まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第46話『最初の砦、ロンドン』
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所変わって、幻獣界の城。
テイル「お父さん、悪魔の居場所が見つかったというのは本当ですか?」
謁見の間へとやってきた幻獣王の子、テイルはが父、即ち幻獣王にそう尋ねた。
幻獣王「・・・聞いておったか。」
テイル「お父さん、お願いがあります。」
幻獣王「お願い?何だ?」
テイル「僕を人間界へ、悪魔のところへ行かせてください。」
幻獣王「ダメだ。お前にそんな危険な目にあわすわけにはいかない。」
テイル「そんな・・・お父さん、お願いです!」
幻獣王「お前一人で何が出来ると言うのだ。冷静に考えてみろ。」
テイル「・・・人間界で精霊を探していた子供たちは、悪魔と戦うつもりだと聞きました。あの女の子たちが勇気を出して強敵に挑もうとしているのに、僕だけ幻獣界で何もないふうに生活することなんて、出来ません。」
幻獣王「テイル、しかし・・・。」
テイル「お父さん、僕は・・・本気ですよ。」
幻獣王「テイル・・・。」
幻獣王はテイルの目を睨むように見つめた。テイルは、幻獣王から視線を逸らす事無く、じっと幻獣王を見つめていた。
幻獣王「・・・命の保障は出来ない。それだけは覚悟しておけ。」
しばらくの沈黙の後、ようやく幻獣王はそう告げた。
テイル「お父さん・・・ありがとう。」
そうお礼を言うと、テイルは幻獣王の元を離れた。それを見届けてから、さっきまで黙っていた幻獣王の側近、ディラノスが口を開いた。
ディラノス「良いのですか、国王。」
幻獣王「あぁ、構わん。あいつも馬鹿じゃない。考え無しにあんな度胸の必要な行動をとろうとは思わんだろう。」
ディラノス「・・・なら良いのですが。」

【笑う月の晩まで あと 06 日】

***

ぽっぷ「風木ちゃん、のりかちゃん、おはよう!」
かぜき「おはよう、ぽっぷちゃん。」
のりか「おはよう。」
学校にやってきたぽっぷは、水野風木、三十海(みそがい)のりかを見つけて言った。
のりか「ねぇねぇ、算数の宿題やってきた?」
ぽっぷ「当ったり前じゃん、もしかしてのりかちゃん、やってないの?」
のりか「ギクッ・・・。」
かぜき「2組は宿題出てたの?」
のりか「うん、出てたよ。でさ、お願いなんだけど、ぽっぷちゃん、ノート貸してくれない?」
ぽっぷ「ダメだよ、宿題は自分でやらなくちゃ。」
のりか「そこをなんとか〜。お願い、ね?」
ぽっぷ「もう、仕方ないな〜、今日だけだからね。」
のりか「やったぁ、さっすがぽっぷちゃん、ありがとう!」
ぽっぷは、ランドセルから赤いノートを探して取り出すと、のりかに渡した。
ぽっぷ「はい。算数のノート。」
のりか「ありがとう、早速写してくるよ。」
のりかはそう言ってぽっぷのノートを受け取ると、自分の机のところへ戻っていった。
ぽっぷ「ねぇ、風木ちゃん・・・。」
かぜき「なに?」
ぽっぷ「風木ちゃん、もう大丈夫なの?」
かぜき「大丈夫って・・・何が?」
ぽっぷ「ほら、悪魔の・・・。」
かぜき「あぁ・・・本当は怖いけど・・・でも、やるしかないからさ。」
ぽっぷ「そっか。」
かぜき「前は・・・ごめんね。心配かけちゃって・・・。」
ぽっぷ「ううん、気にしてないから良いよ。」
かぜき「でも、もう大丈夫だから・・・。きっと、大丈夫だから。」
ぽっぷ「・・・うん。」
ぽっぷはゆっくりと頷いた。

【笑う月の晩まで あと 04 日】

***

魔女界。
リリム「マジョラッタ、調子はどう?はかどってる?」
マジョラッタ「いや、思った以上に魔法の発動を制御するのは難しいのぉ・・・。」
怪しげ機械が並ぶ部屋で、マジョラッタは一人黙々と作業を続けながら答えた。
リリム「大変そうね・・・頑張ってね。」
マジョラッタ「このポロンを、悪魔が動き出す前に完成させんとな・・・。」
その昔、マジョラッタが開発した幻の魔女見習い服、“インペリアルクロス”。しかし、その魔女見習い服は、強力な魔法が使えるようになる反面、魔法を信じる純粋な心と、正義を貫き通すその心が無ければ、魔力が暴走してしまうという、危険性を伴っていた。
マジョラッタは、その魔力が暴走する危険性を取り除くため、その2つの心が無ければ魔法が発動しないようにポロンに改造を加えていた。
リリム「あの魔女見習い服の方はどうなってるの?」
マジョラッタ「まだ封印してある。ポロンが完成するまでは封印は解かんつもりじゃ。封印を解いてここに持ってきても、万が一それを誰かに盗まれたりでもすれば大変なことになるからのぉ。念には念を入れてまだ封印したままじゃ。」
マジョラッタは、一旦手を休めてから、答えた。
リリム「そっか・・・。」
マジョラッタ「とにかく、ポロンの開発を急がねばな・・・。」
リリム「ね、ねぇ、マジョラッタ・・・。」
マジョラッタ「何じゃ?」
リリム「その今作ってる最中のそのポロン・・・なんだか光ってるけど・・・。」
マジョラッタ「ん?」
マジョラッタは、さっきまで自分がいじっていた製作中のポロンの方に目をやった。
マジョラッタ「おぉ!これじゃ、この反応を待っておったんじゃ!」
リリム「え、ってことは・・・。」
マジョラッタ「うむ、もうすぐ完成するぞ!」
そういってマジョラッタは再び作業を開始した。
マジョラッタ「“リストリクトポロン”・・・、もうすぐ完成じゃ・・・。」
マジョラッタはそんな独り言を呟きながら、ポロンの製作を続けていた。

【笑う月の晩まで あと 03 日】

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