけど・・・。」
気が付けば、魔法堂の中にモタもモタモタもやってきていた。
モタモタ「じゃぁ〜早速だけどぉ〜今からぁ〜、魔女見習い一級試験を始めるわよぉ〜。」
モタ「今から日が暮れるまでにぃ〜、魔法を使って誰かを助けてぇ〜その助けた人から“ありがとう”って言ってもらえたら合格よぉ〜。」
モタモタ「分かったかしらぁ〜?」
かぜき「はい、大丈夫です。」
モタ「じゃぁ〜、試験はじめ〜。」

***

風木は美空市の上空を、こがねと共に飛んでいた。
かぜき「そういえば、どれみさんたちは・・・。」
こがね「え、あ、あぁ、どれみちゃんたちにも今日の試験のこと話したんだけど、ちょっと忙しいみたいで応援には来れないって・・・。」
かぜき「あ、そうだったんですか・・・。」
そう呟いて少し悲しそうな表情を浮かべる風木。
かぜき(せめてどれみさんには応援に来て欲しかったなぁ・・・でも、忙しいんだったら仕方が無いか・・・)
こがね「・・・風木ちゃん?」
かぜき「え、は、はい?」
こがね「どうかした?」
かぜき「いえ、何でもないですよ。えっと、困ってそうな人、困ってそうな人は・・・。」
風木は慌てた感じで困っていそうな人を探し始めた。
かぜき(そう、今はとにかく試験に合格することに専念しなくちゃ・・・どれみさんに試験合格の報告なんて後からでもいくらでも出来るんだから・・・)

***

美空市を流れる川のほとり、風木は普段着に戻ってその川の土手を歩いていた。
かぜき「ううん、結構居ないもんですね、困ってそうな人って・・・。」
こがね「そうね、なかなか分からないよねぇ。あ、そうだ、風木ちゃんって昔にも1級試験受けて受かってるんでしょ?その時はどうやって“ありがとう”って言ってもらったの?」
かぜき「その時は確か・・・。迷子の、幼稚園ぐらいの女の子が居て、その子を魔法で家まで連れて帰ってあげたんです。そしたら、“お姉ちゃん、ありがとう”って言ってくれて・・・。」
ペルル「そういえば、そうだったね。」
妖精のペルルは懐かしそうに頷く。
こがね「迷子の子を助けて、か・・・なるほどね。」
かぜき「今回も上手い具合に迷子の子が居たりしませんかねぇ。」
苦笑いしながらいう風木。
こがね「まだまだ時間はあるんだから、そんなに焦らないの。大丈夫だよ、きっと。」
かぜき「はい、ありがとうございます。」

***

次のページへ
リストに戻る