まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第49話『虹をかけよう』
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リックス「そろそろ・・・行かなくちゃな。」
しばらく経って、ようやくリックスがそう口を開いた。
かぜき「行くって・・・何処に?」
怪訝そうな顔をして尋ねる風木に、リックスは目を合わせずに言った。
リックス「俺は・・・悪魔にせよ何にせよ、おのおのの世界の神殿から宝石を奪い、人間狩りをすることに参加してしまったんだ。このまま人間界に残っているわけにはいかないだろう。違うか、幻獣王、ウィグネスよ・・・。」
リックスはそう言うと、どれみたちの背後にいつの間にか立っていた幻獣王の方を見た。
テイル「お、お父さん・・・。」
幻獣王は、ゆっくりとリックスの方に歩み寄った。
幻獣王「無論、無罪というわけにはいかぬな・・・。」
テイル「お父さん、そんな・・・。」
幻獣王「たとえどんな理由があろうと、悪魔の計画に参加したことは事実。刑罰を軽くすることは出来ても、犯した罪からは逃れられない。」
テイル「でも・・・。」
リックス「覚悟は出来ているさ。龍の子供よ、心配してくれて悪いな。ありがとう。」
テイル「リックスさん・・・。」
リックス「幻獣界の王よ、さぁ、私を連れていってくれ。」
かぜき「嫌・・・そんなの嫌、せっかくまた会えたのに・・・行かないで、行っちゃダメ!」
リックス「おいおい、無茶言うな。」
かぜき「嫌、絶対に嫌!」
リックス「風木・・・。」
すると、リックスはポケットから何やら小さな石のような物を取り出した。
リックス「お前にやるよ。ベリアリウムっていう悪魔界原産の宝石だ。」
かぜき「ベリア・・・リウム・・・?」
リックス「あぁ。手を貸せ。」
リックスがそう言うと、風木は左手を差し出した。
リックス「俺が釈放されたら・・・必ず風木と会いに行く。その時までこれを大切に持っていてくれ。」
リックスは風木の手を握り締めるようにしてそれを手渡した。左手からリックスの手の温もりを感じ取ると、乾いたはずの風木の瞳は再び涙で溢れだした。涙で滲んでいく視界の中で、左手に乗せられたベリアリウムの宝石だけが黒く光って見えていた。
リックス「大切に持っていてくれ、良いな。」
かぜき「・・・うん。」
風木は涙を手で拭いながら、必死になって頷いた。
リックス「それから風木・・・お前の大切な人に会いたければ・・・この森の奥にある洞窟に行け。」
かぜき「私の・・・大切な人?」
リックスは黙って頷いた。
リックス「俺から言い残すことはそれだけだ。幻獣王。早く俺を捕まえてくれ。懲役刑になるなら早くその期間を全うしたいんだ。最も裁判で懲役刑ですめばの話だが・・・。」
幻獣王「・・・分かった。」
幻獣王はそう言うと、リックス、そして残り2人の悪魔も一緒に連れてその場を立ち去ろうとした。
幻獣王「テイル、お前も帰るぞ。」
テイル「・・・はい。」
リックス「風木・・・。」
突然リックスは風木の名を呼んだ。
リックス「元気でな。」
去りぎわにリックスは一言そう残し、去っていった。
かぜき「リックス・・・。」
魔女王「風木ちゃん、どれみちゃん、みなさん・・・またしてもご協力ありがとうございました。」
どれみ「女王さま・・・。」
魔女王「本来は私たちが解決すべきことだったのですが・・・またも皆さんの力を借りることになってしまいました・・・。そのお礼といってはなんですが・・・。」
女王様はそう言うと、指を弾いた。すると、現れたのは一枚の木の葉だった。白色の木の葉で、イチョウのような叉状脈をしたその葉っぱは、色と大きさ以外は普通のイチョウの葉のように見えた。
いろは「これは・・・。」
魔女王「幻獣界の中の龍神界という世界にのみ群生する、“ホワイトリーフ”という植物の葉です。」
はづき「ホワイトリーフ・・・?」
メアリー「もしかして・・・その葉に込めた願いが、必ず一つ叶うとかいう・・・。」
魔女王「よくご存知ですね。そうです。」
しずく「さすがメアリーさん、物知りだ・・・。」
いろは「そんな物を私たちが貰っても良いんですか?」
魔女王「えぇ、構いません。」
どれみ「願いが必ず一つ叶うホワイトリーフ・・・。」
どれみはそう呟くと、みんなの方を見渡した。みんなはどれみと目が合うと、黙って頷いた。
どれみ「女王様・・・これ・・・要りません。だって・・・こんなお礼が欲しいから、悪魔を探したり、精霊を探してたわけでは無いですから・・・。」
魔女王「そうですか・・・どれみちゃんたちならそう言うと思っていました。」
女王様はそう言うと、指を弾いた。すると、女王様の手にあった白い木の葉は姿を消した。
魔女王「今回の件も、本当にありがとうございました。本当に心から感謝しています。」
どれみ「感謝なんて、そんな・・・。」
魔女王「では、私たちはこれで・・・。」
そう言うと女王様とその側近マジョリンは、魔女界へと帰っていったのであった。
あいこ「さてと、私らも帰りますか。」
かぜき「待って、私はまだ・・・。」
さつき「あ、そっか、さっきリックスさんが言ってた・・・。」
かぜき「この森の奥の洞窟に、私行かないと・・・。」
どれみ「そうだね、よし、じゃぁ行こうか。」
かぜき「あ、あの・・・。」
どれみ「へ?」
かぜき「わがままかも知れないですけど・・・一人でそこまで行きたいんです。この森の奥の洞窟まで、一人で・・・。」
こがね「一人でって、でも・・・。」
かぜき「私なら大丈夫です。だから・・・。」
どれみ「分かったよ。一人で行っておいで。」
かぜき「あ、ありがとうございます!じゃぁ、早速行ってきます!」
風木はそういうと、走って森の奥へと去っていった。

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