まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第47話『ロンドンの攻防』
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メアリー「痛っ!」
しずく「め、メアリーさん!」
メアリーの右足からは血が流れ出していた。
あいこ「あかん、このままやったら・・・。」
あいこはそう言って後ろを振り向いた。悪魔たちは逃げるあいこたちを見失う事無く追いかけてきていた。
パディオ「予言書に書いてある連中だったから、どんな奴らかと思えば・・・。想像以上にたいしたことの無い連中だったな。」
オルテガ「パディオ、そろそろ・・・。」
パディオ「そうだな、もう日が暮れる。トドメを指すとするか。」
パディオがそう呟いたその時だった。
???「オルテガ!」
メアリーたちだけでなく、オルテガにも聞き覚えのあるその声が辺りに響き渡る。
オルテガ「風木・・・。」
オルテガはあいこたちを追いかける足を止め、その声の聞こえてきた方に視線を向けた。
かぜき「オルテガ、どうしてここに居るの!?」
パディオも、オルテガが足を止めたのに気付き、走るのをやめ、風木たちの方をむいた。それと同時に、メアリーたちも逃げるのを止め、どれみたちの方へ歩み寄った。
パディオ「ちっ、来やがったか、“二つの風”!!」
テイルが地面に降り立つと、どれみたちも続けさまに地面に降り立った。
あいこ「どれみちゃん、こがねちゃん、風木ちゃんにぽっぷちゃん!」
ももこ「みんな、助けに来てくれたんだ!」
どれみ「メアリーさん、大丈夫でしたか?」
メアリー「えぇ、なんとかね。」
こがね「みんなも無事だった?」
しずく「うん、みんな無事だよ!」
メアリーたちが無事であることを知り、どれみは安堵の表情を浮かべた。
どれみ「それで、風木ちゃん・・・この人が・・・オルテガさん、なの?」
かぜき「はい、間違いないです・・・でも、どうしてここに・・・。」
オルテガ「悪いな、風木。今までお前に嘘をついていたと、そう言えば分かるか?」
かぜき「・・・え?」
オルテガ「俺は・・・幻獣では無く悪魔で、お前が正体を見破ったマジェフェミルを連れ去ったフレッドの・・・グルモスの仲間だったってことさ。」
かぜき「うそ・・・。」
オルテガ「嘘じゃない、これが真実だ。」
かぜき「嘘、でしょ?」
オルテガ「まだ信じられんのか?」
かぜき「だって、オルテガ、あれだけ私に優しくしてくれたじゃん、私のこと、“死んでも守ってやる”って言ったじゃん!!!」
オルテガ「俺が・・・お前を騙すために、お前の機嫌を取ることが・・・どれだけ大変だったか、分かるか?俺はお前を騙すために、どれだけお前の前で笑顔を作ったことか。笑えもしないつまらない話で笑い、泣けもしないつまらない話で泣き、俺はお前の面倒を見るのがどれだけ大変だったか・・・。」
どれみ「ちょ、ちょっと、そんな言い方って・・・。風木ちゃんが可愛そうじゃない!」
オルテガ「勘違いするな、小娘・・・俺はお前たちの味方じゃない、敵なんだ。」
テイル「これが悪魔・・・やることが・・・ひどすぎる。」
パディオ「何とでも言え。」
かぜき「そっか・・・。」
どれみ「え?」
かぜき「オルテガ、悪魔だったんだ・・・。」
あいこ「風木ちゃん・・・。」
かぜき「な〜んだ。」
風木はやや上を向いて、半ば開き直った口調で言った。視線の先には一番星が輝いていたが、風木の瞳にうっすら浮かんだ涙のせいで、その星は見えていなかった。
オルテガ「風木・・・?」
こがね「風木ちゃん?」
かぜき「私が騙されてただけだったんだ・・・馬鹿だね、私。オルテガが居なくなったこと、心配しただけ損しちゃった。」
オルテガ「なっ・・・!?」
しずく「風木ちゃん、そんなこと・・・。」
かぜき「でも、オルテガが無事なら、私それで良いんだ。とにかく、私が騙されてるだけだったんだね・・・。」
風木のその一言のあと、辺りは一瞬しんとなった。
パディオ「構わん、オルテガ、風木から攻撃しろ!」
オルテガ「あぁ、分かっている。容赦なくいくぞ。」
オルテガはそう言って右手を風木の方に向けた。
オルテガ「うっ!!!」
パディオ「どうした、オルテガ!?」
突然、オルテガが頭を抑えて苦しみ始めた。
オルテガ「く、くそぉ、こんな時に・・・。」

『風木たちに手を出すな!』

オルテガの頭にその声が響き渡った。
オルテガ「ぐぅうう・・・くそぉぉぉぉ。」
パディオ「なんだか知らんが、まぁ良い、俺が代わりに攻撃してやる。」
パディオはそう言って先ほどのオルテガ同様、右手を風木に向けた。右手の平から、薄緑色のビー玉くらいの大きさの光球が現れると、少しずつ大きくなりながらパディオの手の中で回転を始めていた。
どれみ「風木ちゃん!危ない!」
パディオ「いけぇ!」
パディオがそう叫ぶと、その光球は風木めがけて飛んでいった。
あいこ「風木ちゃん!」
メアリー「風木ちゃん、よけて!」
かぜき「みんな・・・。」
しずく「風木ちゃん・・・?」
かぜき「ごめん、みんな・・・足が震えて・・・よけられないや・・・。」
こがね「そ、そんな、風木ちゃん!」
そのこがねの言葉の直後、薄緑色の光球は風木の辺りで爆発した。
ぽっぷ「風木ちゃん!!!!!」
全員、呆然としていた。爆発の時に漂った煙が、少しずつ薄れていく。そして、薄れていく煙の中の風木の姿を見て、全員は驚いた。風木は無傷だった。
どれみ「・・・え?」
風木が無傷である代わりに、風木の前に傷だらけのオルテガが立っていた。
かぜき「オルテガ・・・?」
パディオ「オルテガ、貴様!?」
オルテガ「風木・・・無事、みたいだな・・・なら・・・良かった・・・。」
かぜき「オルテガ、どうして・・・。」
オルテガ「言っただろ、風木・・・お前のことを・・・“死んでも守る”ってな。」

【笑う月の晩まで あと 20 分】

***続く


次回予告
どれみ「どうして?さっきまで風木ちゃんにひどいことを言い続けていたオルテガさんが、どうして風木ちゃんをかばってくれたの?次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『風の舞う夜の丘で』ドキドキピース、大きくひ〜かれ♪」

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