まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第37話『マジョユーナの日記』
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『私のことを覚えていてくれなくても良い。
お前が元気で居てくれさえすればそれで良い。
それから、私の子が生まれる5年前に訪れたあの子たちも元気にしているのだろうか?
ひょっとしてまた来てくれるのではないかと待っていたが、来なかった。
しかし、私がこの家を去ってから、もしもこの家に来ることがあったなら、頼みたいことがある。
私の娘にこの日記を見せてほしい。
キミ達がこの日記を読んでくれるかどうかは分からないが、もしも読んでいてくれたら、この日記を私の娘に見せてやってほしい。
キミ達が私の家への唯一の訪問者なんだ。
私の娘にこの日記を渡せるのはキミ達しか居ない。お願いだ。私の娘の名は─』

こがね「あれ、字が滲んでて読めない・・・。」
いろは「この日記を書いているとき、泣いてたみたいね。」
日記はところどころ斑点状に字が滲んでいた。
キロル「それにしても、『5年前に訪れたあの子たち』って、私たちのことよね?」
こがね「うん、そうだよね・・・。」
キロル「でも、どうするの?」
こがね「どうするって・・・何が?」
キロル「何がって、今日記読んだんでしょ?」
こがね「あぁ、マジョユーナさんの娘のこと・・・?」
キロル「そう。」
こがね「でも手がかりが何にも無いんじゃぁなぁ・・・。」
キロル「そうね、せめて名前だけでも分かれば魔法で探せるのに・・・。あ、そういえば・・・あなた、誰?」
キロルがようやく気づいたように言う。
いろは「私?」
キロルは黙って頷く。
いろは「私は藤崎いろは、元人間の魔女です。」
キロル「へぇ〜、マジョビートの知り合い?」
こがね「うん、それからキロル、一応年上だから敬語使ってね。」
キロル「え、年上?同じ年の友達でもマジョビートにとって珍しいのに、年上の知り合いって・・・。」
いろは「ふふ、そっか、キロルは知らないのよね、人間界でのこと。」
キロル「人間界??」
こがね「キロルが居ない間、私、人間界に居っててね。」
キロル「そうなの?」
こがね「その辺の話は帰ってからゆっくり話してあげるよ。今はそれより、この日記のこと。」
いろは「そうだ、魔法でこの日記のこの部分になんて書いてあったか調べてみるのはどう?」
こがね「それ、良いですね!」
キロル「そっか、そしたらマジョユーナさんの娘さんの名前も分かって・・・。」
こがね「んじゃぁ、早速魔法で・・・。」
いろは「あ、ちょっと待って、こがね、この日記・・・。」
キロル「へ、こがね?」
こがね「あ、人間界に居たときの私の使ってた名前だよ、いろはさんとそれから人間界のみんなは私のことこがねって呼ぶんだ。それより、いろはさん、どうかしたんですか?」
いろは「うん、この日記ってもしかして・・・やっぱり、ダメよ、魔法は使えないわ。」
こがね「え?どうしてですか?」
いろは「あなた、魔女界で育ったのに知らないの?この日記、魔法で内容が書き換えられない仕組みになってるのよ。」
こがね「あぁ、そういえばそんな機能のついた日記帳ありますよね。って、これがですか?」
いろは「そう、涙とか水とかで物理的には文字は変わるけど・・・魔法で内容を書き換えられない。つまり、魔法を使ってこの滲んだ文字を元に戻すことは出来ないわ。」
こがね「そんな〜、じゃぁどうすれば良いんですか?」
いろは「わ、私に言われても・・・。」
キロル「とにかく八方塞がりな訳ね。」
いろは「でも、この手の日記って確か、あの機能が・・・。」
こがね「あの機能?」
いろは「特定の人が呼んだときにだけ文章が浮かび上がってくる機能っていうのがあるのよ。」
こがね「あぁ、秘密の交換日記に使えるとかいうやつですか?デラのところで確か売ってますよね?」
いろは「デラのところで?それは知らないけど、確かに売ってそうね・・・。って、とにかく、もしかしたら、マジョユーナさんの娘さんがこの日記を読んだら何か文書が浮かびあがってくるかもしれないわ。」
こがね「そっか、もしかしたら・・・。」
キロル「その文章を読んで欲しくて、この日記を娘に渡してくれとマジョユーナさんは・・・。」
いろは「そういうこと。」
こがね「でもマジョユーナさんの娘さん、どうやって探せば良いの?」
キロル「そうねぇ・・・。」
いろは「この日記を読んだ限りでは・・・多分マジョユーナさんの娘さんは、他の魔女の養子としてもらわれていったんだと思うけど・・・。」
こがね「じゃぁ、誰かそのことを知っている人って居ないかな?」
キロル「こんな森の中に住んでたんじゃ、知ってる人も少ないと思うわ・・・。」
いろは「それから・・・。この日記、日付を見ると、約2年前に書かれている。ってことは、当時3歳だった娘さんは、今は5歳になってるはず・・・。」
こがね「ううん、条件本当に少ないよ。どうすれば良いんだろう・・・。」
3人は首を傾げてしまった。

***

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