まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第36話『こがねの妖精』
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どれみたちと出会ってからもそうだった。しかし、"友達"というものを手に入れてからは、魔法を使う際に動揺するようなことも減り、失敗は減っていた。だが、それでもたまに魔法を使って失敗することがあった。
いろはと共に行動するようになってまもなく1年が経とうとしていた。その間、確かに2、3度ほど魔法を失敗したことがあったような気がする。それも、もうこがねですら覚えていないくらいのささいな失敗だ。しかし、まさかその2、3度の失敗でこがねの気づいていなかったその欠点にいろはは気づいていたとは、驚くほか無かった。
いろは「どうして自分の妖精と会いたくないの?」
いろはは優しく問いかけた。
こがね「その・・・。」
こがねな一呼吸おいて、そして続けた。
こがね「私・・・キロルに嫌われているんです。」
いろは「嫌われている?」
こがね「前にも言ったみたいに、キロルはイジメられている私が苛立たしかったみたいなんです。私がイジメっ子に立ち向かう勇気が無くて、イジメられても言い返すこともしなかったから、それがキロルは気にいらなかったみたいなんです。それでキロルは私のことを嫌いになって・・・家出しちゃったんです。だから私、キロルに嫌われているのに・・・会っても戻ってきてくれない気がして・・・。」
いろは「何言ってるのよ。今のこがねはイジメられて無いでしょ?」
こがね「そうですけど・・・。」
いろは「だったらそのことを言えば良いじゃない。」
こがね「・・・。」
いろは「イジメに立ち向かうことが出来たんだから、それが分かればキロルもきっと帰ってきてくれるよ。」
こがね「帰ってきて・・・くれますかね?」
いろは「うん、たとえ今日ダメでも何度でも頼めば良いよ、妖精は魔女のパートナーなのよ、いくら嫌われてるから、って諦めて見放したらダメ。」
こがね「そうですよね・・・。」
いろは「そうよ、きっと。じゃぁ、もう1回魔法使って妖精、探してみよっか。」
こがね「はい。」
こがねはそう言って水晶玉を手にした。
こがね「キロルの居場所を教えて!」
水晶玉が一瞬光ると、その光は瞬く間に辺りを包み込んだ。そして、水晶玉に何か小さな生物が映し出された。
こがね「キロルだ・・・。」
こがねは思わず呟いた。水晶玉にはこがねの妖精の姿が映し出されていた。
いろは「ここは・・・?」
キロルの居るその場所はなんとも薄暗い部屋だった。
こがね「もしかして・・・。」
いろは「思い当たるふしがあるの?」
こがね「はい、確かここは私が子供の頃に・・・。」
いろは「こがね、とにかくそこへ!」
こがね「は、はい、分かりました。」
こがねはそう言って箒に跨り飛び立つと、いろはもそれに続いて飛び立った。

***

こがねが降り立った場所は、薄暗い森のなかだった。
いろは「薄暗い森ね・・・。この森にキロルは居るの?」
いろはが尋ねる。
こがね「私の記憶が正しかったら、多分・・・。」
いろは「そっか・・・で、ここは、いったい何処なの?」
こがね「この森にはちょっとした思い出があって・・・。」
いろは「思い出?」
こがね「昔・・・私がまだハナちゃんくらい小さかった時に・・・。」

***

それは、約10年前までさかのぼる。こがねとその妖精キロルはその薄暗い森にいた。
こがね「あれ〜、ここ、何処?」
キロル「キロロロ〜?」
こがねとキロルは、散歩している途中で道に迷ってしまった。
こがね「どうしよう・・・、キロル。」
キロル「キロ、キロロ?」
こがね「魔法を使えって?」
キロルは頷いた。
こがね「無理だよ、私の魔法、あてにならないもん。」
キロル「キロロ〜!」
こがね「え、もっと自信を持てって言われても・・・。」
???「どうしたの、迷子?」
気がつくと、目の前に1人の魔女が居た。
こがね「あ、はい・・・。」
???「そう、私の名前はマジョユーナ、おいで。」
こがね「え?」
マジョユーナ「迷子、なんでしょ?」
こがね「あ、はい。」
マジョユーナ「家まで送り返してあげるから、とりあえずついておいで。」
2人が付いて行った先には、1件の家があった。
こがね「こんな森の奥深くに家が・・・?」
マジョユーナ「さぁ、あがって。」
家の中は暖かかった。暖炉にはまきが組まれていて、火が灯されていた。
マジョユーナ「ちょっと待ってて、今紅茶でもついできてあげるわ。」
こがね「へ、紅茶?」
マジョユーナは家の奥へ消えていった。
キロル「キロロ〜。」
こがね「何とか家には帰れそうだね。」
キロル「キロロ、キロキロ!」
こがね「え、私の魔法は役に立たないから良かった?ちょっとそれ、どういう意味?」
キロル「キロキロキロ〜。」
こがね「もう、キロル、怒るよ?」
マジョユーナ「ふふふ、2人とも、仲が良いのね。」
いつの間にかマジョユーナが紅茶を持って戻ってきていた。

***

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