まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第37話『マジョユーナの日記』
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こがねといろはは、行方不明になったこがねの妖精キロルをマジョユーナという魔女の家で発見した。話しあった結果、キロルはこがねの元へ戻ってきてくれることになった。その一方で、キロルは突然話を切り出した。
キロル「この家、誰が住んでたか覚えてるでしょ?」
こがね「うん、マジョユーナさんでしょ?」
キロル「その人の日記。」
キロルはそう言って古びた日記を手渡した。
こがね「マジョユーナさんの日記か・・・。あ、そういえばマジョユーナさんは何処に居るの?」
キロル「・・・それを見れば分かるわ。」
こがねは受け取った日記を手にとって、表紙をじっと眺めた。こがねは息をのんで、その日記のページをめくった。そのボロボロの日記には、ほんの些細な日常が記されていた。森で聞いた小鳥のさえずりが美しかったこと、森に今年も綺麗な花が咲いたこと。その内容の多くは、マジョユーナの家がある森の中であったことばかりだった。
こがね「マジョユーナさん、この森であったことばっかり書いてる・・・。」
いろは「この森から一歩も出なかったのかしら・・・。」
こがね「まさか、いくらなんでもそれじゃ生活出来ないんじゃ・・・。」
しかし、いろはの言うとおりとしか思えないほど、この森の外でのことが全く日記には記されていなかった。
そして、日記の30ページめほどに、こんな記述があった。

『今日、この森に迷子の女の子とその妖精がやってきた。』

短く一行、そう記されていた。
こがね「これって・・・。」
キロル「10年前の私たちのことよ。」
こがね「・・・だよね。」
こがねはさらにページをめくっていった。

『今日は久々にあの実験を行ったが、失敗に終わった。』
『ついに二重人格を治す薬が完成した。でも、使い道は無いのだが。』
『今日はまた新しい薬、どんなゴミでも土に返す薬が出来た。早速使ってみよう。』
『今日は飲めば動物と会話が可能になる薬を作った。しかし魔法が使えるならあまり必要ないかもしれない。』

こがね「マジョユーナさんって・・・いろんな怪しい薬を作ってたみたいだね・・・。」
苦笑いするこがね。
いろは「確かに、怪しい薬ばっかり・・・。」
キロル「マジョユーナさんって一応、科学者だったみたいよ。」
こがね「それにしてもマジョユーナさんの日記って・・・全部一行か二行で終わってるよね・・・。」
キロル「うん、ほとんどね。」
こがねは夢中になってパラパラとページをめくっている。そして、あるページのところで手を止めた。
こがね「あれ、このページだけ凄く長いや・・・。」
そのページに書かれていたのは、今までの一行、二行程度の長さではなかった。
途轍もなく長い文章がつづられていた。
いろは「本当だ・・・。」

『今日、ついに私はやってしまった。こうならないために街から離れたこの森で身を潜めていたのに・・・。』

こがね「身を潜めていた?」
こがねは思わず呟いた。
いろは「とにかく、続きを読んで。」
こがね「あ、はい。」

『今まで私はなんのためにこの魔女界で生活してきたのだろう。
こんなにも回りの人々からおびえ、何を求めて生きてきたのだろうか。
私はもうこの世界で生活することを許されないというのか。
私はこの世界に移り住むことが決まってから一人の魔女として生きてきたつもりだった。
しかし、それがそもそもの間違いだったのだろうか。
こうなるのだったら初めからこの世界に来なければ良かったのではないか。』

こがね「一体何があったんだろう・・・。」
いろは「分からないわね・・・。あ、待って、次のページにまだ続きがあるわ。」

『生まれてすぐ生き別れになった我が娘よ。
きっと何処かで元気に成長しているであろう我が娘よ。
一目で良いからもう一度私にその姿を見せてくれ。
私はもう魔女界を去らなければいけない。
その前に、最後に一時間、いや、一分だけでも良い。お前に会いたい。
今は3歳くらいになったのだろうか?
3歳といったらもう言葉が話せるくらいの年齢だろうか?
もちろんもうお前のその2本の足で立派に大地を踏みしめていることだろう。
今何処で何をしているんだ?
元気にしているのか?
一秒でも良かった。お前に会いたかった。
でも、それももう叶わない夢になってしまった。
きっとお前は私のことを覚えていないだろう。
生まれてすぐ私の元を去っていったのだから。』

こがね「娘さんが居たんだ・・・。」
いろは「それにしても、魔女界を去らないといけないって、どういうことなのかしら・・・。」
こがね「さぁ・・・。まだ続きがある・・・。」
こがねはさらにページをめくる。

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