まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第45話『風木の勇気』
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いろは、こがねの2人は魔女界へ一時的に戻ってきていた。しかし、2人の目的地は違う場所だった。

いろははこがねと共に人間界から魔女界への扉をくぐると、そこでこがねと別れ、真っ直ぐに魔女王の城を目指した。
女王様「これは・・・お久しぶりですね。」
いろはを見るや否や、開口一番に女王様はそう言った。
いろは「はい、女王様。」
女王様「今日は何か用があって来たのですか?」
いろは「はい、報告したいことがありまして・・・。実は、悪魔の居場所が分かったかもしれないんです。」
女王様「悪魔の居場所が・・・?本当ですか?」
いろは「でも、まだ確信は持てないんですけど・・・推論に過ぎないんで・・・。」
女王様「そうですか・・・わざわざ報告ありがとうございます。」
いろは「それでは、用件は言ったので私はこれで・・・。」
いろははそういうと、謁見の間を、そして城をさっさと去っていった。いろはが部屋から出て行き、しばらくの沈黙の後、女王様が口を開いた。
女王様「マジョリン・・・。今すぐ他の世界の王たちにこのことを連絡しなさい。それから、人間界へ行く準備を。」
マジョリン「はっ、かしこましました。」
そういうと、マジョリンは急いで謁見の間を出て行った。

一方、こがねはマジョラッタたちの所へきていた。
マジョラッタ「なんと、それは本当か?」
こがね「確信が持てるわけじゃないけど、おそらく悪魔たちはイギリス、ロンドンに潜んでいると思うの。」
マジョシス「ロンドンってことは・・・日本からは随分遠いわね・・・。」
こがね「それなら大丈夫だよ、魔法があるもん。」
マジョラッタ「しかし、こがねやいろはたち以外は魔法は使えんのではないのか?」
リリム「それだと、大変だと思うわ。ただでさえ悪魔たちは危険な存在よ。その悪魔と魔法無しで相手をしようなんて・・・。」
こがね「そうだけど・・・。」
リリム「そうだ、マジョラッタ、あれがあれば・・・。」
突然、マジョラッタの妖精、リリムが言った。
マジョラッタ「リリム、それはダメじゃ。あれはもう封印したんじゃ。いまさら封印を解くわけにはいかん。」
こがね「封印って・・・何の話?」
リリム「マジョラッタが昔、ポロンの製作に携わっていた頃作った・・・“インペリアルクロス”っていう魔女見習い服のことよ。」
マジョラッタ「リリム!止めろ、あれは絶対に使わせるわけにはいかんのじゃ。」
リリム「説明ぐらいしたって良いでしょ?」
マジョラッタ「むぅ・・・まぁ、そうじゃが・・・。」
リリム「“インペリアルクロス”は、その魔女見習い服を来た人の魔力を数倍、いや、数十倍にも増大させる、最強の魔女見習い服よ。ただし、実際に使われたことは一度も無い、幻の魔女見習い服でもあるけどね。」
こがね「魔力が数十倍って・・・すごい!でも、どうして幻なの?そんなにもすごい魔女見習い服なのに・・・。」
リリム「すごいが故に、副作用も大きいのよ。」
マジョラッタ「まず、その魔女見習い服を着るには、魔法を信じる純粋な心と、正義の心を持ち合わせておらねばならんのじゃ。そして、その2つのうち、どちらか一方でも、少しでもかけていれば、魔力を抑えることが出来ず、魔力は暴走する。」
こがね「魔力が暴走したら・・・どうなるの?」
マジョラッタ「最悪の場合・・・その魔女見習い服を来た本人の命も無いじゃろうな。だから、わしは反対じゃ。そこまで危険を冒して得る力ではない。」
リリム「でも、魔法無しに悪魔たちと戦うのは、危険すぎるわ!」
マジョラッタ「だからと言って自分の身を滅ぼしては何の意味も無いじゃろうが!」
リリム「そんなこと言ったって・・・。」
こがね「大丈夫だよ、マジョラッタ、リリム。」
言い争いを始める2人に割って入るこがね。
こがね「私たちなら、大丈夫だよ。どれみちゃんたちは、魔法以上のすごい力を持ってるから。」
マジョラッタ「・・・魔法以上のすごい力じゃと?」
こがね「何でだか分からないけど、どれみちゃんたちと一緒なら、全然怖くないんだ。悪魔たちと戦うことも、何もかも。」
リリム「魔法以上の・・・。」
マジョラッタ「すごい力・・・。」
マジョラッタはそう呟くと微笑みを見せた。
マジョラッタ「ふふ、そうじゃな、わしは何を勘違いしておったのじゃ・・・。」
こがね「勘違いって?」
マジョラッタ「お前たちが純粋で正義感が強いことなど・・・当然のごとく知っておるというのに・・・。」
こがね「マジョラッタ・・・。」
マジョラッタ「お前たちなら使えるような気がしてきたわい、あの魔女見習い服もな。」
リリム「マジョラッタ、じゃぁ・・・。」
マジョラッタ「“インペリアルクロス”の封印を解く。ただし、こがねや、約束するんじゃ。」
マジョラッタは、後ろを向いてこがねに背を向けると、呟いた。
マジョラッタ「誰一人として死ぬな。それから、絶対に悪魔なんぞに負けるな。」
こがね「・・・当ったり前じゃん!」
こがねが元気良く返事をするのを見て、マジョラッタは嬉しそうな表情を見せていた。

【笑う月の晩まで あと 15 日】

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