まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第50話『大切な人』
2/4
日は西に傾き、夕焼けで空が赤く染まり始めた頃だった。
ももこ「どれみちゃんたち、遅いね。」
こがね「うん・・・“いつもの場所”って言ったのに・・・。」
ももこ「でもさ、こがねちゃん。」
こがね「何?どうしたの?」
ももこ「どうして・・・どうしてアメリカに寄ってわざわざ私を誘ったの?」
こがね「ももちゃんだったら暇かなって思って。」
ももこ「What's?」
こがね「実はね、ももちゃんだけじゃなくて他のみんなの所にも行ったんだ。けど、あいちゃんは今日は陸上の大会があるとかで来れなくて、おんぷちゃんはテレビのお仕事でしょ、はづきちゃんは何かの習い事があるらしいし・・・。あ、でも、きっとなんで私が人間界に来たか事情を説明したら、きっと来てくれるんだろうけど、でも、みんな来たところでリックスさんは・・・。」
ももこ「リックスさんはって・・・どういうこと?ねぇ、こがねちゃん、そのなんで人間界に来たかっていう訳は何なの?」
こがね「実は・・・。」
どれみ「ごめ〜ん、こがねちゃん、ももちゃん、お待たせ!!」
こがね「あ、もう、やっと来たよ・・・。」
しずく「“いつもの場所”って、やっぱりここだったんだ・・・。」
そこは、MAHO堂。どれみたちにとって、親友たちとの思い出が篭った、大切な場所。昨日までならメアリーがここに居たはずなのだが、悪魔探しの件が一件落着したため、すでにフランスに帰国していた。そのため、今このMAHO堂の中にはどれみたち5人しか居なかった。
ももこ「Oh , よくぞ来たMy friendsよ!」
さつき「でさ、2人とも、何か用があって来たんだよね?何しに来たの?」
ももこ「私はこがねちゃんに連れられて来ただけで、あんまし良く知らないんだけど・・・。」
こがね「もうすぐ・・・幻獣界と魔女界が共同で、リックスさんの裁判が始まるんだ。それで・・・何人かはリックスさんの無罪を主張しているんだけど・・・。例の二重人格のことが問題になってて・・・。たとえリックスさんは無罪でも、悪魔としての人格のオルテガさんは有罪だから、罪を償うべきだって意見が多くて・・・。」
どれみ「そうなんだ・・・。」
こがね「でね、リックスさんの弁護士さんからお願いがあったの。私たちに、証言台にあがってくれないか、って。」
さつき「え、証言台に!?」
こがね「うん。証言台でリックスさんの無罪を証明してくれって・・・。」
ももこ「そんなことならNo problemだよ!」
さつき「喜んで協力させてもらうよ。」
どれみ「でも、だったら風木ちゃんも呼んで・・・。」
こがね「ダメ!」
どれみ「え、どうして?」
こがね「私たちが証言台に立ったとして、リックスさんの無罪が証明されるとは限らない。だから、もし風木ちゃんがこのことを知ってリックスさんが戻ってこれるんだって期待しちゃったら、リックスさんに有罪判決が下りたときに、風木ちゃん、絶対にショックを受けると思うの。だから・・・。」
さつき「だから、ぬか喜びさせないように、黙っておこうってこと?」
こがね「うん・・・。みんな、ごめんね。」
しずく「ううん、リックスさんのためだし、風木ちゃんのためだもん。」
ももこ「Yes , Never mind!」
こがね「みんな、ありがとう!じゃぁ、早く行こう、幻獣界の裁判所に!」

***

裁判長「被告人リックス、前へ。」
すでに、リックスの裁判は始まろうとしていた。リックスは、龍の姿をした裁判長の命令どおり、席を立ち上がると、被告人台の 前に立った。
裁判長「では、これより裁判を始める。まずは弁護側。」
弁護1「はい。我々は、リックスの無罪を主張します。」
弁護団の一人の魔女が言うと、裁判所内はざわつきはじめた。
裁判長「無罪の理由は?」
弁護1「彼はこの裁判の直前に行った検査の通り、二重人格だ。そして、全ての罪は、もう一つの人格であるオルテガが行ったもの。よって、被告人リックス自体にその罪を問うことは出来ない。」
原告1「しかし、本人でもその人格をコントロール出来ないというのならば、いつその危険な人格が現れるか分からない。被告人を刑罰に処すべきだ。」
弁護1「しかし、それではあまりにもリックス本人が可愛そうではないか。」
原告2「裁判において、可愛そうなどという私情は必要ない。」
原告1「その通り。裁判長、我々原告側は、被告人リックスに死刑を要求したい。」
弁護1「いくらなんでも、死刑とは重過ぎる!」
原告2「いや、重くは無い。これだけ世界を困らせたんだ、妥当なところだろう。」
弁護1「く・・・しかし・・・。」
原告3「しかしも何もない。だいたい、こんな先の見えた裁判、パッパと済ませてしまうべきだ。ということで裁判長、ご決断を・・・。」
裁判長「う〜む・・・。」
???「待ってください!」
原告3「なんだ、一体、誰だ!?」
裁判室の入り口が開くと、そこから入ってきたのはどれみたち5人と、一人の幻獣だった。

次のページへ
リストに戻る