まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第43話『遅すぎた精霊探し』
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どれみ「え?」
さつき「き、消えた!?」
しずく「な、何で消えちゃったの?」
???「お前たちか、精霊を探しているという人間共は・・・。」
その声はどれみたちの背後から聞こえてきた。
さつき「え・・・、何時の間に後ろに・・・?」
???「質問に答えろ。」
どれみ「たしかに、人間界をこのまま崩壊させないために精霊を探しているのは私たちです。」
???「そうか・・・思ったより普通の中学生って感じだな・・・。」
しずく「あ、あのぉ・・・時の精霊さん、ですよね?」
???「俺の名前は時恩(ジオン)、お前たちの言うとおり、時の精霊だ。今人間界がどのような状況にあるかも、お前たちが何故俺たち精霊を探しているかも知っている。俺は人間界の精霊だから、人間界が崩壊の危機にある以上、俺は人間界の神殿へとお前たちにいざなってもらう必要がある。」
さつき「じゃぁ、私たちと一緒に来てもらえますか?」
時恩「良いだろう、だが、そのまえに・・・お前たちに渡すべき物がある。」
どれみ「渡すべき物・・・?」
時恩「これを。」
時恩は、どこからともなく取り出した謎の物体を手渡した。
時恩「夜にこそ真価をみせるものが微笑みを浮かべる時、この時の欠片をそのものにかざせ。ただし、命に関わるような事態が起こった時にだけだ。」
そう言って時恩はその透明な四角い物体をどれみに手渡した。
しずく「あのぉ・・・どういう意味ですか?」
時恩「自分で考えろ。少しは頭を使え。それから、俺が何故こんな回りくどい言い方をしたのかもな。」
さつき「自分で考えろとか言われても・・・。」
時恩「つべこべ言わずにさっさと俺を神殿へ連れて行け。人間界が崩壊しても構わないのか?」
どれみ「あ、は、はい、分かりました。」

***

人間界の神殿。
水龍「ついに・・・5人集まったか。」
菜月「長かったわね。」
森羅「あぁ、長かった。」
風雅「これで人間界も崩壊の危機から救われたというわけじゃな。」
時恩「そうだな。」
森羅「人間の子供たちよ。」
どれみ「え、あ、はい?」
森羅「苦労をかけさせたな。」
しずく「いえ・・・。」
森羅「さて、早速だがこれから例の・・・。」
森羅が言うと、残りの4人の精霊たちは黙って頷いた。
さつき「これから、何かをやるんですか?」
時恩「当たり前だ、俺たちをこの神殿に集めただけで人間界は崩壊の危機から抜け出せるわけではない。」
菜月「あなたたち、危ないからちょっと下がってて。」
菜月がそういうので、どれみたち3人は少し離れたところで精霊たちの行動を見守ることにした。
5人は、正五角形を描くように、頂点にそれぞれ並んだ。すると、お坊さんのような格好をした水の精霊の水龍が、五角形の中心に向かっ て右手を差し出した。
水龍「水よ、きよらかにあれ。」
すると、水龍の右手から竜巻のように渦巻いた水の柱が天井へと上っていく。しばらくして、その水の流れが収まったかと思うと、水龍の右手が水色に光だした。
水龍が右手を広げると、そこには水色の綺麗な水晶が輝いていた。
菜月「炎よ、したたかにあれ。」
そう言って菜月が差し出した右手から、火柱が上がった。
火が収まると、菜月の右手の平の上には、美しい赤い水晶があった。
森羅「森よ、あざやかにあれ。」
森羅の手から若葉が芽吹いたかと思うと、その新芽は見る見るうちに大きく育ち、巨大な大木となった。
そして、その木が次第に衰え、完全に枯れると、彼の手には緑色の水晶があった。
風雅「風よ、さわやかにあれ。」
すると、全てを吸い込んでしまいそうなほど強い風が風雅の右手に向かって渦巻き始めた。
風が止むと、風雅の右手には濃い青色をした水晶がきらめいていた。
時恩「時よ、ゆるやかにあれ。」
時恩がそういうと、水龍、菜月、森羅、風雅の手にあった4つの水晶が宙に舞い始めた。そして、その4つの水晶はお互いに円運動をはじめ、その速度は次第に速まっていった。そして、その円運動の半径が小さくなってきたかと思うと、ゆっくりと時恩の手の平へと降りてきた。
時恩の手の平にあったのは、複雑な形をした緑色の宝石だった。
さつき「それは・・・。」
時恩「緑樹石(りょくじゅせき)だ。今我々の力によって復活した。これをこの祭壇に捧げれば、人間界は崩壊の危機から救われる。」
時恩はそう言うと、石を祭壇に捧げた。緑樹石を捧げた後、神殿の中はしんとなった。全員が祭壇に捧げた緑樹石に注目していた。
森羅「・・・まずいな。」
森羅がポツリとつぶやいた。

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