まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第38話『真冬に咲いたコスモス』
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メアリー「いろは、見つかった?」
いろは「海の方には居なかったわ。そっちは?」
メアリーは首を横に振った。
いろは「しずく、一体何処に居るのよ・・・。」
いろははそう言ってふと上の方を見上げた。すると、視界にあの山が飛び込んできた。
いろは「まさか・・・。」
メアリー「どうしたの?」
いろは「しずく、あの山にコスモスを取りに行ったんじゃ・・・!?」
メアリー「そうだとしたら、今頃道に迷ったか何かで・・・。」
いろは「行ってみよう!」
メアリー「うん!」
2人は魔女見習い服に着替えると、すぐさま箒に跨って山を目指した。

***

しずく「ううん、あ、あれ・・・?ここは・・・?」
しずくは目を覚ますと、そこはいろはの部屋だった。
しずく「いろはさんの・・・部屋?」
その時、部屋へいろはが入ってきた。
いろは「あ、メアリー!しずく、目を覚ましたよ!」
メアリー「本当!良かったぁ。」
そう言ってメアリーは走っていろはの部屋にやって来た。
しずく「いろはさん・・・それにメアリーさん・・・。」
いろは「もう、本当に心配したんだからね。」
しずく「え、あれ、そういえば私、さっきまであの山に・・・?」
メアリー「もうちょっと発見が遅かったら、本当に死んでたかもしれないのよ。」
いろは「しずく、あの山にコスモス探しに行ってたんでしょ?」
しずくは黙って頷いた。
メアリー「なんであんな無茶してまでコスモス探しに行ったの?」
メアリーが少し厳しい口調で言う。
しずく「ごめんなさい・・・。だって・・・いろはさん、あのコスモス、欲しいって言ってたから・・・。」
いろは「しずく・・・。」
しずく「いろはさん、願いがひとつ叶うなら、絶対欲しいって言ってたから・・・だから・・・。」
しずくの瞳からは涙があふれていた。
いろは「そっか、私のために探しに行ってくれてたんだ・・・。分かった。」
いろははしずくの横たわっているベッドの端にそっと座って、しずくの頬の涙を吹いてあげた。
いろは「ありがとう、しずく。でも、もうあんな無茶したらダメだよ?」
いろはのその言葉に、しずくは笑顔いっぱいに頷いた。

***

数日後。しずくの家。
いろは「しずく、良いものあげよっか?」
しずく「え、何ですか?いろはさん。」
いろは「じゃぁ〜ん。」
いろはの手から差し出されたのは、一輪のコスモスだった。
しずく「え?」
いろは「あげる。この間わざわざ私のためにコスモス探しに行ってくれたお礼とお詫び。」
メアリー「2人で探しに行ったのよ。昼間探せばすぐに見つかったわ。」
いろは「ちなみに植物学者の人いわくこれって実はま・・・あ!」
いろはは慌てて口をふさぐ。しずくが魔女見習いであることをいろはは知らないので、"マジョセスロインからこのコスモスが実は魔法草である"と聞いたことを口に出すと自分が魔女見習いであることがばれてしまう、と思ったのだった。
しずく「ま?」
いろは「ううん、何でもない、何でもな〜い。と、とにかく、これ、しずくにあげる。」
しずく「え、でも、いろはさん、このコスモス欲しいって・・・。」
いろは「私は良いの、しずくも願いごとぐらいあるでしょ?」
しずく「そんな・・・ありがとうございます!」
しずくは、たまたま机の上に置いてあった空の花瓶に水を入れて、そのコスモスを挿した。そして、しずくは手を合わせて目を瞑った。しばらくして、目を開けた
いろは「何お願いしたの?」
しずく「え、それはヒミツです。」
いろは「何よ、それ〜、せっかくとってきてあげたのに〜。」
メアリー「教えなさいよ、しずく。」
しずく「あはは、ヒミツはヒミツです。」
しずくはそう言って微笑んだ。窓の外には雪の積もったあの山が夕陽で赤く輝いていた。

(いろはさんとメアリーさんと・・・いつまでも、ずっといつまでも仲良くいられますように─)

***続く


次回予告
こがね「未だに幻獣界、幻想界との戦争が続いている魔女界。」
いろは「このままじゃ、多くの犠牲者が出てしまいます・・・。」
こがね「次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『幻獣王の決意』、ドキドキピース輝きは〜なて♪」

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