まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第50話『大切な人』
1/4
(注:時間設定は2005年3月中ごろです。

どれみ「おっはよう〜!」
朝、美空中学へ向かう通学路の途中、どれみはさつきとしずくが並んで歩いているのを見つけると、迷う事無くそう声をかけた。
さつき「おはよう、どれみちゃん。」
しずく「おはよう。」
どれみ「いよいよ明日から春休みだよね〜!」
嬉しそうに言うどれみ。
さつき「うん。もう来月の今頃は中学3年なんだよね。」
どれみ「何だかあっという間の1年だったよね〜。あ、そうだ、しずくちゃん。」
しずく「え、何?」
どれみ「昨日はどうしてMAHO堂来なかったの?」
しずく「え、あぁ・・・ちょっとね。用事があって・・・。」
どれみ「ふうん。あ、そうだ、実はさ・・・。」

***

しずく「え、緑樹石の輝きと取り戻す方法が見つかった!?」
さつき「そう、昨日しずくちゃんが居ない間にMAHO堂に精霊さんが来て・・・。」
しずく「で、その方法って言うのは、一体何なの?」

***

それは、前日にさかのぼる。
さつき「菜月さん、その緑樹石の輝きを取り戻す方法っていうのは一体・・・!?」
なつき「ねぇ、あなたたち、時恩から何か預かってないかしら?」
どれみ「え・・・あ、はい、預かってます。」
どれみは思い出したように呟くと、鞄の中を探り始めた。そして、小さく透明な四角い物体を取り出すと、菜月に渡した。菜月はそれを手に取ると、目の前にかざした。
なつき「そう、これよ、これに力を補充して・・・え?」
驚いたように菜月が言う。
どれみ「どうか・・・したんですか?」
なつき「あなたたち・・・これを使わずに悪魔と戦ったの?」
どれみ「え?」
さつき「どういうこと、ですか?」
なつき「時恩に言われたでしょう、笑う月にかざせば、一時的にその持ち主の魔力が増大するって。」
どれみ「それ、本当ですか?」
なつき「聞いてなかったの?」
さつき「変な暗号みたいなのは時恩さんに教えてもらったんですけど・・・。その意味がよく分からなくて・・・。」
なつき「なるほど・・・悪魔に盗み聞きされないために、わざと遠まわしに言ったんでしょうね。万が一悪魔に盗み聞きされていれば、この石を使って魔力を増大させても、向こうも馬鹿じゃないから、対策を練るだろうと思って・・・。でも、時恩の奴、もっと簡単な暗号にしてやりなよ、本当にもう・・・。」
どれみ「じゃ、じゃぁ、もしこれがあったら・・・風木ちゃんの魔力が暴走することも無く、すんなりと悪魔を捕まえることが出来てたってこと、かなぁ?」
さつき「あれだけ苦労したのに・・・みんな無事で本当に良かったよ・・・。」
どれみ「うん、うん・・・あ、なつきさん、それで、その石が一体どうかしたんですか?」
なつき「え、あぁ、この石の力を使えば、もしかしたら緑樹石の輝きを取り戻せるかもしれないの。」
どれみ「え、どうやって取り戻すんですか?」
なつき「笑う月の晩、この石を月の灯りにかざし、力を注げば良い。」
さつき「力を・・・注ぐ・・・。」
なつき「そう。魔法を使うときのように、その石に力を注げば良い。心を込めれば良い。そして、緑樹石が輝きを取り戻すように祈るんだ。」
どれみ「それだけで良いんですか?」
なつき「この石は・・・“月の石”と呼ばれる石で、笑う月の光を吸収することによって、様々な効果をもたらしてくれる。その名前の通り、そもそもは月光界、つまり月の世界にのみ認められる石で、魔女界の住人たちが魔法を使うのと同じ要領で、彼らはこの“月の石”を使って魔法のような物を使うの。」
菜月は、四角く透明な石・・・“月の石”を見せながら続けた。
なつき「この石は、月の民の生命エネルギーの結晶と言われている。そして、緑樹石が輝きを取り戻さないのは、おそらく、一時的に緑樹石が時空の狭間の神殿から持ち出されたために、不安定になった人間界の力の源である生命エネルギーが消失したため。つまり、この石を利用すれば、人間界に生命エネルギーが復活し、そして、緑樹石が輝きを取り戻すんじゃないかって、そう思ったの。」
さつき「なるほど・・・。」

***

どれみ「・・・ってわけなんだ。」
しずく「そっか・・・でも、それで緑樹石が輝きを取り戻すかどうかはまだ分からないんだよね・・・。」
さつき「うん、あくませも精霊さんたちの推論に過ぎないもんね・・・。」
どれみ「だけど、まだ可能性があるだけましだよ、もしも何も打つ手がなかったら・・・。」
さつき「確かに・・・それもそうね。」
???「あ、どれみちゃん、発見!」
そんな会話を交わすどれみたちの背後から、その声の主は突然現れた。
どれみ「この声は・・・?」
しずく「も、ももちゃん!」
さつき「ももちゃん、どうしてここに居るの!?」
ももこ「へっへ〜、実は・・・。」
こがね「えへへ、どうも〜。」
ももこの後ろに隠れていたこがねが顔を出した。
どれみ「こがねちゃん!」
さつき「こがねちゃんまで、どうしてここに?」
こがね「ちょっとね。そういや、今学校行く途中、だよね?」
しずく「え、うん、そうだよ。」
こがね「じゃあ詳しいことは学校が終わってから話すよ。もし学校が終わったら・・・“いつもの場所”で待ってるから来てね。」
どれみ「“いつもの場所”、かぁ。うん、分かったよ。」
しずく「大変、もうこんな時間、早く行かないと遅刻しちゃうよ!」
しずくが腕時計を見ながら叫んだ。
さつき「え、やっば〜、ごめん、ももちゃん、こがねちゃん、急ぐね!」
ももこ「Hurry up not to be late for school!」
こがねとももこは、制服姿で走るどれみたちの背中を笑顔で見送った。

***

次のページへ
リストに戻る