まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第43話『遅すぎた精霊探し』
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水龍「あぁ、おかしい。」
どれみ「おかしいって・・・何がですか?」
菜月「緑樹石が輝きを取り戻さない・・・。」
しずく「輝きを取り戻さないと、何か悪いことでもあるんですか?」
風雅「輝きを取り戻さなければ、人間界に力を与えることが出来ない・・・即ち、人間界はこのまま崩壊の道を進むことになるんじゃ。」
一見普通の老婆のような風の精霊、風雅がそう説明した。
時恩「手遅れだったのか・・・我々精霊が集まり、緑樹石を復活させるのが、遅すぎたというのか・・・。」
さつき「手遅れだなんて、そんな・・・。」
どれみ「どうにかならないんですか?」
水龍「どうにかならなくても、なんとかして宝石に輝きを取り戻さないと、全くもって冗談になっていない。もちろん全力は尽くしてみる。だが・・・。緑樹石の輝きを取り戻せるかどうかは・・・。」
時恩「水龍、弱気を吐くな。なんとかしてみせるさ。なんとか出来なければ我々はもちろん、人間界で生きている全ての生命を失うことになるんだ。どうにもならなかったじゃすまない。」
森羅「その通りだ、何としてでも人間界の崩壊は食い止めてみせる。」
水龍「・・・そうだな。」
時恩「というわけだ、人間界の子供たちよ。我々はここに残って、この緑樹石の輝きを取り戻すために全力を尽くす。だから、君たちは先に人間界へ帰れ。君たちにはほかにやるべき使命があるはずだ。」
どれみ「すいません、私たちが皆さんを見つけるのに手間取ったばっかりに・・・」
菜月「いえ、そんなことは無いわ。あなたたちが居なければ、誰も私たち精霊を探す人は居なかったはずよ。そうなれば、この人間界は確実に滅んでいた。むしろあなたたちには感謝したいぐらいよ。」
森羅「俺たちは君たちのためにも、人間界の崩壊を防ぐ義務がある。」
水龍「人間界の崩壊は私たちがきっと食い止めてみせる。だから、君たちは安心して人間界へ帰ってくれ。」
どれみ「ありがとうございます!」

***

ここは、ヨーロッパ、イギリス。
グルモス「儀式の準備はまだ終わらないのか、パディオ。」
パディオ「いや、準備は万全だ。ただ、この儀式は月の笑う夜にしか出来ない。」
グルモス「月の笑う夜、ねぇ・・・。」
グルモスは、窓の外を見上げた。そこには、綺麗な半月が見えていた。
パディオ「月が笑うのは、あと2、3週間後といったところか・・・。」
グルモス「要するに、人間界侵略開始の火蓋が切って落とされるのもその時ということだな。」
オルテガ「人間界の侵略・・・?何の話だ?」
パディオ「何を言っているんだ、オルテガ・・・そんなこと、当の昔に決めたことだろう。」
グルモス「いや、そういえばあれは俺たち2人で決めた話だった・・・。」
パディオ「あぁ、そうだったかな。まぁ良い、良いか、よく聞け。」
オルテガ「もったいぶらずに速く話せ。」
パディオ「俺たちの悪魔界を復活させたところで・・・住人は俺たち3人しか居ない。つまり、このままでは俺たちは確実に絶滅への道を辿ることになる。だから、人間界の侵略を行い、悪魔としての素質のある人間を探し出す。」
オルテガ「悪魔としての素質のある人間?」
パディオ「俺の親父がまだ生きていた頃・・・俺にくれたものがある。」
パディオは、近くの棚から黒い粉の入ったビンを取り出し、オルテガに見せた。
オルテガ「悪魔になる薬か何かか?」
パディオ「厳密には違うが・・・まぁそんなところだと思っていてくれ。ただし、善人に飲ませても効果が無いらしい。」
グルモス「あぁ、だからわざわざ"悪魔としての素質のある人間"を探す訳ね。」
パディオ「そういうことだ。」
オルテガ「し、しかし・・・そもそもそんなことをすれば、人間界と交流を深めようとしている魔女界や魔法使い界の上層部の連中は黙っちゃいないぞ。」
パディオ「もちろん、それは分かっている。その時は魔女界や魔法使い界へも侵略を行うことになるだろう。」
オルテガ「馬鹿な、正気か!?力の無い人間ならともかく、魔女や魔法使いはたった3人で挑んで勝てるような相手ではないぞ。」
グルモス「馬鹿はお前だ、オルテガ。俺たちは神殿の宝石を盗んだ犯人である以上、どのみち捕まれば命は無い。違うか?」
オルテガ「しかし・・・あまりに無謀だ。それでたとえ悪魔界が復興したとしても、悪魔界はずっと他の世界から孤立し、対立し続けることになるだろう。」
パディオ「絶滅するよりはましだ。」
オルテガ「・・・。」
パディオのその一言に、言葉を失うオルテガ。
パディオ「良いか、オルテガ。悲しいが、俺たちは戦わなくちゃいけないんだよ・・・。もう、何処にも逃げるところなんてありはしない。4000年前に、故郷を失ったあの時からな。」
パディオはそう言うと、近くの椅子に掛けてあった上着を身に纏った。
パディオ「宣戦布告まであと2、3週間だ・・・。それまでにちゃんと体を休めておけ。良いな。」
そう言ってパディオとグルモスはその部屋を出た。扉の閉まる音が聞こえた後、静寂がその部屋を包んだ。
オルテガは、ただ呆然と立ち尽くしていて、ふと自分の服のポケットに手をやった。ポケットには、何やら小さな紙切れが入っていた。そして、その紙切れには、風木の笑顔が写っていた。

***続く


次回予告
どれみ「ついに、ついに、ついに〜!!!」
しずく「ど、どれみちゃん、落ち着いて〜!」
さつき「しずくちゃんもね・・・。」
どれみ「ついに、って、え、もう次回予告終わり?時間切れって・・・あ、えっと、次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『後戻りなんて必要ない!』、ドキドキピース、もっ〜とひ〜かれ♪」
さつき「・・・ギリギリセーフ。」

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