まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第39話『幻獣王の決意』
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フィーヌ「宝石は神殿から無くなるとその世界が崩壊する。では、逆にその宝石があれば世界は保たれることになる。そして世界を保つその力を複合すれば世界を作り上げることが出来るという噂だ。真実かどうかは知らない。しかし、悪魔が何のために宝石を奪ったかを考えると、それ以外に考えられない。」
幻獣王「『8つの光が交わる時、滅びた大地は再び蘇り、そこは世界の果てとなる─』とある預言書に書かれた一文だ。内容の通り、7つの宝石に、元々悪魔界の神殿に安置されていた宝石を加え、8つの宝石を集めれば、滅びた世界は元通りに復活するという。」
フィーヌ「さすがは国王・・・預言書の一文については初耳です。」
リオン「となると、もしも悪魔が自分たちの世界を復活させれば、奴らは神殿の宝石を返してくれるのしょうか?」
幻獣王「可能性は低い。奴らは我が祖先の手によって世界を滅ぼされた・・・。他の世界の者たちを恨んでいる可能性が非常に高い。それに・・・。」
幻獣王は王座を立ち、フィーヌたちの前まで来て言った。
幻獣王「預言書には『そこは世界の果てとなる』と記されている・・・。どういう意味かは知らぬが、あまり良い意味ではないことは確かだ・・・。」
フィーヌ「国王、その前にひとつやらなければならないことが・・・。」
幻獣王「・・・分かっておる。」
フィーヌ「・・・国王?」
幻獣王「魔女界には私が直々に謝罪へ行く。今は他の世界と争っている場合ではあるまい。」
フィーヌ「国王、それでこそ我が国王です。」
幻獣王「私は・・・どうかしていた。自分の権力に溺れていたのか・・・目の前にある物事を把握出来なかった。私は一国を担う王であるのに、悪魔の罠にまんまとはまり罪の無い者を傷つけようとした愚か者よ・・・。これでは我が父に・・・先代国王に顔が立たぬ・・・。」
フィーヌ「国王・・・。」
フィーヌはまさか国王がそこまで思うとは思っていなかった。いつもの国王のことなら、魔女に謝罪へ行くことをきっぱりと断るのではないかと思っていたからだ。
ディラノス「国王、そのことなら気にする必要はありません。」
幻獣王「ディラノス・・・。」
ディラノス「国王とて一人の幻獣です。過ちを犯すことはあるでしょう。しかし今後その過ちに懲りて心を入れ替えるのであれば、気にする ことはありません。」
フィーヌ「私も同じです、国王。」
幻獣王「お前たち・・・。すまない。リオン、それからエイル!」
リオン「は、はい!」
エイル「何でしょうか?」
幻獣王「お前たちの怪我はまだ完治していないようだな。とりあえずこの下の部屋が開いているはずだ、そこで怪我が完治するまでゆっくり休んでよいぞ。」
リオン「国王・・・ありがとうございます!」
幻獣王「次にディラノス、今すぐ魔女界へ行く準備を整えろ。」
ディラノス「は、そのように。」
幻獣王「それからフィーヌ、牢屋に閉じ込めていたテイルを外に出してやれ。そしてお前は再び防衛隊隊長に任命する、今戦場へ向かっている兵士たちの元へ行き事の次第を話せ。」
フィーヌ「こ、国王、私が再び防衛隊隊長の名を名乗ってよろしいのですか!?」
幻獣王「何だ、不満か?」
フィーヌ「いえ・・・もちろん光栄です。」
幻獣王「だったらつべこべ言っていないで早くしろ!時間は無いんだ!急げ!」
フィーヌ「はっ。」
ディラノス「では私はすぐに手配をしてきます。」
フィーヌたちは慌しく謁見の間を後にした。

***

牢屋の中で眠っていた国王の息子・テイルは響き渡る足音を聞いて目を覚ました。
テイル「誰だろう・・・。」
牢屋の入り口に姿をあらわしたの、フィーヌだった。
テイル「フィーヌさん!!無事だったんだ!」
フィーヌ「すまないな、テイル。時間がかかってしまって。今国王の説得に無事成功したところだ。」
テイル「お父さんの説得?」
フィーヌ「話は後だ、とにかくここを出ろ、許しが出た。」
テイル「フィーヌさん・・・。」
ガチャッ、と鍵の開く音が響き、牢屋が開くと同時にテイルはフィーヌの胸元に飛び込んできた。
テイル「ありがとう、フィーヌさん。」かい  フィーヌは飛びついてきたテイルを優しく抱きしめた。心なしか、テイルが少しやせたような気がした。
フィーヌ「すまなかったな、テイル。もう大丈夫だ、国王も全てを理解してくれた。疲れているだろうからゆっくり休め、1週間ほど休んだらまた再び精霊探しを再開しよう。」
テイル「ううん、大丈夫。明日からでも平気だよ。精霊探し、早くしないとダメなんでしょ?」
フィーヌ「・・・そうか。よし、じゃぁ明日から再開だ。そうだ、魔女界から精霊探しのためのスティックを貰いに行くか。そうすればより早く精霊探しが終わる。」
テイル「え、でも、魔女界とは・・・。」
フィーヌ笑みを浮かべて答えた。
フィーヌ「言っただろう、国王の説得に成功したってな。もう魔女界とも大丈夫なはずだ。」
その答えに、テイルの表情が安堵の表情に変わった。

***

幻獣王は突然王座に向かってひざまずき、呟いた。
幻獣王「父よ・・・私は立派な王になれたでしょうか?」
幻獣王は誰も座っていない王座の方をじっと見つめた。

***続く


次回予告
こがね「フィーヌさんのおかげで無事戦争は終わりました。」
いろは「でも、まだ安心してはいられないわ、やることはまだまだたくさんあるんだから。」
こがね「精霊探しに、悪魔探し、それからマジョユーナさんの娘も探さなきゃ!次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『輝きを取り戻せ!』、ドキドキピース小さくひ〜かれ♪」

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