まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第36話『こがねの妖精』
3/3
こがね「その後私はマジョユーナさんに家まで送り返してもらって・・・。」
いろは「そうなんだ・・・。それで、この家がその、マジョユーナさんの家なの?」
気がつくと、2人は1件の家の前までたどり着いていた。
こがね「はい。さっきの水晶玉に映っていたのは、おそらくこの家です。」
2人は家の玄関の前に立った。
こがね「でも、どうしてキロルはこの家に・・・。」
いろは「中に入ってキロルに聞いてみれば分かるよ。」
こがね「そう・・・ですね。」
こがねは意を決したように扉に手をかけた。家の中は、その森以上に薄暗かった。
こがね「キロル・・・居るの?」
こがねは恐る恐る声に出して言ってみた。不気味なぐらいに静かなその部屋に、こがねの小さな声がこだました。その声に反応してか、小さな生き物が物陰から飛び出してきて、言った。
???「マジョビート・・・。」
こがね「キロル!」
こがねは思わず叫んでいた。
キロル「マジョビート、どうして・・・。」
10年前とは違い、すでに大人の妖精にまで成長していたキロルは、驚いたように言った。
こがね「キロル・・・探したよ。」
キロル「嘘よ、ずっと逃げてたくせに。」
こがね「え?」
キロル「本当はずっと逃げてたくせに。マジョビートは私と会いたくなかったくせに。」
こがね「何言ってるの、会いたくなかったわけないでしょ!?」
キロル「じゃぁどうしてこんなに迎えに来るのが遅かったの?」
こがね「そ、それは・・・。」
キロル「ずっと、ずっと待ってた。けど、どう考えても遅すぎる。」
こがね「違う、違うの、キロル!」
キロル「何が違うのよ!?」
こがね「私はキロルと会いたく無かったわけじゃない。私はキロルと会いたかった。けど、怖かったのよ。」
キロル「怖かった?誰が、まさか私が?」
こがね「だって、キロル、私のこと嫌いでしょ?だから家出したんでしょ?」
キロル「そ、そんなこと・・・。私はただ・・・。」
こがね「ただ、何よ。」
キロル「私は・・・マジョビートがイジメられているのを見て、凄く悲しかった。だから、何とかしたかったけど、妖精である私に何とかするなんてことは出来なかった。それで、私はマジョビートに強くなってもらいたくて、『いやなことはいやってはっきり言いなさい』って、あなたに言ったわ。でも、マジョビートはどんな目にあっても『やめろ』とも『いや』とも言わなかった。マジョビートはいつも逃げてばっかり。だからイジメられるのよ。けどあなたはそれを何度言っても分からなかった。ずっと逃げて、逃げ続けて・・・。そしてある日、気づいたの。私があなたを助けたくて言っていたことが、ずっとあなたを傷つけてたことに・・・。やっと気づいて・・・。だから・・・私はマジョビートの元を離れた。これ以上マジョビートを傷つけたくなかったし、マジョビートの苦しむところを見たくは無かったから・・・。」
こがね「キロル・・・。」
キロル「心配かけてたことは謝るわ。ごめんなさい。」
こがね「ううん、私こそごめん・・・だけどね、最近になってだけど、ほんとに最近になって、キロルの言いたかったことが分かったの。」
キロル「え?」
こがね「キロルが私に言っていたこと。今やっとわかったの。逃げずに立ち向かうこと。逃げてばっかりじゃ何も変わらないことに。」
キロル「そっか・・・それなら良いの。」
こがね「あの・・・それで、キロル、もう戻ってきてくれるよね?」
キロル「・・・当たり前でしょ。だって私は・・・私はマジョビートの妖精なんだから。今まで本当にごめんね。実は私もマジョビートと会うのが怖くて・・・。いつまで経っても探しに来ないから・・・私もマジョビートに嫌われてるのかな、って・・・。本当にごめん。心配かけて、迷惑かけて、本当にごめん。」
こがね「ううん、戻ってきてくれるなら、それで良い。」
キロル「マジョビート・・・ありがとう。」
こがね「じゃぁ、帰ろう。」
キロル「あ、そうだ、待って、その前にこれを読んで欲しいの。」
こがね「え?」
キロル「この家、誰が住んでたか覚えてるでしょ?」
こがね「うん、マジョユーナさんでしょ?」
キロル「その人の日記。」
キロルはそう言って古びた日記を手渡した。
こがね「マジョユーナさんの日記か・・・。あ、そういえばマジョユーナさんは何処に居るの?」
キロル「・・・それを見れば分かるわ。」
こがねは受け取った日記を手にとって、表紙をじっと眺めた。こがねは息をのんで、その日記のページをめくった。

***続く


次回予告
こがね「マジョユーナさんの日記に記されていたこと。それは・・・。」
いろは「もしかして、マジョユーナさんって・・・。」
こがね「次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『マジョユーナの日記』、ドキドキピース未来にひ〜かれ♪」

リストに戻る