まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第46話『最初の砦、ロンドン』
1/4
どれみ「インペリアルクロス?」
しずく「って何?」
こがね「マジョラッタが昔作った、幻の魔女見習い服なんだって。でも、使うにあたって少し問題があって、魔法を信じる純粋な心と、正義の心が無い者がこの魔女見習い服を着ると、魔力が暴走して大変なことになっちゃうんだって・・・。」
さつき「そ、それって・・・大丈夫なの?」
こがね「ううん、マジョラッタは大丈夫って言ってたけど・・・。でも、念のため、純粋な心と正義の心が無い者は魔法自体が使えないように制御する装置をポロンにつけてみる、とか言ってたけど・・・。」
メアリー「でも、もしそれが使えたら、悪魔との戦いはだいぶ楽になりそうね。」
いろは「で、今マジョラッタさんはそのポロンを開発してるところなの?」
こがね「はい。完成したら人間界まで届けに来るって言ってました。」
メアリー「じゃぁ、悪魔たちの居るロンドンへ向かうのは、そのポロンと魔女見習い服がマジョラッタから届いた日の翌日。それで良いかしら?」
どれみたちはお互いの顔を確認しあうように見合うと、黙って頷いた。

【笑う月の晩まで あと 11 日】

***

おんぷ「はぁ〜あ、疲れた。」
自分の部屋に入ってきたおんぷは、そう呟きながら伸びをする。この日も仕事があったおんぷは、相当疲れていたのか、着替えることもしないでそのままベッドに倒れこんだ。
おんぷ「あ、そうだ。」
おんぷは、重たい体を起こすと、机の上にある携帯電話を取り、再びベッドの上に寝転んだ。携帯の画面には、“新着メール1件”と表示されていた。
おんぷ「メール来てる・・・誰からだろう。」
手馴れた手つきでおんぷはメールボックスを開く。メールボックスの一番上には、未読メールが一通、“春風どれみ”と表示されたメールがあった。おんぷは、それを見ると、疲れきっていた表情が笑顔へと変わった。どれみからのメールには、精霊探しが終わったこと、悪魔の居場所が分かったこと、そして幻の見習い服のこと、その見習い服が届いたらロンドンへ向かうことなどが記されていた。
おんぷ「悪魔の居場所・・・分かったんだ・・・。」
おんぷの表情が、今度は真剣な表情に変わっていた。
おんぷ「ロンドン・・・。」
おんぷはそう呟くと、上半身だけを起こし、窓から外を見た。窓の外には、三日月より一回り大きくなった月が輝いていた。

【笑う月の晩まで あと 09 日】

***

同じ頃、はづき、あいこ、ももこの元へも同様の内容のメールが届いていた。ただし、3人とも携帯電話は持っておらず、パソコンの方に届いていたため、3人がそのメールを確認したのはおんぷのそれよりもっと後のことだった。

はづき「精霊探しは終わったけど、まだ人間界が助かるかどうかわからないんだ・・・。」
どれみからのメールを確認しながら、はづきは一人呟いていた。はづきは、机の上に置いてあったロケットを手に取った。それは、つい先日の誕生日に、矢田まさるから貰ったプレゼントだった。ロケットの中には、まだ写真は入って居なかった。はづきは、何も入っていないそのロケットの中を、じっと見つめていた。

***

あいこ「ロンドンかぁ、えらい遠いなぁ。それにしても、幻の見習い服・・・。まさかまた魔女見習い服に身を通すことになるとは思ってへんかったわ。」
あいこも、どれみからのメールを見ると、はづきと同じように独り言を呟いていた。そして、すぐにパソコンの電源を切ると、自分の部屋に戻った。部屋に戻ってきたあいこは、机の上の写真立てに飾られた写真を見つけると、それを眺めた。MAHO堂で撮った集合写真と、両親と一緒に写り、幸せそうに笑う自分の写真とが並べられていた。

***

ももこがどれみからのメールを確認したのは、どれみがメールを送ってから17時間後のことだった。
ももこ「悪魔の居場所が分かったんだ・・・。いよいよ今回の事件も大詰めって感じだね・・・。」
そう呟いたももこは、ふと机の引き出しを開けた。そこには、約1年前、MAHO堂でこがねの送別会を行った時、こがねと、それからみんなと、“友情の証”と誓ったMAGIC BLUEのネックレスがあった。ももこはそれを手に取ると、ギュッっと握り締め、そっと瞳を閉じた。

【笑う月の晩まで あと 08 日】

***

次のページへ
リストに戻る