まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第48話『風の舞う夜の丘で』
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『―なぜ魔女見習いになろうと思ったんだ?』

ふいに、聞き覚えのある声が風木の頭の中に響いた。あの時、自分はなんて答えたんだっけ・・・思い出せない。ただその声は、体中に深い傷を負いながらも風木の眼前に立っているその人物のものであることだけは、今の風木にも分かった。
かぜき「オルテガ、どうして・・・さっきまで私のこと・・・。」
オルテガ「俺は・・・オルテガじゃない。」
パディオ「何を言っているんだ、オルテガ、頭でも打ったか?」
オルテガ「パディオは・・・知らないだろうな。あの時、まだお前とは会っていなかった・・・。」
パディオ「・・・何が言いたいんだ、はっきりしろ!」
オルテガ「俺は・・・悪魔でも、幻獣でもなかったってことさ。」
メアリー「どういう意味、ですか?」
オルテガ「・・・俺の名はリックス、悪魔に心を売った、最低な魔法使いさ。」
パディオ「魔法使い、だと?」
しずく「リックス・・・?」
どれみ「どうしたの、しずくちゃん?」
しずく「え、ううん、何でもない。」
オルテガ「あれは30年前、いや、もう40年前になるか・・・。俺はある魔女に出会ったんだ。」

***

リックス(オルテガ)は、死後界に来ていた。その日は、十年に一度の死者との面会が許される日で、リックスは数年前不運な事故で亡くなった親友に会いにきたのだった。
リックス「さて、用もすんだ・・・魔法使い界に帰るとするか。」
リックスは、そう言って魔法使い界へ通じる唯一のトンネルへと向かった。その時だった。彼女と出会ったのは・・・。
リックスは、正面から箒に乗って飛んでくる魔女を見つけた。その魔女は、リックスの前で、突然墜落するように落ちてきた。
リックス「大丈夫ですか!?」
突然のことに驚いたリックスは、そう声をかけた。
魔女「だ、大丈夫・・・です、すいません・・・。」
息を切らしていうその魔女は、たとえリックスでなくても、誰の目から見ても美しく映っただろう。しかし、尋常じゃないその魔女の呼吸に違和感を感じたリックスは、その美しい顔に手を触れた。額は、人の・・・いや、魔女の体温とは思えないほどの高温を放っていた。
リックス「すごい熱だ・・・すぐに病院へ行かなくては・・・。」
魔女「待ってください・・・病院へは・・・まだ行けません・・・。」
リックス「何を、こんな体で・・・。」
魔女「人に、会いに来たんです、3年前に死んだ母と会いに・・・。」
リックス「母に・・・?」
魔女「今日は・・・姉は学校があって行けないから・・・私が会わなくちゃ・・・。」
リックス「し、しかし・・・。」
魔女「お母さんが待ってるから・・・私、行かなくちゃ・・・今日会えなかったら、また・・・10年会えなくなるから・・・。」
リックス「・・・分かった。ただし、俺もついていく。こんな体で一人で行くのは危険すぎる。」
魔女「すいません・・・ありがとうございます。」
そして、その魔女はリックスに連れられて、無事に母親と再会することができたのだった。その後、リックスは死後界にただ1つしかない病院にその魔女を連れていった。それは、死後界を統治する死神たちが運営している病院だった。リックスは、その病院に急遽入院することになったその魔女のため、毎日その病院にお見舞いに行った。そのうちに二人の仲は急速に良くなっていった。

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