まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第38話『真冬に咲いたコスモス』
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その日の夕方。しずくは家に帰る途中、ふとさっきいろはの家の窓から見たあの山が目に映った。
しずく「願いがひとつ叶うコスモス、だっけ?」
しずくはそう呟くと、人目の無いところまで走り、ポケットから見習いタップを取り出した。しずくはその真ん中のボタンを押すと、魔女見習い服に着替え、すぐさま箒にまたがって薄暗い空へと飛び立った。山に降り立ったときには、すでに日は暮れていた。
しずく「寒っ・・・。雪降ってるよ・・・でも、メアリーさんの言ってたコスモスって、雪降ってないと咲かないんだよね?」
しずくは寒いのを堪えながらポロンをかざし、魔法を奏でた。
しずく「ピル〜ルカポル〜ルカ パラピラピーロット!コスモスの咲く場所を教えて!」
しずくのピルルカポロンからメロディとともに光が弾けた。
しずく「あ、何だろう、これ。」
しずくのポロンの先からシャボン玉のような光球がユラユラと飛んでいく。
しずく「これについていけば良いのかな?」
魔女見習い服から元の服に着替えたしずくは、光球の後を追って歩き始めた。しばらく行くと、光球はシャボン玉のように静かにはじけた。
しずく「あれ、消えちゃった。あ、ここは・・・。」
そこは、冬になって枯れた草が雪に埋もれていた。
しずく「ここって確か、秋にコスモスが咲いてたところ?本物のコスモスの場所が知りたかったんじゃ無いのに〜。」
そこは秋に咲いた本物のコスモスの群生している場所だった。
しずく「仕方が無いや、もう一回魔法を・・・。あ、あれ・・・?」
あまりの寒さのためか、しずくの手はかじかんで思うように動かない。
しずく「見習いタップのボタンが押せない・・・あれ・・・。」
その時、突然強い突風が吹いた。
しずく「きゃぁ!」
しずくはその風によって倒され、頭から、積もった雪に突っ込んだ。
しずく「冷たっ!!!」
しずくはすぐに起き上がろうとするが、体が思うように動かなかった。
しずく「あれ・・・体が・・動かな・・・い・・?」
『探してるうちに寒くて凍え死んじゃうかもね。』
しずくの頭の中に一瞬メアリーのその台詞が響いた。そして、しずくの意識はだんだん遠のいていった。

***

ちさと「遅いわね、しずく・・・。」
ここは、相川家。遊びに行ったはずのしずくがなかなか帰ってこないことが、しずくの母・千里にとって心配だった。
ちさと「何してるのかしら、確か藤崎さんのところに遊びに行ったはずよね・・・?」
千里は、電話の受話器の所まで行くと、受話器の台に置いてあるアドレス帳から『藤崎いろは』と書かれた電話番号を見つけた。そして、千里は2、3回確かめながら、慎重に電話をかけた。

***

いろは「え、しずくが?」
りょうこ「そう、今相川さんのところから電話があったんだけど、もう帰ったわよね?」
いろはの母・涼子は、今しずくの母親から電話があったことをいろはに告げる。
いろは「うん、もうだいぶ前に帰ったはずだけど・・・。」
りょうこ「困ったわね、いったい何処に行っちゃったのかしら・・・。」
いろは「私・・・探してくる!」
りょうこ「え、ちょっと、でも、探すあてはあるの?」
いろは「でも、じっとしてられないじゃない!」
いろははそう言って家を飛び出した。最初に向かった先は、メアリーの家だった。
メアリー「あれ、いろは、どうしたの?そんなに慌てふためいて。」
いろは「しずく、来てない?」
メアリー「え、来て無いわよ、どうして?」
いろは「家に帰ってないの。」
メアリー「え、家に?」
いろは「しずくのお母さんから電話があったの。それで、まだ家に帰ってきてないんだって。」
メアリー「本当に?」
いろは「うん。でも、メアリーの家にも来てないとなると・・・何処に行ったのかしら。」
メアリー「とにかく、手分けして探しましょう。」
いろは「そうね、じゃぁ、私は海の方を探してくるから、メアリーはMAHO堂の方、お願い!」
メアリー「分かったわ。」
2人は、そう言ってすぐにしずくを探しに向かった。

***

「MAHO堂☆カフェ」という看板の下がった店にメアリーは入っていく。
メアリー「こんにちは〜。」
???「おや、君は・・・。」
店の奥からは魔女らしき人物が姿を現した。
メアリー「お久しぶりです、マジョライドさん。」
マジョライド「メアリー、じゃったかな、よく来たな。紅茶を飲みに来たのかい?」
メアリー「しずくちゃん、知りませんか?」
マジョライド「しずく?いや、知らぬが・・・。」
メアリー「そうですか・・・。あの・・・。」
マジョライド「何じゃ?」
メアリー「マジョライドさんって・・・魔女ガエルですよね?」
マジョライド「!?気づいておったのか・・・?」
マジョライドは驚いた。自分が魔女であることはメアリーもいろはも知っているはずだった。しかし、自分が今は魔女ガエルとなってしまっていることをメアリーが知っているとは思っていなかった。
メアリー「しずくが魔女見習い服を着ているところを一度見た事があって・・・。もしかしたら、と思って・・・。」
マジョライド「そうか・・・・」
マジョライドがそういうと、突然音を立ててマジョライドが妖精に姿を変えた。どうやら、今いた魔女はマジョライドの妖精の変わり身だったようだ。
マジョライド「いろはの奴も知っておるのか?」
足元からひょっこりと姿をあらわしたマジョライドが言った。
メアリー「いえ、いろはは知らないと思いますけど・・・。」
マジョライド「そうか・・・。まぁ良い。ところでしずくの身に何かあったのか?」
メアリー「居なくなったんです。」
マジョライド「何じゃと!?」
メアリー「いろはの家で遊んで解散したあと、行方不明になってしまって・・・。」
マジョライド「なんと・・・。」
メアリー「大丈夫かな、しずく・・・他を探してきます。」
マジョライド「すまない、私も協力したいのだが店を閉めるわけにはいかんのでな・・・頼んだぞ。」
メアリー「はい。」
メアリーはそう言って「MAHO堂☆カフェ」を後にした。

***

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