まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第51話『絆が動かす運命の歯車』
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その頃、どれみたちが居る、元・マジョユーナの住居に近づいていく集団があった。
??1「もうすぐ着くわね・・・。」
先頭を行くその魔女らしき人物は走りながらそう呟いた。
??2「もうすぐ、ですか?」
それを聞いて、後ろを追うもう一人が尋ねた。
??1「えぇ、間違いないわ・・・。」
??3「みんな、急ぎましょう。」
その4人の集団は、刻一刻と、着実にどれみたちの元に近づいていた。

***

階段を下りると、そこは不気味な通路が広がっていた。そこは耳がおかしくなりそうなくらい静かで、目を瞑っているかのように暗かった。
いろは「暗いわね・・・。」
いろはの呟く声がカラオケのマイクのオプション機能のようにエコー。
どれみ「灯り、出せますか?」
いろは「えぇ、任せといて。」
いろはがそう言って指を弾くと、ポンッと音を立てて懐中電灯が姿を現す。それによって照らし出された通路の先は、果てしなく真っ直ぐ続いていた。
こがね「行きます、か?」
こがねが息を呑みながら尋ねた。
しずく「えっと、あ、あのぉ・・・や、やめにしませんか?」
震える声で言うしずくに、ももこは何度も頷いて同意した。
さつき「しずくちゃん、ももちゃん、怖かったら上で待ってても良いよ。」
しずく「うん・・・でも・・・ううん、行く、私も・・・。」
ももこ「え、行くの、しずくちゃん?」
しずくは意を決したように頷いてみせるが、強く握られたこぶしは小刻みに震えていた。お化けなど人一倍怖がりなしずくにとって、この暗黒の通路には居るだけでも気を失いそうになるほどの恐怖感があっただろう。
いろは「しずく、良く言った。大丈夫、何かあったら私とこがねが魔法で何とかするから。」
いろははそう言ってしずくの手を握り、引っ張るように歩き始めた。いろはの手から温もりを感じたしずくは少し安心したのか、いろはに引っ張られるままに歩いた。しかし、しずくの手の震えはさっきほどではないものの、いまだ震えていた。
どれみ「ももちゃんはどうするの?」
ももこ「私も・・・私も行く。」
そう言ってももこは先を行くいろはたちの後を追った。続いて、どれみ、さつき、こがね、そしてこがねの妖精のキロルもその後を追う。

***

どれみたちの元へと向かっていた4人の集団は、ちょうどマジョユーナの家の前までたどり着いたところだった。
??1「着いたわ、この先よ。」
??4「この中ですか?」
??1「えぇ、入ってみましょ。」
先頭を行く人物がマジョユーナの家のドアを押すと、ドアはすんなりと開いた。そして、扉を開けた4人の視界に飛び込んできたのは、あの地下へと続く階段だった。
??3「あの階段、怪しいわね・・・。」
??2「怪しいな・・・。」
??4「怪しいわ・・・。」
??1「すごく怪しい・・・行ってみましょう。」
4人はひるむことなくその階段を下りていった。

***

いろは「行き止まり・・・?」
通路をしばらく進むと、そこは行き止まりだった。
しずく「いろはさん、この壁・・・何か書いてありませんか?」
しずくがそう言って行く手を阻む壁を指差した。
いろは「本当だ・・・魔法文字だわ。こがね、読んでくれる?」
こがね「あ、はい、えっと・・・。」
こがねはいろはから懐中電灯を受け取ると、壁に書かれた文字を読み上げ始めた。
こがね「『この先、エミリ、あるいは昔この家に訪れた少女以外の立ち入りを禁ず。』」
しずく「え・・・?」
さつき「マジョユーナさんの娘であるエミリちゃん以外の立ち入りを禁ず、っていうのは分かるけど、『昔この家に訪れた少女』って・・・どういうこと?」
キロル「それってもしかして・・・マジョビートのことじゃ・・・。」
こがね「え、私?」
キロル「だって、前に私たち、マジョユーナさんとこの家で会って・・・。」
そう、こがねは一度マジョユーナさんと直接対面したことがあったのだ。
こがね「で、でもどうして私が・・・?」
いろは「きっと、こがねにも確かめて欲しかったのよ。自分の発明が間違いじゃないってこと。こがねは、マジョユーナさんが心を許せた、数少ない人間の一人だったから・・・。」
こがね「私が・・・マジョユーナさんが心を許せた数少ない人間・・・?」
いろは「こがねがマジョユーナさんの家のあるあの森に迷い込んだとき、こがねはマジョユーナさんと出逢った。そして、マジョユーナさんはこがねを助けてくれたんでしょ?普通彼女が地獄界出身の魔女だと知っている人ならば、助けてくれるにしても、彼女を信用しようとは思わない。けど、こがねは彼女を信じて、マジョユーナさんについていった。だから、マジョユーナさんもこがねのことを信用できた。」
キロル「そういえば、日記に書いてあった・・・。私たちに、『この日記をエミリに渡してくれ』って・・・。あれはきっとマジョユーナさんが私たちを信用していたから、きっとまたマジョユーナさんの家に訪れてくれるって信じてたから、だから・・・。」
こがね「マジョユーナさん・・・。」
いろは「日記の文面上でこの地下室のことをエミリちゃんだけに伝えようとしたのは、こがねならきっとここにたどり着いてくれるって思ってたからじゃないかな。」
こがね「え?」
さつき「まだ幼すぎてマジョユーナさんのことを覚えていないエミリちゃんとは違って、マジョユーナさんのことを覚えていてくれるだろうこがねちゃんなら、日記に全てを書かなくても読んだらここに来てくれるだろうって・・・。」
いろは「そうすれば万が一この日記を裁判所関係の人に読まれた時でもこの場所がバレにくいしね。」
どれみ「・・・なるほど。」
こがね「そっか・・・でも、無理みたいですよ。」
こがねが困惑したように言った。

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