まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第50話『大切な人』
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リックス「君たちは・・・。」
被告人台に立っていたリックスが驚いたようにどれみたちを見た。
弁護2「我々が人間界から連れてきた、証人たちです。」
どれみたちと一緒に入ってきた幻獣はそう言った。
原告2「人間界、だと?」
原告1「人間界ということは、まさか、悪魔たちを捕まえてくれた・・・。」
原告2「その人間どもが何故弁護側に・・・。悪魔たちがどのようなことをしたのか良く知っているであろうに・・・。」
しずく「リックスさんは・・・違うんです。」
どれみ「リックスさんは、元の魔法使いの人格に戻ってからは、私たちと一緒に悪魔と戦ってくれました。リックスさんは、決して悪い人じゃないんです。」
原告1「いくらリックス自身が悪くないとは言え、もしもう一つの人格が生じれば、その危険性は計り知れない。無罪にするなど、無理な注文だ。」
原告2「それに、リックス自身も、悪魔であるオルテガとしての人格が出て居ないときに、そのオルテガの行動を抑えることぐらい、出来たはずだ。違うか、リックス。」
リックス「・・・はい。」
こがね「二重人格・・・そうだ・・・。」
原告3「ん?どうした?」
何かボソボソと呟いているこがねに、原告側の魔女が怪訝そうに尋ねる。
こがね「もしもリックスさんの二重人格が治ったら・・・彼は罪を免れることが出来るでしょうか?」
原告1「それは無理だな。しかし、もしもそのようなことが可能だとすれば、数年の懲役刑ですむだろう。リックス自身は特別に重い罪は犯していない。」
原告2「貴様、まさか魔法でも使うつもりか?やめておけ。二重人格を治す魔法なんて聴いたことは無いが、あったところでおそらく禁断の魔法だろう。」
こがね「いえ・・・魔法は使いません。ただ、私たちに少しだけ、時間をいただけないでしょうか?」
裁判長「時間をもらって、何をするつもりかね?」
こがね「リックスの二重人格を治してみせます。」
ももこ「ちょ、ちょっと、こがねちゃん!?」
さつき「そんなこと、出来るの?」
原告3「ふん、そんなこと出来るわけがなかろう。」
原告1「あぁ、全くだ。認められん。」
原告2「まぁ、そう言わずに、どうせ子供の戯言だ、やらせてやれ。」
裁判長「では・・・魔女の子供および人間の子供たち5人に、12時間与えよう。それまでに戻って来れなければ、あるいは二重人格を治すことが出来なければ・・・。被告人リックスを原告の要求どおり、死刑に処す。」
こがね「し、死刑・・・!?」
裁判長「どうした、自身たっぷりと二重人格を治してみせます、とそう言ったではないか?」
こがね「はい・・・分かりました。では、12時間以内に必ず戻ってきます・・・。」

***

ももこ「こがねちゃん、どういうこと?二重人格を治してみせるって・・・そんなことできるの?」
こがね「多分でも・・・分からない。」
どれみ「分からないって、そんな・・・。」
そう言うと、こがねは足の歩みを止めた。
こがね「本当はさ、はづきちゃんとか、あいちゃん、おんぷちゃんたちも一緒に証言台に立ってもらおうって思ったんだ。みんなが居た方が心強いし。だけど、みんなに今日忙しいか聞いたら、みんな忙しいって言って・・・。だから、みんなの用事の都合なんか無視してまで頼めなかったんだよ・・・。」
ももこ「でも、リックスさんの裁判の話を聞いたら、みんな絶対来てくれたと思うよ。」
こがね「私もそう思う。でも、私、思ったんだ。私たち子供が証言をしたところで、リックスさんの罪が軽くなるのかなぁ、って・・・。だから、思わずみんなにリックスさんの裁判のこと、話すのを躊躇っちゃって・・・。」
ももこ「じゃぁ、なんで私には頼めたの?」
こがね「ももちゃんと会ったとき・・・真夜中だったのに、私がアメリカまで来てくれたことに凄く嬉しそうな顔してくれて・・・。それまでどうせリックスさんの罪は軽くならないって勝手に決め込んで暗くなってた私の思いがなんだか全部吹き飛んだような気がして・・・。それに、忙しいか聞いたら、暇だって言ってくれたから・・・。だから、遠慮なく頼めたって言うか・・・。そ、それより、今は、早くリックスさんの二重人格を治すことを考えないと。」
さつき「うん、そうだね。で、こがねちゃん、具体的な策はあるの?」
こがね「一応。実は、私の知り合いに、マジョユーナさんっていう魔女が居たんだけど、その人は実は地獄界出身の魔女だったの。」
しずく「地獄界出身の・・・。」
しずくは、“地獄界”という言葉に敏感に反応した。
こがね「地獄界出身の魔女は、初犯でどんな軽い罪でも、罪を犯したらすぐに地獄界に連れ戻される。マジョユーナさんも、ほんの些細なことで地獄界に連れ戻されることになったの。」
さつき「ほんの些細なこと・・・?」
こがねは黙って頷くと、続けた。
こがね「二重人格を治す薬を作ったの。それを作った結果、当時の魔女たちの間で、そのうち人を操るような薬まで作り出すんじゃないかって問題になった。そして、その結果、ただ二重人格を治す薬を作っただけなのに彼女は地獄界に連れ戻されることになったの。」
どれみ「ひどい・・・でも、もしその薬がまだ残ってたら・・・。」
こがね「そう、それをリックスさんに使ったら、二重人格が治るかもしれないんだよ。」
ももこ「でも、そのお薬はまだどこかにあるの?」
こがね「それは・・・分からないの。だけど、その薬をもしも良いことに使えたら、その時はすぐにまた地獄界から釈放されることになってるらしいの。だから、彼女の釈放を願っている人が、その薬を良いことに使えるかもしれないってことで、薬をとってくれてないかなって・・・。」
しずく「ううん、どうだろう・・・その彼女の釈放を願っている人に心当たりってあるの?」
こがね「一応ね。」
どれみ「じゃぁ、とりあえず、その人の所に行ってみよう。話はそれからだよ。」
さつき「時間も限りなくあるわけはないしね。」
こがね「OK、じゃぁ、みんな、私に付いてきて!」

***

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