まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第39話『幻獣王の決意』
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ここは、大阪。
あいこ「はぁ〜、中2ももう終わりやなぁ。」
みのり「そやなぁ、もう中3になるんか、時が経つのって早いね。」
かずは「そうそう、だってついこの間入学したとこやと思ってたのに。」
みのり「あ、なぁなぁ高校、何処行くとか考えてる?」
かずは「白木さんは考えてるん?」
みのり「うん、一応ね。」
あいこ「高校かぁ、そっか、もうすぐ私ら受験生なんやなぁ。」
かずは「はぁ、そやけど、なんかいややなぁ、受験せんと高校行きたいわ。」
あいこ「ま、そりゃ無理な願いやな、一葉ちゃん。」
かずは「あぁ〜あ。もっと遊びたいよ〜。」
みのり「はいはい、さっさと諦めて、はよ教室戻ろ、もう授業始まんで。」
かずは「え、もう昼休み終わり〜!?」
その時、昼休み終了のチャイムが鳴った。
みのり「あ、ほら、チャイム鳴ってしもたで!」
あいこ「ちょっとお喋りしてただけやのになぁ、もうチャイム鳴るんや。」
みのり「ほんと、昼休みって短すぎるよ、もっとこう、3時間くらい無いと・・・。」
あいこ「アホかぁ〜!そら長すぎるわ。」
みのり「だ〜か〜ら〜、2人ともチャイムなった言うてるやろっ!!」
数メートル先の教室の入り口で白木みのりが叫ぶ。
あいこ「あ、ごめんごめん、すぐ行く!」

***

魔女界のとある集落。そこにはマジョハートの診療所があった。
マジョリン「失礼します。」
魔女王の側近、マジョリンはその診療所へとやってきた。
マジョリン「例の2人の容体は・・・?」
マジョハート「見てのとおりさ。」
マジョリン「そうですか・・・。」
マジョリンはふと2台並べられたベッドに目をやる。その上で2人の幻獣が眠っていた。2人は幻獣王の命令で魔女界来ていたところ、突然あらわれた男に瀕死の大怪我を負わされた。その怪我をさせた犯人は魔女だと決め付けた幻獣王は、魔女界との戦争を決意したのであった。つまり、この2人が目覚めて魔女が無実であることを証明する他に、戦争を止める方法は無かった。
マジョリン「彼らに早く目を覚ましてもらわなくてはこのままじゃ・・・。」
???「少し・・・失礼してもよろしいですか?」
診療所に突然、深くマントをかぶった謎の人物が入ってきた。
マジョハート「誰だい?」
???「フィーヌと言います。以後お見知りおきを。」
そう言ってマントから顔を出すと、姿を表したのは1人の幻獣界の妖精だった。
マジョハート「まさかお前・・・幻獣王側近ディラノスの直属部下で護衛隊隊長フィーヌか?」
フィーヌ「よくご存じで・・・。」
マジョリン「幻獣界の・・・!?こ、ここへ何をしにきた!」
フィーヌ「心配するな、戦をしに来たわけではない。後ろの2人に用があってな。」
マジョリン「2人に・・・?」
フィーヌ「まだ・・・眠りから覚めていないのか・・・?」
マジョハート「あぁ、しかし、どういうつもりだ?幻獣界の防衛隊隊長ともあろう奴が・・・。」
フィーヌは黙って羽織っていたマントを全てぬいだ。マジョハートとマジョリンは思わず息をのんだ。
フィーヌの体には深い傷跡が残っていた。
フィーヌ「私は幻獣王の国政は間違っていると言ったところ、この通り国を追い出された。」
マジョハート「その傷は幻獣界の王が・・・。」
フィーヌ「あぁ、自分でもこんな傷を負って生きていられるのが不思議だがね。」
フィーヌはそう言ってさっき脱ぎ捨てたマントを再び羽織って傷を隠した。
フィーヌ「ところで2人の容体はどうなんだ?」
マジョリン「相変わらず眠り続けているが・・・まず死にはしないだろう。」
フィーヌ「そうか、少し安心した。」
ベッドの上に横たわっている2人は、ただ眠りについているだけのように見えた。
フィーヌ「私は魔女が無実であることは分かっている。実際、国王以外のほぼ全員がそう思っているだろう。しかし、みな国王が恐くて逆らえないでいる。あの国王に魔女が無実であることを証明するにはどうしてもこの2人に目を覚ましてもらわねばならない。」
マジョハート「そうか・・・。」
マジョハートはそう言って眠っている2人の方へ目をやる。
マジョハート「長年ここで診療所をやっているが・・・、幻獣の手当てなど初めてだ。」
フィーヌ「・・・でしょうね。」
フィーヌはもっともだ、といった表情を見せて笑ってみせた。
マジョリン「では、そろそろ私はこれで・・・。女王様に2人がまだ目を覚まさないことを報告せねばなりませんので。」
マジョリンはそう言うと診療所を立ち去った。マジョリンが居なくなったのを確かめるようにしてからマジョハートが口を開いた。
マジョハート「起こしにきたのか、2人を?」
フィーヌは驚いたような表情でマジョハートを見た。
マジョハート「幻獣界の妖精は夢見の魔法が使えると聞いている。それを使って2人を眠りから覚ますつもりか?」
フィーヌ「・・・さすがは元老院魔女・マジョハート、お見通しってわけか。」
マジョハート「魔女の魔法と違い妖精の夢見の魔法は使用される者への副作用が現れる可能性が著しく低い。私は別に止めはしないが・・・。」
フィーヌ「では、遠慮なく使わせてもらうとしよう。」

***

ベッドで眠り続けている2人、エイルとリオンは真っ暗い闇をひたすら歩いていた。
エイル「俺たちは・・・まだ生きているのか・・・それとも死んでいるのか・・・?」
リオン「この闇はいったい何処までつながっているというのいか・・・。」
その時、一筋の光が2人の眼前に飛び込んできた。
エイル「光だ・・・。」
2人は導かれるようにその光を目指した。そして、しばらくすると、2人の視界にとある森が飛び込んできた。
リオン「森?」
気がつくと、2人は暗闇を抜け出しその森に居た。
エイル「ここは確か魔女界の・・・。」
リオン「あぁ、俺たちが何者かに襲われた・・・。」
その時、2人の背後で木の葉の揺れる音が聞こえてきた。
エイル「だ、誰だ!?」
2人は一度この森で襲われているため、過敏にその音に反応した。2人の視界の先にはフィーヌが居た。
エイル「フィーヌ隊長!どうしてここに・・・!?」

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