まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第44話『後戻りなんて必要ない!』
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(注)時間設定は2005年2月末頃です、ご了承下さい。

その薄暗い部屋に居たのは、オルテガただ1人だけだった。
オルテガ「はぁ、はぁ、またか・・・。」
気が付くと、オルテガの近くには、紙片が散らばっていた。それは、バラバラに破られた、風木の笑顔が写った写真だった。
オルテガ「はぁ、はぁ、静まれ・・・くそっ。」
オルテガは息を切らし、苦しんでいる。
『ふん、無駄なあがきを・・・』
オレテガの頭の中に、そんな声が響いた。
オルテガ「く、来るな!!」
オルテガは、苦しそうにその一言を放った。しばらくすると、ようやくオルテガの呼吸は整ってきた。
オルテガ「行ったか・・・。」
オルテガはそう呟くと、床に散らばった紙片を拾い集めた。
オルテガ「風木・・・。」
手のひらの上で、バラバラになってもいまだ笑い続ける。その風木の笑顔に、オルテガは語りかける。
しばらく見つめたあと、オルテガは服のポケットにそれをしまった。
オルテガ「許せ、風木・・・。」

***

美空市の魔法堂。
どれみ「こんにちは〜」
どれみ、さつき、しずくの3人が魔法堂にやってくると、中ではメアリーが待っていた。
メアリー「いらっしゃい、どうかしたの?」
久々に魔法堂へやってきたどれみたちを見て、感嘆の混ざったような声でメアリーが聞く。
しずく「精霊探し、終わりました〜!」
満面の笑みでそう答えたのは、しずくだった。
メアリー「本当?やったじゃない!」
さつき「でも・・・実はまだ人間界が助からないかもしれないんです。」
どれみ「私たちが精霊を探すのに時間をかけすぎたせいで、もしかしたら手遅れになるかもしれないって精霊さんたちが・・・」
しずく「でも、人間界の崩壊だけはなんとかして阻止すると言っていました。」
メアリー「そっか・・・まだまだ安心はできないってわけね・・・」
???「メアリー、誰か来てるの?って、あ・・・。」
奥の部屋から誰かが出てきた。
しずく「あっ・・・。」
しずくはその誰かと目があった。その誰かは、藤崎いろはだった。
しずく「いろはさん・・・。」
どれみ「いろはさん、どうしてここに・・・?」
いろはがどれみの問いに答えようとした時だった。
いろはが今入ってきた扉が開いた。そこから入ってきたのは、こがねだった。
こがね「あ、どれみちゃん、みんな!やっほう〜。」
嬉しそうに言うこがね。
さつき「こがねちゃん!」
メアリー「魔女界でやらなけりゃならないことが取り敢えず一段落ついたから、わざわざ悪魔を探すのを手伝いに来てくれたのよ。」
メアリーが説明する。
いろは「・・・そういうわけで、しばらくこの魔法堂でやっかいさせてもらうことにしたわ。」
キロル「ねぇマジョビート、マジョビートが言ってた人たちって・・・?」
ふいに、こがねの妖精がこがねの背後からひょっこりと姿をあらわした。
こがね「え、あぁ、うん、この子たちのことだよ。」
キロル「なるほど、ね・・・。」
キロルは雰囲気から何かを感じ取ったのか、頷いている。
どれみ「・・・あれ、こがねちゃんの妖精って・・・。」
しずく「あ、本当だ・・・見たことなかった、よね・・・?あれ?」
さつき「そういえば・・・。」
こがね「みんなは、知らないよ、私の妖精。会ったことないはずだから・・・。」
どれみ「やっぱり・・・居なかった、よね?あ、ごめん、変な意味じゃなくて・・・その・・・。」
こがね「ううん、良いんだよ。実は・・・。」
キロル「昔ね・・・マジョビートはイジメられてた。でも、マジョビートはイジメをしてくる魔女たちに何も、文句さえ言わなかった。」
こがねの口を遮るようにキロルが口を開く。
キロル「マジョビートにはいつも『嫌なことは嫌って言え』って言ってたんだけど、それでもなかなか嫌って言わないから・・・ついイライラして、カッとなって、家出しちゃったの・・・マジョビートが人間界に引っ越すずっと前に。でも、つい最近になって・・・やっとマジョビートは私のことを探しに来てくれた。嬉しかったけど、あまりにも遅かったから・・・嬉しさよりも憤りの方がましてた。なんで今までずっと探しに来なかったんだって・・・でも、マジョビートは変わってた。」
こがね「キロル・・・。」
キロルは視線をどれみたちからこがねに一瞬切り替えたが、すぐにどれみたちに視線を戻し、話を続けた。
キロル「マジョビートは・・・もう昔のマジョビートじゃなくなってた。昔のイジメられっ娘のマジョビートじゃなくなってた。それが分かったとき・・・凄く嬉しかったんだ・・・。だから・・・マジョビートを変えてくれた皆さんには・・・。本当に感謝しています。ありがとうね。」
どれみ「ありがとうって、そんな、私たち別に何も・・・。」
しずく「そうだよ、ね、さつきちゃん。」
さつき「うん、こがねちゃんは私たちの親友だもの。」
キロル「・・・そっか。」
こがね「ね、キロル。とっても良い人たちでしょ?」
こがねは、キロルに耳打ちするように言った。キロルは、黙って大きく頷いて見せた。
メアリー「あ、そうだ、ねぇ、みんな、これを見て。悪魔界の手がかりになるかもしれないものを発見したの!」
さつき「え、本当ですか?」
メアリーは本棚にあった一冊の本を取り出してきた。
どれみ「これは・・・。」

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