まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第41話『悪夢、再来』
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美空市港駅から歩いくこと10分、波が砂浜に打ち付ける音が辺りに響いていた。
どれみ「ここだね、魔法堂書店。」
どれみはそう言って入り口の重い扉をノックした。
どれみ「すいませ〜ん。」
しかし、返事は無い。
ぽっぷ「誰も居ないのかな・・・。」
どれみ「広すぎて奥まで聞こえないのかな・・・すいませ〜ん!入りますよ〜?」
今度は少し大きい声でどれみが言いながらノックしたが、やはり返事は無い。
どれみ「仕方が無い、入ろう。」
ぽっぷ「うん。」
中に入ると、薄暗い灯りだけがぼんやりと見えた。
ぽっぷ「風木ちゃ〜ん、居る?」
どれみ「風木ちゃん、居たら返事して、お姉ちゃんが家で待ってるよ〜。」

─バタンッ

扉の閉まるその音に驚いてどれみたちが見ると、そこには風木が立っていた。
ぽっぷ「風木ちゃん!やっぱりまだここに居たんだ。」
っと言ってぽっぷは風木に駆け寄った。しかし、何やら風木の様子がおかしかった。
ぽっぷ「風木ちゃん・・・?」
どれみ「風木ちゃん、どうかしたの?」
かぜき「・・・いないの。」
ぽっぷ「え、どうしたの?」
かぜき「オルテガがいないの。」
風木のその台詞で、ぽっぷは昼間の風木と交わした会話を思い出した。

『風木ちゃんにとって、オルテガは大切な人なんだね』
『え・・・うん、そうだよ。大切な人。』

どれみ「オルテガって・・・風木ちゃんの面倒みてくれる幻獣界の人だよね?居ないって、何処かに出かけてるとかそんなんじゃないの?」
かぜき「出かけてるにしてはおかしくて・・・多分もう帰ってこないんじゃないかなって。」
どれみ「おかしいって、何が?」
風木はポケットからグシャグシャになったネックレスを取り出した。
かぜき「これオルテガにあげたネックレスなの。グシャグシャになってこの奥の部屋に落ちてたわ。」
風木は表情ひとつ変えずに言った。
どれみ「風木ちゃん・・・。」
かぜき「私が一生懸命作ったネックレスが壊れてた。いや、オルテガが壊したのよ、きっと。」
ぽっぷ「壊したって、そんな・・・。」
かぜき「だって、オルテガがこのネックレスをつけてくれてるところ、一度も見たことが無いもの。きっとそうよ。きっとオルテガがこのネックレスが気に入らないから壊したのよ。それから今日居なくなったのも同じよ。私に愛想つかしたのよ。」
どれみ「風木ちゃん、ちょっと、どうしたの、そうなに自暴自棄になって。」
ぽっぷ「そうだよ、オルテガはちょっと出かけてるだけかもしれないじゃん。きっと帰ってくるよ。」
かぜき「そんなの分からないよ。だって・・・。」
風木は今出てきた部屋の扉を開けてみせた。部屋の奥には何もないガランとした部屋が広がっていた。
かぜき「オルテガの荷物全部無くなってるもん。この部屋にあった荷物は全部よ。」
どれみ「荷物が無くなってるってことは・・・。」
ぽっぷ「もうここには帰ってこないってこと?」
かぜき「オルテガはどうせ帰ってこないわ。私のことなんてどうせ・・・。」
どれみ「風木ちゃん・・・。」
どれみは風木の頬をなでた。
かぜき「・・・?」
どれみ「泣いても、良いんだよ?」
かぜき「!?」
どれみ「無理して強がらなくても良いんだから。泣きたい時は泣かなくちゃ。」
かぜき「強がってなんか・・・。」
不意に一滴の涙が風木の頬を伝った。
どれみ「本当は分かってるんでしょ、オルテガはそんな人じゃないって。」
ぽっぷ「そうだよ、言ってたじゃん、風木ちゃん、『オルテガは大切な人だ』って。」
どれみ「突然居なくなってどうしたら良いかわからなくなってたんじゃない?ほら、無理しないで良いからさ、泣きなよ。」
かぜき「・・・オルテガは・・・だって・・・私のこと・・・。」
そう言って風木の瞳から涙があふれ出した。拭っても拭っても、涙は止まらなくなっていた。どれみは声をあげて泣く風木をそっと抱き寄せた。
しばらくの間、魔法堂には風木の泣く声だけが響いていた。

***

かほし「わざわざありがとうございました。」
どれみ「いえ、妹の友達ですから。ね、ぽっぷ。」
ぽっぷ「はい、風木ちゃんは私の親友です。」
かほし「ふふふ、ほら、風木、2人に謝って。迷惑おかけしてすいませんでしたって。」
かぜき「め、迷惑おかけしてすいませんでした。」
そう言って輝星は無理やり風木の頭を下げさせた。
かぜき「あのさ、ぽっぷちゃん。」
ぽっぷ「へ?」
かぜき「ぽっぷちゃんのお姉ちゃんってさ・・・やっぱり、凄い人だよ。」
風木はぽっぷに耳打ちしてそう言うので、ぽっぷは耳打ちして返した。その後、2人はお互いの顔を見合わせて声を上げて笑った。
どれみ「ぽっぷ、今なんて言ったの?」
ぽっぷ「何でもないよ〜。」
どれみ「あ、教えてくれても良いじゃん。」
ぽっぷ「ヒミツはヒミツ〜、じゃぁ風木ちゃんバイバイ、風木ちゃんのお姉さん、さようなら〜!」
かぜき「うん、バイバイ。」
かほし「お姉さんも気をつけて帰ってくださいね。」
どれみ「あ、はい。それじゃぁさようなら。」
どれみはそういうと、走ってぽっぷを追いかけた。
かぜき「『ドジでマヌケだけど、頼もしい時は頼もしいお姉ちゃん』、か。」
かほし「・・・何か言った?」
かぜき「ううん、何にも。」
かほし「そう、それよりさっさと晩御飯片付けちゃうよ。」
かぜき「うん!」

***続く


次回予告
こがね「魔女界で私たちがやらなければいけないこと、それはマジョユーナさんの娘さんを探すこと。」
いろは「早く見つけなきゃね、でも、娘さんにこのマジョユーナさんの日記を見せたら、いったいどうなるんだろう、日記になにか文字が現れるのかしら?」
どれみ「次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『取り戻せない過去』、ドキドキピース大きくひ〜かれ♪」

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