まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第43話『遅すぎた精霊探し』
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いろは「ほら、行くわよ。」
こがね「はい、いろはさん。」
2人はお互いに顔を見合わせたあと、人間界へと続く扉をくぐった。

***

放課後、すでに帰り支度のすんだどれみとしずくはさつきの居る2年1組の教室にやってきていた。
さつき「そういやまたクラス替えってあるんだよね。」
しずく「そうだよ。来年は同じクラスになれると良いね。」
どれみ「う〜なんか私だけみんなと違うクラスになる予感がするよ〜。」
さつき「1人だけ違うクラスになったりすると嫌だよねぇ。」
しずく「うん、うん。」
さつき「そうそう、塾の友達の学校の話なんだけどさ、その子のとこは2年から3年に進級するときにクラス替えやんないらしいよ。」
どれみ「えぇ、何で?」
さつき「受験前になって環境が変化すると勉強に支障をきたすとかどうとか・・・。」
しずく「うわ、出たよ受験・・・。」
どれみ「そういやもう入試まで1年くらいしか無いんだよね・・・。」
しずく「1年もある、って気がするけど、実際のところ入学してから今までの2年間なんてあっという間だったもんね。」
さつき「そうね、いろいろあったけど、あっという間だった。」
しずく「この調子で時間が流れたら来年の今頃は少なくとももうさつきちゃんとは・・・。」
さつき「何言ってるの、しずくちゃん。私が2人と違う学校に行ったとしてもまた会えるよ、絶対に。」
しずく「・・・そうだよね。」
どれみ「そうだよ、家も近いんだしさ。」
しずく「うん、変なこといってごめんね、ありがとう。」
さつき「でも、やっぱり・・・。」
どれみ「え?」
さつき「・・・ううん、何でも無いよ。それより、そろそろ帰ろっか。」
さつきはそう言ってようやく帰り支度を始めた。
どれみ「あ、うん、そうだね。」
3人は教室を出て、無言のまま校門を出た。朝から降っていた雨は止んでいて、道の至る所に水溜りが出来ていた。
しずく「さつきちゃん・・・。」
さつき「何?しずくちゃん。」
しずく「さつきちゃんもやっぱり・・・私たちと違う学校に行くこと・・・。」
さつき「・・・そりゃそうだよ、離れ離れになることが・・・・嬉しいわけ、無いでしょ・・・。」
しずく「・・・そうだよね。」
さつき「また会えるからって言って別れるの・・・私って苦手でさ・・・。だってまたいつかじゃなくて・・・毎日会いたいのに・・・。ずっと一緒に居たいのに・・・。なのにみんなと毎日会えなくなるのは・・・。正直言ってつらいよ。」
どれみ「それは、私たちだって同じだよ。」
しずく「うん、同じだよ。」
さつき「でもさ、でもさ、少なくともあと1年間はみんなと一緒に居られるもん。残りの1年間の間に、忘れられない思い出をみんなとたくさん作れば良いんだよ。どんなにみんなと会えない日が続いても、忘れられないくらいの思い出を。」
どれみ「その通りだよ、さつきちゃん。いっぱい作ろう、思い出。」
しずく「そうなると、来年は是非とも同じクラスになりたいよね〜。」
さつき「本当よね、なれると良いんだけど。」
しずく「それにしてもさ、その前にさっさと最後の精霊さん、見つけちゃわないとね。」
どれみ「そうだよね〜。」
さつき「どれみちゃん、今精霊探しのスティックってもってる?」
どれみ「持ってるよ。えっと、ほら。」
どれみはそう言って鞄からスティックを取り出した。
さつき「これだけが最後の精霊さんを見つけ出す手がかりなんだよね・・・あれ?」
どれみ「スティックが・・・。」
しずく「光って・・・る?」
さつきの持つスティックは青白い光を放っている。
どれみ「これって・・・近くに精霊さんが・・・居るってこと、だよね?」
どれみたちは顔を見合わせた。

***

どれみ「だんだん光が強くなってきた・・・。」
さつき「ってことは近くに居るってことよね。」
しずく「それにしても、スティック頼りに歩き回ってたら、だいぶ街外れの所まで来ちゃったね。」
道はうっそうと木々の茂る森へと続いていた。
どれみ「この森の奥に居るのかな・・・。」
さつき「とにかく行って見ましょう。」
しずく「うん。」
3人はその森の中へと足を進めていった。その道を歩いていくと、視界の先に一人の青年の姿が目に飛び込んできた。
さつき「あ・・・。」
どれみ「どしたの?」
さつき「背中に・・・羽・・・。」
その青年の背中からは、確かに羽が生えていた。
どれみ「ということは・・・あの人が時の精霊・・・?」
しずく「話かけてみようよ」
そう言ってどれみたちが近づいて行くと、突然その精霊はどれみ達の視界から姿を消した。

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