まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第45話『風木の勇気』
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ここは、人間界の美空市。
昼前ぐらいから降りはじめた雨は、日が西へと傾いた今でもいまだ降り続いていた。しかし、その雨足は確実に衰えていた。止むのも時間の問題だろう。そんな中、街灯がにわかに光りはじめた雨の街は、傘をさして歩く人々で賑わっていた。水野風木もその中の1人だった。
かぜき「えっと、玉葱とかは家にあるし・・・買うのはピーマンと牛乳だから・・・とりあえずスーパー行こうっと。」
本屋から出てきた風木はそんなことを呟きながら緑色の傘を開いた。
???「あ、風木ちゃんじゃん!」
本屋の前から立ち去ろうと数歩足を踏み出した時、風木の背後に立つ赤色の傘の中からその声は聞こえてきた。
かぜき「ぽっぷちゃん!本屋に本でも買いに来たの?」
ぽっぷ「お姉ちゃんから傘届けてくれって電話があってさ、今からお姉ちゃんの学校まで行くんだ。」
かぜき「中学校ってこんな時間まで授業があるの?」
ぽっぷ「ううん、卒業式の時の在校生の言葉とかの練習させられてたんだって。」
かぜき「ふうん、大変なんだね、こんな時間まで。」
ぽっぷ「でも、ほんと世話のかかるお姉ちゃんなんだから、朝の天気予報でちゃんと雨が降るって言ってたのに、傘忘れるんだからさ。」
そういってぽっぷは右手に持ったピンク色の傘を風木に見せた。
ぽっぷ「風木ちゃんは買い物?」
かぜき「うん、晩ご飯の材料で足りないものと、牛乳が切れてたから、牛乳を買いに。」
ぽっぷ「そっか。・・・って、早く行かないとお姉ちゃんに怒られるよ。自分が傘忘れたのが悪いくせに、お姉ちゃんすぐ文句言うからさ。」
かぜき「あはは、うん、じゃあ、また学校でね。」
ぽっぷ「・・・あ、そうだ、風木ちゃん、待って!」
お互いに立ち去ろうとしたとき、ぽっぷは思い出したように叫んで風木を呼び止めた。
かぜき「え、どうしたの?」
ぽっぷ「お姉ちゃんに話しといてって言われてたこと、話すの忘れてたよ。」
かぜき「何かあったの?」
ぽっぷ「うん、あのね。」
ぽっぷは真剣な表情になって、風木の方へ一歩、歩み出た。そして、ささやくように言った。
ぽっぷ「悪魔たちの居場所、分かったんだって。」
かぜき「え・・・?」
ぽっぷ「まだ確信は持てないって言ってたけど・・・。」
かぜき「そ、そっか、そうなんだ。」
ぽっぷ「それで・・・次の笑う月の晩に・・・。」
かぜき「ぽっぷちゃん、あのさ・・・。」
ぽっぷ「え、どうしたの?」
風木に喋っているのを遮られたぽっぷが驚いたように言った。
かぜき「えっと・・・あ、ごめん、やっぱ良いや。それじゃ、私急ぐから、ごめん、また明日学校でね!」
ぽっぷ「あ、ちょっと、風木ちゃん!?」
突然、逃げるように風木は走り去っていった。
ぽっぷ「風木ちゃん、どうしたんだろう・・・。」
いつのまにか雨は止んでいたが、ぽっぷは赤い傘をさしたまま本屋の前に立っていた。
???「あ、ぽっぷ、何やってんのさ、こんなところで!」
ぽっふが驚いたように振り向くと、そこには制服姿のどれみとしずく、さつきの姿があった。
どれみ「傘早く持ってきてって頼んだのに、もう。」
しずく「まぁまぁ、雨も止んだんだからさ。」
さつき「そうだよ、そんな怒らなくても良いじゃない。」
どれみ「まぁ、そうだけどさ・・・。」
ぽっぷ「お姉ちゃん・・・。」
どれみ「・・・ぽっぷ?どうかしたの?」
いつものように、ぽっぷがまた生意気に文句であろうと予測していたどれみは、ぽっぷのその言葉と表情に驚いた。
ぽっぷ「今、ついさっきさ、ここで風木ちゃんと会ったんだけど・・・風木ちゃん、何だか様子がおかしくてさ・・・。」
どれみ「様子が・・・おかしい?」
しずく「どうおかしかったの?」
ぽっぷ「悪魔の居場所が分かったってお姉ちゃんが言ってたことを話したら、突然様子が変わっちゃって・・・。」
さつき「それって・・・もしかして風木ちゃん、何か知ってるのかな・・・。」
ぽっぷ「ううん、そんな感じじゃあ無かったんだけど・・・。」
どれみ「そっか・・・風木ちゃん、大丈夫かなぁ。」
しずく「うん・・・。」

【笑う月の晩まで あと 13 日】

***

翌日の放課後、ぽっぷは隣のクラスから出てくる風木を見つけた。
ぽっぷ「あ、風木ちゃん、あのさ!」
数メートル先の教室から出てきた風木を呼んで、ぽっぷが風木に駆け寄ろうとした時だった。
かぜき「あ・・・。」
風木は突然ぽっぷと反対側の方へ走って逃げていった。
ぽっぷ「え、あ、ちょっと待ってよ!・・・私、風木ちゃんに何か悪いことしちゃったっけ・・・」
走り去る風木の後ろ姿を見ながら、ぽっぷはなんともいえない不安を抱いていた。
ぽっぷ「風木ちゃん・・・。」
ぽっぷには、どうして風木の様子がおかしくなったのか、分からなかった。ただ、それを聞くことの出来ない自分に苛立ちを感じていた。

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