まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第42話『取り戻せない過去』
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マジョジュピター「それは二重人格を元に戻すってだけだけど、そんな薬を作れるということは、そのうちたとえば人格を凶暴なものに変えるとか、人を洗脳するような薬を作り出すのではないかってね。」
キロル「そ、そんな薬まだマジョユーナさんは作って無いじゃない!」
マジョジュピター「そうだけど・・・彼女は地獄界出身の魔女だから、何をしだすか分からないっていうのが当時の魔女たちの結論だったのよ。」
キロル「そんな勝手なことって・・・。」
こがね「キロル、落ち着いてってば。でも、それが本当だとしたら、確かにひどいですよね?」
マジョジュピター「そ、そんなこと私に訴えられても・・・。決めたのは魔女界の上層部だ。」
キロル「魔女界の上層部・・・?まさか、女王様がそんなこと言ったんですか?」
マジョジュピター「いや、魔女界裁判所関係の奴らだ。女王様はその件に関してはおそらく何も関与していないはずだ。本当はそういう『この魔女は危険だから地獄界に送り返す』といった問題は女王様が最終的な判断を下す。しかし、魔女界上層部、魔女界裁判所の長官や裁判官たちは、そもそも地獄界の者を何年かに一度魔女にするというしきたり自体に反対しているものが多い。そのため、ほとんど無実に等しくてもなんらかの理由をつけてそいつらを地獄界へ送り返そうとしている。もちろん、女王様にはそのことは報告せず、彼女たちが勝手に判断してな。」
キロル「そんなこと、女王様が知ったらただじゃすまないんじゃないの!?」
マジョジュピター「当然。しかし、証拠が無い。証拠が無い以上、女王様も行動にうつせないんだ。」
こがね「そんなの、ひどすぎる・・・。」
いろは「まさか魔女界裁判所の人たちがそんなことをしているなんて・・・。」
キロル「魔女界裁判所の奴が悪いのね。文句言ってやる!」
こがね「ちょ、ちょっとキロル、止めなさいよ、そんなこと。」
キロル「じゃぁ何?マジョビートは黙って見てろって言うの?」
こがね「そんなこと言って無いでしょ!?」
キロル「だったら放しなさいよ。」
こがね「とにかくダメなものはダメなの!」
キロル「・・・分かったわよ。」
いろは「でも、マジョジュピター・・・それって何とかならないのかしら?」
マジョジュピター「彼女が無実であることを証明できれば・・・。」
こがね「どうやって証明するんですか?」
マジョジュピター「そうだな・・・。難しいな。おそらく、魔女界裁判所に保管されているはずの調書には、マジョユーナは人格に影響を与える薬を作ったとして地獄界に送り返したとしているはずだ。そうでもしないと後でマジョユーナを地獄界に送り返したと女王様が知った時に不正がバレてしまうからな。ということはだな、マジョユーナがそんな薬を作っていないということをなんらかの形で証明すれば良い、ということだろう。しかし・・・相手は法を司るものたちだ。討論したところでそう簡単には勝てんだろうな。」
キロル「そんな・・・じゃぁどうしようも無いってこと?」
マジョジュピター「ううむ、彼女の作った薬で何か良いことがあれば少しは見直されるかも知れないが・・・。」
こがね「何か良いことって、そんな二重人格を治す薬とか、ゴミを消す薬とか、動物と話が出来る薬じゃぁ・・・。」
マジョジュピター「そうだ・・・。」
キロル「何、何か思いついた!?」
マジョジュピター「いや、マジョユーナの娘の名前・・・確か、エミリ・・・。」
こがね「本当?よし、じゃぁ早速魔法で!」
いろは「えぇ、名前が分かればさすがに魔法で見つかるでしょう。」
いろははそう言って水晶玉を取り出した。
いろは「私たちを、マジョユーナさんの娘のエミリちゃんのもとへ私たちを連れて行って!」
水晶玉から放たれた淡い光が彼女たちを包み込んだ。

***

ハナは森で遊んでいた。ふと、彼女の眼前に淡い光が現れた。
ハナ「およ・・・?」
ハナがその光に触れようとした瞬間、その光の中からこがねたちが姿をあらわした。
ハナ「うわぁ〜!!!ビックリした〜。」
いろは「あれ、ハナちゃん?」
こがね「どうしてハナちゃんがここに・・・?」
いろは「ま、まさかハナちゃんが実はマジョユーナさんの・・・って、そんなわけ無いか。」
こがね「ハナちゃんたちのお母さんはどれみちゃんたちだもの、絶対に違うわ。」
いろは「じゃぁ何でこんなところに出てきたんだろ・・・もしかして・・・魔法失敗?」
キロル「いろはさ〜ん、頼みますよ〜。」
いろは「あはははは。おかしいなぁ〜。」
キロル「それにしても、何であんたまで付いて来てるのよ。」
マジョジュピター「そ、そんなこと私に言われても、近くに居たからいろはの魔法に巻き込まれただけでしょ?」
ハナ「何の話〜?」
こがね「え、実はちょっと人を探してるんだけど・・・。」
???「もう、ハナちゃん何やってるの?って、あれ?」
5人の居る頭上、木の上から突如顔を出したのは赤紫色の髪の少女だった。
ハナ「あぁ、ごめん、エミリちゃん。今行くよ。」
こがね「ま、待って、ハナちゃん、今あの子のこと、何て呼んだ?」
ハナ「え?あの子はエミリちゃんだよ?」
いろは「エミリ・・・やっぱり私の魔法成功してるじゃん。ねぇ、エミリちゃん。」
エミリ「え、な、何ですか?わ、私もう最近何も悪いことしてませんけど・・・。」
いろは「へ?な、何のことだか分からないけどそんなんじゃないから、とにかく下りてきて。」
エミリは、言われるままに木から下りてきた。
エミリ「えっと・・・なんでしょうか?」
エミリは恐る恐る尋ねた。
こがね「お母さんの名前、覚えてる?」
エミリ「お母さんの名前?お母さんはマジョマリナだよ。」
キロル「え、嘘、マジョユーナさんじゃないの?」
エミリ「まじょゆーな?」
マジョジュピター「・・・幼い頃に養子に出されたのか?」
いろは「え・・・そうか、そうよね、3歳の子供が一人で生活していけるわけ無いもの・・・。誰か新しく育ての親が居たとしてもおかしくはないわ。ねぇ、お母さんの元に連れて行ってくれる?」
エミリ「え、良いですけど・・・。」

***

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