まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第51話『絆が動かす運命の歯車』
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場所は変わって、ここは元・マジョユーナの家。
いろは「先にもうキロルが来てるんでしょ?」
キロル、こがねの妖精である。
こがね「はい、私が裁判所とかマジョマリナさんの家とかに行っている間に、キロルにはマジョユーナさんの家に行って何か手がかりを探してもらおうと思って・・・。」
いろはの問いかけにこがねはそう答えると、こがねを先頭にしてどれみたちはマジョユーナの家の中へと入っていった。
キロル「あ、マジョビート、やっと来た、遅いよ〜。」
群青色の妖精はこがねたちの方にやって来ると、言った。
こがね「ごめんごめん。」
キロル「で、リックスさんの裁判の方は、今どうなってるの?」
こがね「12時間だけ時間をもらえたんだ。その間にリックスさんの二重人格を治して見せろって。ただ、もし時間に間に合わなかったら、その時はリックスさんには死刑判決を下すって・・・。」
キロル「そっか・・・。時間はあとどれくらい残ってるの?」
こがね「あと・・・8時間くらい。キロルの方は、何か手がかり見つけたの?」
キロルは急に黙り込むと、申し訳なさそうに首を振った。
キロル「マジョビートたちはマジョマリナさんの家にも行って来たんだよね?マジョユーナさんの日記には何か書いてなかったの?」
しずく「確か、地下室に発明品は保管してあるって・・・。」
キロル「え、地下室?」
こがね「ねぇ、キロル、この家にさ・・・地下室に通じる階段なんてあったっけ?」
キロル「ううん・・・この家の中をずっと探し回ってたけど・・・知らない。」
こがね「・・・そっか。」
キロル「あ、でも、ただ・・・こんなのは見つけた・・・。」
キロルはそう言うと、奥の本棚から数枚の紙切れを持ってきた。その紙はちょうどA3のコピー用紙よりも一回り小さいくらいの大きさの紙で、長い間この本棚に放置されていたのか、随分とホコリをかぶっていた。
いろは「これは・・・。」
いろははその紙切れに興味を示す。その紙には、鉛筆書きで機械の構造図のような複雑な絵が描かれていて、その絵の形は、こがねたちにはとても見覚えのある形だった。
こがね「いろはさん、これって・・・この家の構造図、ですよね?」
いろは「えぇ、あっちが玄関、そっちに窓があって・・・。縮尺も形もこの図面どおり、間違いなくこの家の構造図よ。」
どれみ「この家って、マジョユーナさんが作った家なのかなぁ・・・。」
キロル「マジョユーナさん、いろんな発明してたみたいだから、あり得なくは無いよ。」
さつき「だとしたら・・・この図面の中に地下室へ行く方法みたいなのがあるんじゃ・・・。」
しずく「あ、ねぇ、みんな、これって・・・。」
しずくは、数枚ある図面の内の3枚目の図面を指差しながら言う。
どれみ「え、どうしたの?しずくちゃん?」
さつき「これって、天井裏の図面じゃない?」
こがね「天井裏の図面?あ・・・本当だ。」
こがねは数メートルの高さがある天井を見上げては、図面と見比べながらそう言った。
いろは「で、しずく、この図面がどうかしたの?」
しずく「図面のこの部分の照明器具って・・・無いですよね?」
いろは「本当だ・・・無い、わね・・・。」
しずく「これって、明らかに不自然じゃないかなぁ・・・?」
さつき「・・・。」
しずくの言葉に、本来照明のあるはずの部分を無言で見上げるさつき。
どれみ「不自然って、考えすぎだよ。」
しずく「だって、マジョユーナさんがここで生活していたんだったら、夜になったら絶対電気点けるでしょ?」
こがね「ううん、マジョユーナさんを地獄界に連れ戻すかって言う裁判に携わった人が家宅捜索みたいなのをしたときに取り外したとか・・・。」
しずく「でも・・・裁判所の人がわざわざそんなことするかなぁ・・・。」
どれみ「長い間誰も来ないうちに重さで落下したとか、そんなんだよ、きっと。」
しずく「そうかなぁ・・・。」
さつき「いや・・・それは無いわ。」
こがね「え?」
さつき「重さで落下したなんてのはありえないわ。だって、ずっとこの家に誰も来なかったんだったら、照明の落下した跡とか、そもそもの照明自体がその辺に落ちているはず。でも、天井にあったであろう照明らしき物どころか、何かが落下した形跡すらここには無い。それから、裁判所の人が、この家ごと取り壊すならともかく、電気だけ外したりすることも無いと思う。もしあったとしたら、その照明になんらかの仕掛けがあって・・・。裁判所の人がそれに気付いた。」
どれみ「なるほど・・・。」
しずく「さすがさつきちゃん、物凄い説得力あるよ。」
いろは「照明に仕掛け、か・・・。ねぇ、その図面、もうちょっとよく見せて。」
しずく「あ、はい。」
いろははしずくから3枚目の図面を受け取ると、天井とその図面を見比べ始めた。
いろは「ここからじゃちょっと分かりにくいわね・・・。」
そう呟くと、いろはは箒を取り出してそれに跨り、天井の照明があったはずの部分を調べ始めた。
いろは「もしかして・・・。」
しずく「いろはさん、何かあったんですか?」
いろは「うん、ちょっと待ってて、これをこうイジって・・・。」
いろはは、照明がぶら下がっていたと思われる巨大なソケットをクルクルと回し始めた。
いろは「あれ・・・何も起こらない。逆周りかな・・・。」
そう呟いて今度はソケットを逆向きに回転させ始める。すると・・・。
─ギギ・・・ギギギギッ・・・
不気味な音を建物の中全体に響き渡らせながら、床の一部がゆっくりと地面の下に落ち込んでいく。
どれみ「これは・・・地下室への階段・・・?」
音が鳴り止むと、床には突如として地下へと続く階段が現れていた。
しずく「うわぁ、何だか不気味・・・。」
どれみ「・・・行く?」
どれみの静かな問いかけに、こがねたちは黙って頷いた。

***

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