まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第47話『ロンドンの攻防』
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日没まであと2時間と迫ったロンドンの街。そこにどれみたちは居た。
メアリー「さて、悪魔をどうやって探すかだけど・・・。」
どれみ「手分けして探しませんか?」
いろは「そうね、それが良いかも。はづき、さつき、おんぷ。私たちはこっちを探しましょう。」
メアリー「じゃぁ、しずく、あいこ、ももこは私について来て。」
どれみ「残りの私たち4人はあっちを探してきます。」
メアリー「良い、みんな。無事を祈ってるわ。」
いろは「全てが終わったら・・・またここで会いましょう。」
いろはのその言葉に、どれみたちは黙って頷いた。

***

こちらはいろは、はづき、さつき、おんぷ組。4人はロンドン郊外の森を歩いていた。
はづき「そういえば、悪魔ってどんな姿をしてるのかしら?」
おんぷ「そうね・・・私は知らないけど・・・いろはさんは知ってるんですか?」
いろは「実は・・・知らないのよね。」
さつき「え、知らないんですか?」
いろは「でも、人間界にずっと潜んでいたということは、おそらく人間となんら変わらない格好をしてるってことだと思うわ。」
???「ふうん、君、良い勘をしているね。」
突然、その声が辺りに響き渡り、いろはたちに緊張が走った。
いろは「あなた・・・誰?」
???「君たちが捜し求めている者ですよ。」
さつき「あなたが・・・悪魔!?」
いろはたちの表情からはより一層、緊張の色が伺えた。
???「一応俺にはグルモスという名前がある。その名で呼んでもらいたいものだな。ま、それはさておき・・・。俺も忙しい身でね・・・さっさと片付けさせてもらおう。」
グルモスは、そういうと、指を弾いた。すると、槍のようなものが現れた。
はづき「今のは・・・魔法・・・?」
魔法が使えるのか、突然現れた槍を新体操のバトンのようにクルクルまわしながら、グルモスはいろはたちに一歩ずつ近づいていく。それに合わせて、いろはたちは一歩ずつ後ずさりしていた。
グルモス「さて、一振りで行くとするか・・・。」
すぐさま、おんぷはポロンを構えた。
おんぷ「プ〜ルルンプルン ファミファミファー!!槍よ、き・・・。」
グルモス「甘い!」
おんぷが魔法を唱え終える前に、突如風が渦を巻いた。そしてその風は、おんぷの手からポロンを吹き飛ばした。
おんぷ「ポロンが!!」
おんぷが吹き飛ばされたポロンを拾おうとしたその時だった。おんぷの顔の真横を槍が掠めた。
おんぷ「え・・・?」
グルモス「おや、思ったよりたいしたこと無いようだな・・・。様子見のためにわざと攻撃をはずしたが・・・。よける気は無いのか?次は本気で行くぞ・・・。」
グルモスは、そういうと地面に突き刺さった槍を抜いた。
いろは「速い・・・動きが見えなかった・・・。」
グルモス「まずは・・・一番やっかいそうなお前からだな・・・。」
そう言って、槍の先端をいろはに向けた。
いろは「ま・・・。」

─キーン

次の瞬間、金属音があたりに響き渡った。その金属音に驚いていろはは目を瞑ったが、体を槍が貫通した感触は無かった。恐るおそる目を開けてみると、いろはの前には巨大な龍が立っていた。そして、その龍の両手には、剣が握られていて、その剣と槍が交わっていた。
グルモス「き、貴様は・・・!?」
???「貴様・・・グルモスか!?」
はづき「何、いったい何が起こったの!?」
さつき「あなたは・・・一体?」
突然現れた龍に驚いてはづきたちは言った。そして、それに答えるように龍は口を開いた。
???「人間界の子供よ、我が名はウィグネス、幻獣界を統治するものなり。」
いろは「幻獣界の・・・王?」
おんぷ「幻獣界の王様が、どうしてこんなところに・・・。」
幻獣王「悪魔討伐のため、それ以外に理由は無い。」
さっきよりは少し小さい音で、キンッという金属音がしたかと思うと、交わっていた槍と剣が離れ、お互いに攻撃に入る体勢のまま静止した。
幻獣王「グルモス・・・まさか貴様が悪魔だったとはな・・・。」
グルモス「人間だと言った覚えは一度も無いが・・・。」
ニヤリと笑いながらグルモスが答える。
いろは「知り合いなんですか?」
幻獣王「私が昔、まだ人間界との交流を得ようとしていた頃・・・。最初に交流を深めたのがこいつだった・・・。私はこいつのことを人間だと思い込んでいてね。私はこいつを信頼して幻獣界の女王・・・私の妻をこいつに紹介するために連れてきた。ところが、こいつは私の妻を突然、刀で斬った。」
さつき「その話、風木ちゃんから聞いたことがあります・・・。ということは、風木ちゃんが正体を見破ったマジョフェミルさんを連れ去ったのは・・・。」
グルモス「そうさ、俺だ。全ては俺たち悪魔の作戦だったのさ。人間界を俺たちの隠れ家とするため、わざと人間界と幻獣界の仲を悪くするようにしむけた。全ての世界の中で最も戦闘能力に長けているのは、幻獣だ。だから、そうすれば少なくとも幻獣たちに俺たちの行動を邪魔されることは無くなると思ったんでね・・・。それから、マジョフェミルとやらを連れ去ったのも、作戦なのさ。予言書の記述、“二つの風”は俺たちにとって脅威だ。だから、ああいう形をとってでオルテガを風木の監視につかせた。」
いろは「あなた、まさかオルテガさんも利用していたの?」
グルモス「利用?何を言ってやがる・・・はん、笑えるぜ。オルテガは俺たちの仲間、つまり悪魔なんだよ。」
おんぷ「え、そんな、だって風木ちゃんは・・・。」
グルモス「ずっと騙されていただけのことだ。オルテガの演技力にはさすがの俺も敵わねぇな。しかし、俺が風木をどうにかしろと頼まれていたら・・・間違いなく殺していたがね。そうすればお前たちにここまで追ってこられることも無かっただろうに・・・。」
はづき「そんあ・・・ひどい・・・。」
幻獣王「もう我慢ならん・・・。」
小さな声でポツリと、呟いた。

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